「背中エクササイズ」がお腹痩せに有効な理由
一見関係無さそうな背中へのエクササイズが、なぜお腹痩せに有効と言えるのでしょうか。その理由については、背中の筋肉が弱くなるとどうなるかを考えると見えてきます。
背中の主要な筋肉の一つに、「脊柱起立筋」という筋肉があります。これは脊柱(背骨)に沿って走行している筋肉で、多くの人が「背筋」と呼んでいる筋肉です。脊柱起立筋はその名の通り、脊柱を起立させる(起こす)働きを持ちます。
そのため脊柱起立筋が弱くなると、脊柱をまっすぐに保てなくなるため背中が丸まってしまい、「猫背」になります。すると胸骨、肋骨、胸椎から成り、肺や心臓を取り囲んでいる「胸郭」という組織が下制し、それに伴い内臓の位置も下がります。そうなると骨盤が開きっぱなしとなり、下腹部がポコッと出た「ポッコリお腹」を引き起こすと言われています。
このようなことから、脊柱起立筋を中心とした背中の筋肉を強化することで、「ポッコリお腹」をもたらす猫背の姿勢を改善させることができるので、背中へのエクササイズもお腹痩せに有効と言えるのです。
お腹痩せにも有効な「背中エクササイズ」
それでは具体的に、どんな背中へのエクササイズがお腹痩せに有効なのかお伝えしていきましょう。
背中の筋肉には、先程お伝えした「脊柱起立筋」と「広背筋」の他に、「僧帽筋」「菱形筋」などといったたくさんの筋肉が存在します。
そうすると「たくさんのエクササイズを行う必要があるのでは…」と思ってしまうかもしれませんが、ご安心ください!たった2つのエクササイズだけで背中全体の筋肉に刺激を与えることができ、お腹痩せ効果につなげることができます!
(1)背中全体の筋肉を刺激する「ベントオーバー・ローイング」
- ウエイトを両手に持って立ち、足幅は腰幅程度に合わせます。そこから、上体をなるべく床と向き合うまで前傾させます。このとき、両膝を軽く曲げても構いません。ちょうど横から見ると、ひらがなの「て」の字を描くようなイメージです。手のひらを正面に向けて、両腕は真下に下ろします(写真左)。
- 息を吸いながら、わき腹に触れるところまでウエイトを引き上げていき、そこから更に胸を前に突き出すようにして1秒程度静止します(写真右)。息を吐きながら抵抗を受け止めるように、ゆっくりと両腕を下ろしていきます。
10回を1分間の休憩を入れながら、3~5セット行ってみましょう。
ウエイトは10回反復可能なダンベルを使用します。ダンベルがない場合は、水を入れた500mlのペットボトルでも構いません。
体勢を維持することで脊柱起立筋が使われ、ウエイトを引き付ける動作で広背筋が、更に胸を突き出すようにすることで僧帽筋中部線維といった肩甲骨内転筋群が使われるようになり、背中全体の筋肉に刺激を与えることができます!
「お腹痩せ」につなげるポイント
このエクササイズでお腹痩せ効果につなげるポイントは、背中をまっすぐにすることです。そうすることで腹筋の深層部にあり、腹圧を高める働きをする「腹横筋」も動員されるようになるからです。
「ベントオーバー・ローイング」でよくある間違い
このエクササイズでよくある間違いが、「背中をまっすぐにする」ところを背中を反らしてしまっていることです。
上の写真のように背中を反らしてしまうと、お腹(腹横筋)の力が抜けてしまった状態であるため、お腹痩せ効果につながりにくいと言えます。
むしろ腰が反ってしまった状態でエクササイズを続けてしまうと、骨盤の前傾を益々強めてしまい、お腹痩せどころかポッコリお腹を引き起こしやすくなってしまいます。更に、腰への負担が大きくなるため、腰痛を起こす可能性も高くなってしまいます。
それでは「背中をまっすぐにする」とはどういうことなのでしょうか。「背中をまっすぐにした状態」というのは、下の写真のような耳、肩、股関節を結ぶラインが一直線になっている状態を言います。
背中をまっすぐにするには、お尻を後ろに突き出して、股関節を軸に上体を前に倒すようにします。
(2)猫背解消に効く「肩甲骨内転筋群エクササイズ」
- うつ伏せになって両腕を肩のライン上に伸ばし、親指側を天井に向けるようにします。そうすることで肩への負担を少なくすることができる上、肩甲骨を内側に引き寄せやすくなります。
- 胸を床から離した体勢を作り、その体勢のまま、息を吸いながら肩甲骨を内側に引き寄せる動きで両腕を上げて1~3秒間静止し(写真上)、息を吐きながら両腕を床スレスレまで下ろす動作(写真下)を繰り返します。
15~20回を、1分程度の休憩を入れながら3セット行いましょう。
僧帽筋中部線維など肩甲骨内転筋群を強化することができ、猫背解消効果が得られます。
「お腹痩せ」につなげるポイント
このエクササイズのポイントは、肩甲骨を内側にしっかり寄せることです。そうすることで猫背を改善させることができ、お腹痩せ効果につなげることができます。
そのため腕の動きではなく、あくまで肩甲骨の動きで腕を上げるようにしましょう。
「肩甲骨内転筋群エクササイズ」でよくある間違い
よくある間違いとして、「上体を起こし過ぎてしまっていること」が挙げられます。
上体を起こし過ぎてしまうと、肩甲骨内側の筋肉(内転筋群)ではなく腰部の筋肉に効いてしまうことになります。そうなると腰の反りと骨盤の前傾が強くなってしまい、やはりお腹痩せどころかポッコリお腹を引き起こしやすくなってしまいます。また、腰への負担が大きくなるため、腰を痛めてしまう可能性も高くなってしまいます。
そのため、ミゾオチから上の部分を起こすようにしましょう。
「背中エクササイズ」も組み入れることで「お腹痩せ効果」が加速!
いかがでしょうか。背中へのエクササイズがお腹痩せにも有効な理由と、お腹痩せにつなげるために心がけるべき点についてご理解いただけましたでしょうか。
ここでポイントをまとめておきましょう。
- 脊柱起立筋を中心とした背中の筋肉を強化することで、猫背の姿勢を改善させることができるので、お腹痩せに有効と言える
- 背中全体の筋肉を刺激する「ベントオーバー・ローイング」は、背中をまっすぐにして行うこと
- 猫背解消に効果的な「肩甲骨内転筋群エクササイズ」は、ミゾオチから上の部分を起こすようにして、肩甲骨を内側にしっかり寄せることでお腹痩せにつなげることができる
背中へのエクササイズも組み入れることで、お腹痩せ効果を加速させることができると言えます!早速今から実践してみてくださいね!