新しいVRヘッドセットが発表されると真っ先に注目が集まるのがそのスペックだ。解像度やリフレッシュレートといったディスプレイ性能はもちろん、本体重量もVR体験の快適さを大きく左右する。価格や対応コンテンツが気になるという消費者も多いだろう。
だが、デザインもVRヘッドセットの重要な要素の一つである。見た目のイメージが変わることはもちろん、形や重量が変われば装着感も全く違ったものになる。プロダクトデザインは、ときに製品の成否を決めてしまうほどのポイントだ。
デザイナーが自分の作品を紹介できるAdobeのSNS、Behanceに布地を活かしたVRヘッドセットのデザインが掲載された。Dawn Greyのモデルは、ちょうどGoogle Daydream Viewをさらにナチュナルにしたようなデザインとなっている。
VR体験を自然に
このVRヘッドセット「VR MILD」は、韓国ソウルのデザイナーHeejin Younが提案する新しいスタイルのヘッドセットだ。彼女は、消費者がVRヘッドセットを使って視聴する360度映像にまだ馴染んでいない理由として「現行のVRデバイスがかさばって重いこと」を指摘する。
「日常生活の中で簡単・快適に使えるVRデバイス」として提案されたのがこのVR MILDだ。
馴染みのある形
このVR MILDは、エンジニアや医師といった専門家が使う工業製品のような、あるいはSF映画に登場する複雑な装置のようなものとは大きく異なる。その外観はメガネやサングラス、あるいはアイマスクのようにも見える。
日常生活の中で頻繁に目にするものに似た見た目になっていることで、消費者の心理的な抵抗感が小さくなるはずだ。全くの異物が生活に入り込んでくるよりも、見慣れた形の方が馴染みやすい。
また、本体には多くのヘッドセットの主要な材料となっているプラスチックではなく布が多用されている。優しい雰囲気を作ってVRに親しみやすくするとともに、ユーザの装着感も改善する。
人間工学に基づく形状
ヘッドセットは人間の頭に沿うようなカーブを描いており、ピッタリと顔にフィットする。ストラップは着脱式なので、不要な場合には取り外しが可能だ。
ゆったりとした気分で映像を視聴するなら、顔の上に本体を乗せて横になるとちょうど良い。頭を動かす代わりに、寝転んだままでコントローラーを使って360度映像を操作できる。
激しい動きをするVRゲームをするときには、簡単にストラップを取り付けて安定させることもできる。
シンプルで簡単な操作
電源ボタン
多くのVRヘッドセットはガジェット感があって、操作するのが難しそうだと感じてしまう消費者も多いだろう。このVR MILDは、側面のボタンで簡単にオン/オフできる。これならば迷うことはない。
難しそうだと感じるか自分にも使えると感じるかによって、その製品をユーザが手に取るかどうかが変わる。「難しそうだけどやりたいゲームのために操作を覚えよう」と考えるユーザは少なくても、「簡単そうだからとりあえず触ってみよう」と考えるユーザは多いはずだ。
360度映像用のリモコン
VR MILDのリモコンは、ゲーム用に設計されてはいない。ハンドトラッキングや傾きによるコントロール、トリガーとスティックや多数のボタンを使った操作が必要になるコントローラーとは違って非常に単純な形だ。
このリモコンには、球形のコントロール部をスライドさせることで360度映像を制御する役割がある。顔を動かす代わりに、リモコンで向きを変えることもできるのだ。
VRらしさは失われてしまうが、横になって360度映像を眺めたい気分のときには役立つだろう。VR映像視聴の心理的なハードルが下がるはずだ。
このリモコンを落とさないようにするためのストラップも、きちんとデザインが用意されている。
VRに興味を持ってVRヘッドセットの情報を集めていると、どうしても数値化できるスペックや、ライブラリに含まれる人気タイトルの方に気を取られてしまう。しかし、VR技術は多くの人にとってまだ未知の、あるいは付き合いの短い存在だ。そんなVRの普及には親しみを持ってもらうことが重要になる。
VR MILDのプロダクトデザインには、技術の最先端を目指すだけでなく消費者の生活に抵抗なく入り込めるような製品を考えることの大切さを思い出させる部分がある。もちろん性能も重要だが、デザインの改善もVRの普及に大きく貢献してくれそうだ。
参照元サイト名:Behance
URL:https://www.behance.net/gallery/50796205/MILD-VR
参照元サイト名:Pionic
URL:https://pionic.org/fabric-over-plastic-how-the-beautiful-vr-mild-will-change-your-vr-experience
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