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通信速度がVR体験を制限する?VRと通信回線の関係


夜の街


VRデバイスは関連企業の努力によって日々性能が向上しており、かつてよりも安く、高い処理能力を持つVR対応PCや高解像度なVRヘッドセットが買えるようになっている。


こうしたデバイスの性能はVR体験の質を決める重要なものだが、見過ごせないのが回線速度の問題だ。高解像度のVR映像やVRゲームは、それだけファイルサイズも大きくなる。


スポーツ中継のようなVRライブ配信サービスを高い解像度で視聴する場合には、高速インターネットが必須になるだろう。Venture Beatに、「回線速度も、技術の普及に向けてVR産業が取り組まなければならない問題になる」との主張が掲載された。


回線が不十分な状態が続けば、VRの普及そのものに歯止めがかかる可能性もある。


回線速度とコンテンツ


VR Tennis Online

VR Tennis Onlineのトーナメント


パソコンのみならずテレビまでもインターネットに接続できる時代になり、通信回線は娯楽に欠かせないものとなっている。


スポーツやFPSのようなテンポの早いオンラインゲームを遊ぶ場合には、速度の早い回線でないと心配だ。映像配信サービスでも、帯域が細いと映像が途切れてバッファリングが始まってしまったり、低解像度モードに変更されたりする。


オンラインゲームにラグは付き物だが、VRゲームでラグが発生すれば映像酔いに繋がるかもしれない。映像だけが目に入るVRでは、身体の動きと映像の動きがズレることで気分が悪くなってしまいやすい。体質やタイトルによる酔いやすさの差はあるが、ラグが良い方向に働くことはないだろう。


広がるVRコンテンツ


一度ダウンロードしてしまえばオフラインで利用できるタイプのVRコンテンツもあるが、VR映像のストリーミングサービスでは回線の速度と安定性がどちらも重視される。FacebookやYouTubeはVRストリーミングサービスの提供を始めており、NBAも試合のVR中継を行う。


2016年に始まったVR映像のライブ配信は、今後さらに拡大していくとみられる。しかし、そのためには回線速度の向上が必要となるだろう。


VRコンテンツと通信


パノミル

VRアプリ「パノミル」は4Kとライブストリーミングに対応


高速インターネットが必要になるVRサービスも増えている。4K映像はそれだけファイルサイズが大きく、4Kライブストリーミングとなれば回線速度と安定性がどちらも重要だ。


最低2倍~の帯域幅


通常の2D映像と異なり、VRでは左右の目に違う映像を見せる。そのため、同じ解像度の2D映像よりも多くのデータが必要だ。


何も圧縮や効率化の工夫をしなければ、ヘッドセット用の映像は単純に2倍の帯域幅を取ることになってしまう。360度自由に向きを変えられる映像ならば、サイズの増加はとても2倍で済むようなものではない。


Telecom Company ARRISのCTO、Charles Cheeversは昨年、VR映像がどのくらいの速度を必要とするかを語っている。彼によれば、720pの映像でも50Mbpsが必要になるという。


これほどの通信速度を確保できる環境にいる人は多くない。アメリカでも大半のユーザは50Mbpsが実現する回線を使っておらず、大都市以外ではそのような高速インターネットサービスが存在しない場所が多い。


2015年のデータでは、アメリカの家庭を平均すると12.6Mbpsの回線を使用しているという。ただ、8割は8Mbps未満の速度だとされており、都市部とそれ以外での二極化が起きているようだ。


もちろん日本でも、50Mbpsを超える速度でインターネットが利用できる家庭は多くないだろう。理論値は速くても、実効速度は環境によって大きく異なる。


特に無線LAN環境の場合に速度の低下が顕著だ。日本の住宅事情では、隣家の無線と干渉して低速になってしまっていることも多い。


4KVRは500Mbps?


Netflixが提供する4Kストリーミングサービスは、最低25Mbpsの回線を要求する。もちろん、これはVR対応ではない2D映像の話だ。


先の数字から分かる通り、アメリカの家庭のほとんどはまだ4K映像のストリーミングサービスを利用できるほどの高速回線を使っていない。


もし4KのVR映像をストリーミングサービスで利用するなら、滑らかに動作させるために500Mbpsが必要になると言われている。


4K映像の再生が可能なVRデバイスを作ることはできても、そのデバイスに合った高解像度なコンテンツが一般に広まるのはまだ先のことになりそうだ。


圧縮とストリーミングの改善


回線そのものを速く・太くするのはシンプルで効果的な解決策だ。だが、そのためには莫大なコストがかかる。


テクノロジー企業は、データの方を圧縮して小さくする技術の開発も進めている。Facebookはそのエンコーディング技術によって、360度映像やVR映像のファイルサイズを最大80%も削減することに成功している。


また、ストリーミングの効率化にも可能性がある。FacebookはAIを活用してより効率的な配信を行えるように研究を続けているようだ。


 


VRの普及に繋がる鍵として話題になるのは、VRコンテンツとVRデバイスの二つであることが多い。この二つはどちらが欠けてもVRの普及を妨げる原因になり得るが、回線速度の問題も忘れるわけにはいかない。


特に、教育や医療といった目的でのVR利用は田舎でこそ期待されているものだ。大都市に住む一部のユーザだけがVRコンテンツを利用するのではなく、多くの人がその恩恵を受けられる環境が整備されれば、VRの広がりにも弾みが付くだろう。


Venture Beatの記事では、逆にVRの存在が通信回線の拡大に繋がる可能性についても言及されている。この二つはお互いがお互いを補助するような関係になっており、どちらかが成長すればもう一方の成長も促進されるはずだ。


 


参照元サイト名:Venture Beat

URL:https://venturebeat.com/2017/05/06/the-bandwidth-problem-5-issues-the-vr-industry-must-resolve/


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