睡眠負債をおさらい
日本は「睡眠負債大国」と言われています。睡眠負債とは、睡眠不足が積み重なって何らかの不調を引き起こす状態のこと。令和元年の厚生労働省「国民健康・栄養調査」では、約7割の方が睡眠に問題を抱えていると回答しています。
「睡眠負債って?【1】良質な眠りを叶えるお風呂の入り方」では、睡眠負債についてや、良質な睡眠と入浴の関係を紹介しているので、ご一読ください。
さて、年度末~年度初めは、環境や人間関係、ライフスタイルが変化するため、心がざわざわ・そわそわして眠れない・眠りが浅くなるという方も多いのではないでしょうか。
入浴法を見直しても眠りの悩みが改善しない場合にやりたいことを紹介するので、参考にしてください。なお、長期に渡る睡眠不足は、心身のすこやかさを損ないます。我慢せず、専門医に相談しましょう。
眠るためにやりたいこと(1)日中のNG行動を見直す
年度末・はじめに限らず、眠りを妨げるNG行動は今すぐやめるのが○。3つのNGを紹介するので、当てはまる項目がある方は今日から見直しましょう。
カフェインは午前中に
珈琲や紅茶に含まれるカフェインは、体がアクティブモードのときに優位になる交感神経を刺激します。午前中に摂取すれば、眠気覚ましや集中力UPに有用です。
ただし、カフェインは体内に8時間ほど残るので、摂取する時間帯によっては、眠りや休息の際に働く副交感神経がうまく機能せず、なかなか眠れないなんてことに…。
カフェイン入りのドリンクは午前中だけにして、午後はノンカフェインのハーブティーや薬膳茶などを飲みましょう。リラックスできる香りのお茶なら、午後のブレイクタイムや眠る前のほっと一息にもぴったりです。
昼寝は午後2時までに短時間で
睡眠負債や疲労が蓄積すると、昼食後に眠気が強くなることもあるでしょう。
午後2時くらいまでに昼寝で適度な休息をとると、活力や集中力が復活します。仕事をしている方、育児に忙しい方に昼寝は非常に有用です。昼寝時間は、活動量が少ない方は15~30分以内、忙しい方は30~1時間程度を目安にしましょう。
遅い時間に、長時間ぐっすり眠ってしまうと、夜眠れずに睡眠の質が低下するという負の連鎖が起きかねないので、注意してください。
スマホは眠る前は電源をOFFに
ネットショッピングやニュースチェック、動画視聴など、布団の中でもスマホをいじっていませんか?
すこやかな生活を送るためには、1日7~8時間ほど眠ると良いと言われていますが、スマホが生活に定着した昨今、スマホを使う時間が増えて、睡眠時間が減ったという方が多くなりました。
また、スマホの悪影響は、睡眠時間減少だけではありません。スマホの画面が発する青い光(ブルーライト)は目や脳を刺激して、眠れなくなる原因になります。
また、眠る前にたくさんの情報にふれると、その情報を処理するために脳は活動し続けるので、朝になっても疲れが抜けないなんてことも。眠る1時間前には、スマホの電源をOFFにしましょう。
眠るためにやりたいこと(2)体をほぐす
ストレッチで筋肉の緊張をほぐすと、心身が深くリラックス。寝つきがよくなったり、ぐっすり眠れたりと、睡眠の質向上に有用です。
とくに年度末や年度はじめは、忙しさや新しい環境などによって心身ともにこわばってしまいがち。ぜひ、ストレッチを習慣にしてください。
簡単ストレッチのやり方
全身の緊張をほぐすなら背伸びがおすすめです。
- 仰向けに寝る
- 両手・両足をゆっくり伸ばす(手足が上下にぐーっと引っ張られるように背伸びをすると○)
- 心地よいと感じる程度に30秒ほど行う
布団でストレッチするなら、そのまま眠ってしまうのもOK。ストレッチ後にマインドフルネス瞑想をするのもおすすめです。息の出入りや、呼吸でお腹が膨らむ様子に意識を向けて、「今、この瞬間」を感じましょう。より穏やかな眠りが得られますよ。
眠るためにやりたいこと(3)心の奥にある気持ちを知る
年度末~新年度に環境や人間関係の変化で、気持ちが不安定になった経験をした方も多いはず。布団に入ると、あれこれネガティブなことを考え出して眠れないなんてことも。
不安、ざわざわした気持ち、焦り、イライラ、つらい、悲しいなどの感情をそのままにしていると、眠りの質は低下してしまいます。
そんなときにおすすめなのが、日記を書くこと。その日の出来事を書くだけでもOKですが、できれば、マイナスの感情がでてくる原因を見つめ、自分の心にしっかり寄り添うようにすると気持ちがすーっと軽くなりますよ。
たとえば、「忙しくても私はこんなに頑張っている。なのに、パートナーは家事を手伝ってくれない。イライラする!ムカつく!」と日記に書いたとします。そうしたら、自分の心の奥底にある感情を探ってみましょう。
「頑張っているのを認めてほしい、いたわってほしい」「パートナーが手伝ってくれないのが悲しい」「この忙しさのせいでつらい」など、さまざまな気持ちが隠れているはずです。
その後、じゃあどうしたかったかを考え、相手に伝えましょう。「~なら私はうれしい」というように、主体は自分で相手に話すのがポイントです。
「あなたはなんにもやってくれないね」と伝えるのではなく、「お疲れ様って言ってくれたら、私はうれしい」「手伝ってくれたら、私はすごくありがたい」というだけで、聞こえ方がまったく変わりますよね。
「自分の気持ちに寄り添う → 未来につながる言い方で相手に伝える」を習慣にすると、心のこわばりが取れて眠りの質がUPしますよ。
眠るためにやりたいこと(4)寝る前のリラックスタイムを作る
眠る前の1時間はリラックスタイムにしましょう。もちろん、スマホなどのデジタル機器はNGです。
ハーブティーのぬくもりと香りを楽しむ、ヒーリングミュージックを聴きながら瞑想する、芳香浴をして気持ちを落ち着けるなどして過ごすとよいでしょう。先ほど紹介したストレッチや日記タイムでもOKです。
それでも眠れない日は…
毎日ぐっすり眠れたら最高ですが、どうしても眠れない日はあるもの。眠れないなら、一度布団からでて温かいドリンクを飲んだり、軽くストレッチしたりすると○。
それでもだめなときは、布団の中で目を閉じて過ごしましょう。意外に気持ちが落ち着いて眠れる場合もありますし、横になっているだけで体の疲れはとれます。
眠れない日は仕方ないと割り切りつつ、毎日、眠るためにやりたいことを続けて快眠習慣を手に入れましょう。