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デジタルの力で病気を防ぐ!予防医療をDXする株式会社ウェルネスの挑戦


「予防医療」という言葉を知っていますか。

健康診断や人間ドックなど、病気の兆候を早期に発見することの重要性は周知されていますが、本当に大事な予防医療とは「病気にならないようにする」こと。そう語るのは、予防医療に対してデジタルの力で正面から取り組んでいる株式会社ウェルネスの代表取締役にして医師の中田航太郎氏(以下:中田氏)です。

今回は、中田氏に予防医療をテーマにインタビューを行い、人が健康で幸せに生き続けるためにデジタルがどのような力を発揮しているのかを伺いました。

株式会社ウェルネスの挑戦を通して、予防医療という新たな医療アプローチについて考えるきっかけとしてください。

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ウェルネス設立にかけた想い

Wellness設立にかけた想い

まずは、なぜ「株式会社ウェルネス」という会社の設立に至ったのかを教えてください。

中田氏「私は、幼少期から医者を目指していて、普通に学生時代を過ごして、医学生を経て医者になりました。その間に多くの患者さんと接する中で感じたことがあるんです。

それは、ひどい状態になってから病院に来て、我々も必死に医療を提供してなんとか命が助かるということへの疑問です。それだけ聞くとハッピーストーリーみたいに思うかもしれません。でも、実際にその後に患者さんと話をすると、『もっと早く病院に来ればよかった』とおっしゃるわけです。実際に、そうしたらそもそも病気にならなくて済んだかもしれない、というような話がたくさんありました。

基本的に、今までの医療者は、患者さんが病院に来てから対処するための技術を磨いています。そのために勉強してきたわけですよね。

でも、医療の本質的な目的とは『人がいい人生を送るため』にあると思っています。そう考えたら、病気を治すのもよいけど、そもそも病気にならないようにする予防医療のほうがより建設的です。でも、そこに本気で取り組んでいるお医者さんって世の中にはほとんどいないなと思ったので『これは(自分が)やってみよう』と考えたのがきっかけです。

もちろん、クリニックを開業するなど色々なことを考えましたが、それでは助けられてもせいぜい数百人とか数千人の話でしかありません。これを数千万人、数億人に向けて提供しようと思ったら『やはり会社を作るしかないよね』というので起業しました。」

医師としての中田先生の顔と、経営者としての中田社長としての顔があると思いますが、病院を経営するのではなくスタートアップ企業を起こすということに対して、戸惑いなどはありませんでしたか?

中田氏「もちろん、普通のキャリアではないですから、多少戸惑いというかうまくいく確証はないなとは思っていました。でもだからこそ、早いうちにやった方がいいなとも思いました。やってみなければどうなるか分からないことなので。」

ウェルネスの提供する予防医療

Wellnessの提供する予防医療

株式会社ウェルネスを立ち上げ、今こうして世の中に受け入れられ始めているということは、やはり予防医療というものが時代の要求に合っていたということなのでしょうか?

中田氏「それは間違いなくそうだと思います。予防医療が大事だということは、それこそもう何十年も前から分かっていたことではありました。

今の死因で多いのは、がんや心筋梗塞、脳卒中などです。こうした病気が怖いのは、症状が表に出にくいことなんです。そのため自分の体をデータで管理して、病気を防ぐとか、早く見つけるということが不可欠なのですが、医療モデル自体は100年前から何も変わっていませんでした。つまり、患者さんが調子が悪くなってから病院に行き、そこで医師による治療を受け始めるというモデルです。

そもそも、がんや心臓の病気というのは、自分が病気だと気づきにくいものです。だから誰もが『自分は健康だ』と思い込んでいて、本当に具合が悪くなってから病院に来るという形になってしまう。これでは手遅れになるケースも少なくありません。」

一般に予防医療というと、素人の私などは「健康診断」や「人間ドック」を思い浮かべるのですが、そうしたものと御社の取り組みはどのように異なるのでしょうか。

中田氏「予防医療というのは、一次予防から三次予防まで大きく分けて3つあります。健康診断などで病気を見つけるのは二次予防になります。早期発見して早期治療に繋げるという予防ですね。

他には、そもそも病気になるリスクを減らす発症予防とか、病気になってしまった人の再発を予防するという取り組みもありますが、これらも『病気がないかをチェックして、あったら病院に送ります』というモデルが一般的でした。

