ミニマリストの生き方とは?
はじめまして。ゲンゴローと申します。普段は研究機関で働いています。いろんな人の価値観や生き方に興味があり、それらを学ぶため本を読んでいます。
最近読んだ本で勉強になったと感じたのは、『ぼくたちに、もうモノは必要ない。-断捨離からミニマリストへ-』です。
本書は、元「汚部屋」出身の編集者である佐々木典士氏が、必要なものしか持たない「ミニマリスト」になるまでの経験を通じて得た知見について語られた本です。
大事なもののために、それ以外のものを減らすことを「ミニマリズム」と呼び、このような生き方をする人のことを「ミニマリスト」と定義しています。
単なる物を減らすための「片付けハウツー本」ではなく、人生における「無駄なモノ」を極限まで減らすことで、さらに充実した人生を送れそうだと実感させてくれる、行動や価値観に影響を与える一冊です。
ぼくたちに、もうモノは必要ない。 –断捨離からミニマリストへ –
モノの多さ=幸せではない
「欲しいモノはたくさんあるけど、お金がなくて買えない」という人からすると、好きなだけモノを買えたらどんなに幸せか、と考えるかもしれません。
しかし実際は、お店では素敵だと思って買ったのにあまり着ていない服があったり、どれだけ買っても欲しいモノが次々と出てきていつまで経っても満たされなかったり、モノを買うことが幸福感に繋がっていないことを自覚している人は多いのではないでしょうか。
人は、モノを買うことによって得られる刺激にはすぐに慣れてしまうので、さらに大きな刺激を求め、また違う商品を買ってしまう性質があります。この無限ループに陥ってしまうと、どれだけモノを所有しても幸福感を得られなくなります。
メディアでは高級マンションやスポーツカーといった高価なモノを所有している人がもてはやされますが、必ずしも彼らが幸せとは限りません。
著者は、「モノより経験の方が、幸せの持続時間は長い」として、「経験」に目を向けることの重要性を説きます。経験の価値は人との比較がしづらいため、自分の価値観で幸福感を得ることができるからです。
Aさんの魚釣りと、Bさんのキャンプの価値は単純に比較することは出来ませんよね。どちらにも固有の魅力と思い出があります。
モノの場合、価格によってその価値の大きさを比較できるため、際限なく人と比べることができてしいまいます。だから「あの人はあんなに良いものを持っているのに自分は持っていないんだ…」のように、自ら勝手に不幸を感じてしまいやすくなるのです。
モノが多いと「やりたいこと」ができない
本書では「やりたいことがなかなかできない」理由にも、モノが多すぎることが関係していると言います。
なぜならモノを所有しているだけで、脳はエネルギーを消費してしまうからです。
人の脳は5万年前から進化していません。しかし現代は、技術の進歩によってモノや情報があふれ返り、脳の活動がついていけない状態になっています。モノや情報が多すぎるばかりに、やりたいことができなかったり、進まなかったりするのです。
この状態から脱却し、本当の幸せを手に入れるためには、所有するモノの絶対量を減らす必要があります。
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どうやってモノを減らすのか
では、具体的にどうすれば、モノを減らすことができるのでしょうか。第3章では、「捨てる方法最終リスト55」として、モノを捨てるための考え方や方法についてまとめられています。
なかでも、特にオススメの方法を2つピックアップします。
①熱く語れないモノは捨てる
モノ選ぶときは、理由があるはずです。「これしかない!」という理由を熱く説明できないものは「いらないもの」あるいは「他のものでもよい」と考え、捨てる対象にしましょう。
②「元をとる」という発想を捨てる
モノは買った時点がピークで、その後価値は下がっていきます。買ったときの値段が高かったからといって、捨てることを躊躇してはいけません。モノを所有しているだけでも、あなたの脳はエネルギーやスペースを消費してしまうのですから。
会社の業務にも応用しよう!
本書を読んで、「モノ」に対する考え方は、仕事にもそのまま応用できるのではないかと感じました。
日本企業の場合、人事や営業、経理など、各部署間での業務範囲が曖昧なケースがあって、どの部署の誰が引き取るべきか見合った結果、結局誰も手をつけない「三遊間ゴロ」となってしまう業務が少なくありません。
この「誰がやるべきか定まっていない業務」に、本書の「捨てる方法最終リスト55」を応用するのです。例えば以下の方法です。
- 「仮に」捨ててみる
- 捨てられるか「悩んだ」時点で捨てられる
- 本当に必要なモノは必ず帰ってくる
これを仕事に置き換えると、以下のようになります。
- その業務が本当に必要なのか、まずは短期的にやめてみる。問題なければ廃止する。
- やめる議論になった時点で不要な業務なのではないかと考え、どの部署が必要としている業務なのかを洗い出し、廃止あるいは簡略化できないか検討する。
- 本当に必要な業務であれば、どの部署が音頭をとって行うべきか、具体的な業務分担と業務フローを構築した上で再開する。
不要な業務という「モノ」を捨てることで、本当に会社のために必要な業務を明確にすることができるはずです。
ミニマリズムは通過点
本書は、著者個人の経験だけではなく、世の中の発展に大きく貢献した偉人の格言や、心理学の研究結果を合わせた構成となっており、説得力のある内容となっています。
しかしながら、モノを捨てることは、あくまでもなりたい自分になるため、やりたいことをやるための「通過点」に過ぎません。モノを捨てること自体を目的として満足してしまわないよう、注意が必要です。
私自身、社会人になってから、仕事や自分の趣味など、やりたいこと・やらなければならないことが頭の中で混合してしまい、前に進めない自分をもどかしく感じていました。
本書を読んで、「所有しているモノの多さ」が原因の一つにあると気づくことができました。モノを減らすことで、本当に大切にしたいものは何なのか、再確認しようと思います。
執筆者プロフィール
ぼくたちに、もうモノは必要ない。 –断捨離からミニマリストへ –