各種VRヘッドセットの中でも、PSVRの売上が好調だ。日本メーカーへの安心感、PS4があれば使える手軽さ、手を出しやすい価格、豊富な日本語コンテンツなどがその理由だろう。VRInsideでも、PSVRの再入荷に関する記事が長く人気ランキングに入っている。
先週末には世界累計販売台数が91万5,000台と発表されたPSVR。この状況について、他のヘッドセットを製造しているメーカーはどのように考えているのだろうか? ライバルの売上に関するコメントは公式に発表されるようなものではないが、UploadVRがViveで中国を代表するAlvin Graylinへのインタビューに成功掲載している。
彼のコメントからは、ViveとPSVRのターゲット層の違いも見えてくる。
Sonyへの賛辞
2017年のモバイル・ワールド・コングレス(MWC)で、GraylinはUploadVRに対してVR業界全体を見据えたコメントをしている。「現時点では、VRコンテンツの増加とVRユーザの増加が業界全体の成長を後押ししてくれる要素です。我々は、Sonyを心から祝福します。彼らは本当によくやっていると思います」と、GraylinはSonyの成果を讃えた。
一方で、Viveの販売数に関する情報は明らかにしなかった。「現在の販売状況に満足しています。その数字は、消費者が高品質なVRに対して支払いをする用意があることを示しています」とコメントするに留まった。ただ、これまでの販売台数は非常に誇らしいものだとしている。
ViveとPSVRの差
「どのようにPSVRユーザをPCベースのVRへと引き込むか」と質問されると、Graylinは「それは意味がありません」と答えている。
ViveとPSVRはどちらもモバイルVRではなく専用のヘッドセットを使うハイエンドシステムと扱われがちだ。しかし、PSVRユーザは、Viveのターゲットとしているユーザとは異なる層だという。
彼は、「PlayStation(PSVR)は既存のPlayStationユーザをターゲットとするのが良いと考えている」という。一方で、「Viveは最高の経験ができる最高のコンテンツによって最高のユーザを引きつけることを狙っています。ユーザが最高の体験を望むのならば、Viveを選んでくれるでしょう」という姿勢だ。
たしかにHTC ViveとSony PSVRはいずれもモバイルVRに比べるとかなり高価なデバイスだ。しかし、両者の性能にはかなり開きがある。
PSVRは399ドルと本体価格が安い上に、PS4も250ドルなので安価にVRシステムを構築できる。反面、ポジショナルトラッキングに使うカメラは1台だけである。
Viveは799ドルと本体価格が高い。おまけに動作させるためにハイスペックなPCを必要とする。VR対応の低価格なモデルも増えているが、PS4よりは高価だ。その代わりとして、2つのセンサーを使ったルームスケールVRが利用できる。
Graylinの言うように、各ヘッドセットでVRを体験するユーザが増えて業界全体が活性化するのが理想的な形である。ユーザの増加はデベロッパーの増加に繋がり、良質なコンテンツがさらにユーザを呼び込むという循環を生み出してくれるはずだ。
そうは言うものの、企業の代表としてライバルにあまり強い言葉を使うわけにもいかない。ユーザの感覚としては異なるターゲットに向けて製品を開発してくれると選択肢が増える。これがどこまで企業の方針を正直に示した発言なのかは不明だが、それぞれの目標を目指した前向きな競争に期待したい。
三大ヘッドセットメーカーのもう一つ、Oculusの考えも気になるところだが、こちらは特にPSVRの売上に対するコメントを出していないようだ。
参照元サイト名:UploadVR
URL:https://uploadvr.com/htc-psvr-sales-happy-sony-proud-vive-sales/
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