けれども、今は日々データが取れるようになってきています。自分の健康データを溜められるし、スマートウォッチやアプリを使って『どのぐらい歩いたか』とか『どれぐらい寝ているか』などが可視化できるようになってきました。加えて、家族の病歴などもどんどんデジタルでデータとして収集・解析できるようになってきています。

今後の予防医療は、こうしたデータを活用して、病気にならないためにはどうすれば良いのかという方向にシフトしていくはずなんです。まさに、これが当社の提供する予防医療です。予防治療のなかでも一次予防と呼ばれる部分ですね。

日本の医療はとても安価で質が高いことで有名ですが、これは誰もが平等に医療を受けられるようにしようというアプローチに基づいています。これをポピュレーションアプローチ(多くの人が少しずつリスクを軽減することで、集団全体を良い方向にシフトさせること/引用:国立保健医療科学院PDF)といいますが、ようは国民全体を平均的になるべく多く救うための施策として作られた仕組みであり、健康診断はこのアプローチの一環として行われています。

ですので、一般的に多い病気をチェックするとか、よくある頻度の多い病気をチェックするとかが今までの健康診断なんです。でも、例えば僕自身が死ぬリスクを最小化したいと思ったら、一般的な検診だけではリスクが見逃されてしまうことはあるので、やはり自分にとってリスクの高い病気に対して『個別アプローチ』してくれる検査でないと不安ですよね。

AIが発展していく時代において、世界の学者の予測したいくつかの項目があるんですが、その中の一つに『予防医療がカスタマイズされ、一人ひとりに最適化した予防医療を提供する時代が来る』というものがあります。

我々が『パーソナルドクター』というサービスで提供する予防医療というのは、まさにそうした複数のデータを統合して分析し、個々人に最適化した形の予防策を提供するというものです。」

健康を可視化するデジタルの力

健康を可視化するデジタルの力

お話を伺っていて、健康診断などの予防医療が「マイナスを減らすためのアプローチ」であるとすると、御社が提供する予防医療は「より積極的にプラスの形で健康になるためのアプローチ」という印象を受けました。

自分に最適化した検査が出来て、平均的ではない自分のためのアドバイスが受けられるというのが、御社のサービスの一番の魅力なのでしょうか。

中田氏「そうですね。今までは一般的な検査で、一般的な病気を見つけるというのが中心だった予防医療を、個別化して、あらゆるデータを統合的に分析・判断することで、将来のリスクを減らすための生活習慣の提案もできます。病気を見つけることに関しても、データベースを活用することで『自分にとってリスクの高い病気を積極的に調べる』ことができるようになったので、より見逃しのリスクは減っていくと思います。」

デジタル技術で体や生活のデータをとって、それをどのように予防医療に結びつけているのかについて、もう少し具体的にお話しいただけますか。

中田氏「まず当社のプロジェクトは、一般的なPHR(パーソナルヘルスレコード:病院や薬局ごとに保存・保管される個人の医療データ)ではなく、統合PHRを主軸としています。これは、自分のあらゆる医療ヘルスケアに関する情報をいかにして1ヶ所に集約できるかという考えが根底にあります。

睡眠データだけを集められるアプリや、検診データだけがみられるアプリなどはこれまでもありましたが、人間は色んな生活習慣や検査データ、病歴の複合体です。それを踏まえると、ピンポイントの一部データだけをみられる状態は、予防医療においてあまり意味がありません。

そのため、まずはすべての人の健康データを1ヶ所に溜められるアプリケーションを作りました。

これには、健康診断などのデータも含みますが、それ以外にIoT(モノのインターネット)を活用したウェアラブルデバイスやスマートアプリなどを用いて、日々どれくらい歩いたかや体重などのデータも集約していきます。また、家族が同じアプリを使っていたら、家族の病歴なども紐づけられるようにしていくことで、『その人の家系はこうした病歴の人が多いから、その点に気をつけて検査したほうがいい』ということも判断できるようになります。

メディカルヒストリーや日々の生活習慣のデータ、検査のデータなどを集約するためにデジタルを活用しています。

健康のデータが集まったら、そのデータをもとに健康のためにはどのような行動をとるべきかを読み取ればいいわけですが、一般の人はデータだけあっても分からないため、それを解析するシステムも開発しています。

また、現在はAIなどの性能が的確な健康サポートに対して十分なレベルではないため、医師が伴走することでアドバイスしていますが、データを蓄積していくことで、将来的には自分の5年後、10年後の姿が見えるようにして、それを防ぐために必要な検査や食事などを自動でアドバイスできるようなシステムに育てて行きたいと考えています。」

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