インターネット上に公開した内容は、一体どこまで流れていくか分からない。友人への個人的なメッセージのつもりでも、外部のユーザが見られる設定になっていれば思わぬところで注目を集めてしまうこともある。
個人情報の扱いには注意しないと、トラブルに発展してしまうかもしれない。逆に、想像もしていなかったような相手から嬉しい話が舞い込むことも考えられる。
ABCが取り上げたのは、後者の一例だ。メルボルンのゲーム開発者が自分の作った作品のスクリーンショットをReditに投稿したら、彼のVRプロジェクトはNASAの宇宙飛行士が実際に使うところまで行ってしまった。
めったにないことではあるが、オープンなインターネットではこんなことも起こり得る。
Redditにスクリーンショットを
絵、文章、ゲームといった作品ができたら、公開したいと思うのは自然なことだ。人に見せるためではなく自分のための作品として作ることもあるが、そうでなれば誰かに見てほしい。
メルボルンのゲーム開発者、Emre DenizがRedditに自分のVR作品のスクリーンショットをアップロードしたのもNASAにアピールするためではない。ただ宇宙やVRゲームが好きなRedditユーザからのフィードバックをもらおうと考えたに過ぎなかった。
彼が投稿したスクリーンショットは、NASAが所有する複数の研究所から注目を集めた。朝には3つの研究所から、それぞれに連絡があったという。
NASAとの協力
EarhlightはEmreのゲーム会社Opaque Mediaが制作したVR作品だ。リアルで没入感のある作品ではあるが、宇宙飛行士がトレーニングに使うシミュレーターとしてではなく一人称視点のVRゲームとして作られた。
NASAからメッセージを受け取ったEmreは、不安だったし動揺していたという。彼の言う通り、NASAからプライベートメッセージを受け取るのはよくあることではない。しかし、NASAの人々はEathlightに強い興味を持っていたという。
EmreはNASAと協力してEathlighの開発を進めることになった。今度は単なるVRゲームとしてではなく、宇宙飛行士やエンジニアが使うトレーニングツールとしてだ。
「退屈だったから」という理由でVR空間に宇宙ステーションを作ったことから始まったプロジェクトが、本当に宇宙開発で使われるという嘘のような出来事はこうして起きた。
Earthlighの利点
NASAの研究者たちも、単にEarthlightのクオリティが高いからトレーニングに採用しようとしているわけではない。NASAには宇宙飛行士がトレーニングをするために作られた独自のシミュレーションシステムがある。しかし、Earthlightはそのシステムによる訓練よりも簡単かつ使いやすいという。
宇宙飛行士が行っていたこれまでの訓練方法では、トレーニングに数時間かかる。それは40人から50人が関わる一大事業だ。VRを使ったEarthlightならば、40人のスタッフに協力してもらわなくてもいくばくかのスキルやナビゲーション感覚を身につけることができる。
VRによるトレーニングだけで完璧にすることはできなくても、基礎となる部分を育てておけばトレーニングにかかるコストの削減に繋がるはずだ。将来の宇宙飛行士候補は、Earthlightを使ったトレーニングを終え、その上級編としてプールや航空機を使った本格的なシミュレーションを行っていくことになるだろう。
一般公開される?
EmreのコメントやEarthlightのサイトで公開されている情報を読む限りでは、このコンテンツはNASAの専用にはならないようだ。公式ブログも最近ほぼ一年ぶりに更新されており、Twitterでも積極的に情報が公開されている。
EarthlightはHTC Vive、OculusRift、PSVRの三つ全てに対応するという情報も出ていたが、現在は確認できない。公式サイトからはメールアドレスを登録することができるため、SNSまたはメールで情報をチェックするのが良さそうだ。地球で体験できる最も本物に近い宇宙として、一般ユーザ向けにもEarthlightが公開されるのを待とう。
宇宙ステーションを再現したVRコンテンツとしては、『Mission: ISS』がつい先日登場したばかりだ。こちらにも実際にISSに行った宇宙飛行士が協力しているという。Mission: ISSはViveではなくRift用の無料タイトルとなっている。
参照元サイト名:ABC
URL:http://www.abc.net.au/triplej/programs/hack/how-melbourne-developers-got-nasas-attention/8386580
参照元サイト名:Earthlight VR
URL:http://www.earthlightvr.com/
参照元サイト名:Twitter
URL:https://twitter.com/OpaqueMM
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