「眼精疲労」と「肩こり」の関係
まず初めに、目の疲れと肩こりの関係について触れておきましょう。
頭と首の境目に「後頭下筋群」という筋肉のグループがあります。これは文字通り、後頭骨の下に存在する筋肉のグループで、大後頭骨筋、小後頭骨筋、上頭斜筋、下頭斜筋という4つの筋肉から成り立っています。
後頭下筋群は頭部の動きに関与する他、目の動きにも関与する筋肉です。そのため目を酷使して「眼精疲労」を起こすと後頭下筋群の緊張も強くなり、その結果「肩こり」につながると言われています。
また、長時間パソコン相手にお仕事をしていると、背中を丸めて頭が自然と前に突き出た姿勢となってしまいます。
すると重い頭が更に重くなり、その頭を首周りの筋肉が支え続けることになります。そのため首周りの筋肉の緊張が強くなり、血行不良に陥ります。その結果酸素や栄養素が行き届かずに老廃物が蓄積してしまい、「肩こり」を起こしてしまうと考えられます。
こうした眼精疲労や肩こりは、酷くなると頭痛を引き起こしてしまうので、できるだけ早く解消させておきましょう。
「眼精疲労」と「肩こり」を解消させる4つのストレッチ
それでは眼精疲労と肩こりを解消に導くストレッチを行っていきましょう。
眼精疲労を起こすと後頭下筋群の緊張が強くなり、肩こりを引き起こします。そのためまず行っておきたいストレッチは、「後頭下筋群への静的ストレッチ」です。後頭下筋群の緊張を静的ストレッチで緩めることで、眼精疲労と肩こりの解消につながると考えられます。
また、悪い姿勢をとり続けることで生じた肩こりは、僧帽筋上部や胸鎖乳突筋、肩甲挙筋といった首周りの筋肉の緊張が強くなった状態です。そのためこれらの筋肉への静的ストレッチも合わせて行うと、肩こり解消により効果的と言えます。
後頭下筋群への静的ストレッチ
- 両手を頭の後ろに組みます。この時、耳よりも上の高さで組むようにします。そうすることで頭を前に倒しやすくなるからです。
- 両肘を閉じることで頭を前に倒し、頭部を時計回りに回旋させ、更に背すじを伸ばすようにすることで、左側の後頭下筋群がストレッチされます(写真参照)。反対側も同様にストレッチしていきます。
僧帽筋上部への静的ストレッチ
- 右手を頭の後ろに添えて、もう一方の腕は下に下ろします。右手はやはり耳よりも上の高さに添えるようにします。
- 頭の後ろに添えた手で頭部を左側へ倒し、次いで前に倒していきます。写真赤矢印のように反対側の肩を下に下げるようにすることで、左側の僧帽筋上部(後頭骨と鎖骨外側部分をつないでいる筋肉)がストレッチされます。右側も同じようにストレッチしましょう。
胸鎖乳突筋への静的ストレッチ
- 右手を左肩の上に乗せることで肩甲骨を固定し、もう一方の手は右手首に引っ掛けるようにします。
- 頭部を右側へ倒し、更に顔を左斜め上に向けるようにすることで左側の胸鎖乳突筋(側頭骨と鎖骨をつないでいる筋肉)がストレッチされます(写真参照)。右側も同様にストレッチしていきます。
肩甲挙筋への静的ストレッチ
- 顔を右斜め前方に向けて、右手を頭の後ろに添えます。やはり後頭下筋群と僧帽筋上部へのストレッチと同様、耳のラインよりも上に添えるようにします。
- 頭部を前に倒し、更に左腕を上げて、その手を首の後ろに持っていくことで左側の肩甲挙筋(頚椎と肩甲骨をつないでいる筋肉)がストレッチされます(写真参照)。反対側も同様にストレッチします。
いずれのストレッチも心地よく伸ばされているところまで筋肉を伸ばし、その状態で20~30秒間伸ばし続けるようにしましょう。
ストレッチ効果を高めるポイント
首の筋肉へのストレッチの決め手は背中のラインにあります。背中を丸めてしまうと背中の筋肉へのストレッチになってしまいますので、首の筋肉へのストレッチ効果が激減してしまいます。
そのため、背すじをまっすぐに伸ばした状態を崩さないようにします。
ストレッチを行う上で注意すべき点
首の筋肉へのストレッチを安全に行うために、注意すべき点があります。それは腕の力を使ってストレッチしないようにするということです。
腕の力を使ってしまうと、ストレッチ効果よりも頚椎への負担が大きくなってしまうからです。そのため手はあくまで添える程度にとどめるようにします。
「ストレッチを行うタイミング」も重要!
ストレッチは行うタイミングも重要で、できるだけ眼精疲労や肩こりが強く感じる前に行うとよいでしょう。できるだけ早く対処することで悪化を防ぐことができる上、解消させやすいと言えるからです。
辛い頭痛に悩まされないように、早めに眼精疲労と肩こりを解消させておきましょう!
その他お仕事の合間に簡単にできるストレッチについては、「たった5分で身体をリセット!お仕事の合間にできる簡単ストレッチ」でご紹介しておりますので、是非こちらもご参考にしてください。