運動をしているのになかなか体脂肪が落ちない理由
「有酸素運動や筋トレをしているのに、なかなか体脂肪が落ちない…」という声をよく耳にします。そのような場合、考えられる理由が、脂肪燃焼効率の低下です。
脂肪を落とすには大量の酸素が必要となります。そのため、十分な酸素が体内に行き届かない状態でいくらダイエットに有効な運動を行ったとしても、脂肪燃焼効果が期待できないと言えます。穴の空いたバケツに水を注ぎ続けるようなものです。
そこで運動をダイエット効果につなげるためには、まずは脂肪燃焼効率を高める必要があると言えます。
「脂肪燃焼効率の低下」を引き起こしている要因とは?
脂肪燃焼効率を高める方法を考えるにあたり、それを引き起こしている要因を明らかにしておく必要があります。
脂肪燃焼効率の低下を引き起こしている要因として、「猫背の姿勢」が考えられます。そう考えられる理由として、
- 取り込める酸素の量が少なくなってしまうから
- 褐色脂肪細胞の働きが弱まってしまうから
という2つが挙げられます。
1:取り込める「酸素の量」が少なくなってしまうから
猫背になると胸郭(心臓や肺を取り囲んでいるカゴ状の組織)が落ち込む上、狭くなります。そのため呼吸が浅くなります。
すると取り込める酸素の量も、自ずと少なくなってしまいます。
2:「褐色脂肪細胞」の働きが弱まってしまうから
脂肪細胞には「白色脂肪細胞」と「褐色脂肪細胞」という2つの種類があります。
白色脂肪細胞は余ったエネルギーを中性脂肪として蓄える働きがあるのに対し、褐色脂肪細胞には脂肪を燃焼して熱を作り出す働きがあるのです。
褐色脂肪細胞は、カラダにごくわずかしか存在せず、肩甲骨まわりや首の後ろに存在すると言われています。そのため猫背になって肩甲骨まわりの筋肉の緊張が強くなると、肩甲骨の動きが制限されてしまい褐色脂肪細胞の働きが弱まってしまうと考えられます。
脂肪燃焼効率を上げてダイエット効果を“加速”させるストレッチ5選
このように脂肪燃焼効率が低下してしまうのは、猫背の姿勢による肩甲骨まわりの筋肉の緊張が考えられます。
そこで、脂肪燃焼効率を上げてダイエット効果につなげるには、猫背を改善し肩甲骨まわりの筋肉の緊張を緩めるストレッチを行っていきます。
具体的には、次の5つのストレッチを行います。
- 大・小胸筋へのストレッチ
- 広背筋へのストレッチ
- 肩甲骨内転動作を高める動的ストレッチ
- 胸椎伸展ストレッチ
- 体勢を変えての肩回しストレッチ
ストレッチを行うにあたり、「テニスボール1個」と「ヨガマット」をご用意ください。
ストレッチを行う半径1メートル以内に、障害物がないことを確認した上でストレッチを行うようにしましょう。
(1)大・小胸筋へのストレッチ
- 壁の横に立ち、肘と脇を90度に曲げて肘の内側を壁に当てます。
- ストレッチする側の足を一歩前に踏み出し、壁に当てた肘の内側を支点にカラダを反対側へ回旋させることで、胸の筋肉である「大胸筋」と「小胸筋」がストレッチされます。
左右それぞれ、胸の筋肉が心地よく伸ばされていることが感じられる強度で、30秒間伸ばし続けるようにします。
ポイント及び注意すべき点
肘を鎖骨の高さまで上げるようにすることで、胸の筋肉全体をストレッチさせることができます。
ストレッチ中は、肘の内側が壁から離れないようにします。
(2)広背筋へのストレッチ
- 四つん這いの体勢から、両手を前に伸ばすと同時にお尻を足の方向へ移動させます。
- 親指側を天井に向けて目線をお腹に向けることで、背中の筋肉である「広背筋」がストレッチされます。
背中の筋肉が心地よく伸ばされていることが感じられる強度で、30秒間伸ばし続けます。
余裕があれば、両腕で頭を挟むように両手の間隔を狭くしてみましょう。
ポイント及び注意すべき点
このストレッチのポイントは、親指側を天井に向けるということです。
そうすることで、肩への負担を軽減させながら、広背筋へのストレッチ感を高めることができます。
(3)肩甲骨内転動作を高める動的ストレッチ
両腕(肘から手のライン)を顔の前で合わせて、肩甲骨を外側に開いた状態(写真左)から、両腕を開いて肩甲骨を内側に寄せる動作(写真右)を10回繰り返します。
ポイント及び注意すべき点
少しずつ肩甲骨を内側に寄せる動きを大きくしていくことが、可動域を高めるコツです。
痛みや違和感がない範囲で動かすようにしましょう。
(4)胸椎伸展ストレッチ
- 用意したテニスボールを左右の肩甲骨の間にセットし、両膝を立てて仰向けになります。
- 両腕をカラダの横に構えて手のひらを天井に向けます。
- 息を大きく吸いながら両腕をゆっくりと大きく開くように頭上に向かって上げていき(写真上)、息を吐きながら両腕をゆっくりと閉じるように下ろしていく動作(写真下)を3回行うだけです。
ポイント及び注意すべき点
両腕をできるだけゆっくりと大きく動かすことがストレッチ効果を高めるポイントです。
やはり痛みや違和感がない範囲で動かすようにしましょう。
(5)体勢を変えての肩回しストレッチ
前回しと後ろ回しをそれぞれ5回ずつ行っていく「肩回しストレッチ」を、横向き、仰向け、四つん這い、そして座位と体勢を変えて行います。
同じ肩回し動作でも、体勢を変えることでストレッチされる筋肉も変わってくるので、肩甲骨まわりの筋肉を満遍なくストレッチすることができます。
ポイント及び注意すべき点
肘で円を描くように動かしていき、少しずつ円を大きくしていくようにします。
必ず〈前回し → 後ろ回し〉という順番で行うようにしましょう。そうすることで、胸を張った状態でストレッチを終わらせることができるからです。
「筋トレ」「有酸素運動」「ストレッチ」、ダイエットに効果的な運動は?
今回は、「脂肪燃焼効率を上げる、ダイエット効果の高いストレッチ」を5つご紹介しました。
「筋トレ、有酸素運動、ストレッチのうち、ダイエットに効果的な運動はどれですか?」というご質問を受けますが、どれも効果的と言えます。どれもダイエット効果につなげるには欠くことはできないと言えます。
そのためダイエットを成功させたいのであれば、筋トレ、有酸素運動、ストレッチをセットでバランス良く行うようにしましょう。