European Cleaning Journalに、AR-Check開発者であるマルティン・クジーロの声が掲載されている。AR-Checkは清掃業務を効率化し、コストを削減するためのソリューションである。
清掃業務
AR-Checkの第一の機能が清掃作業そのものの効率化だ。そのためには、ARグラスと清掃用具(掃除機、モップ、手袋その他)に取り付けるセンサーが必要だ。
ARグラスを通してみると、上の画像のように「掃除した場所」と「まだの場所」が一目瞭然だ。赤の場所を減らしていき、全体を緑に変えることができれば清掃完了となる。
また、掃除の仕方が悪ければそれを確認することもできる。掃除機をかけるスピードが速すぎれば十分にゴミを吸い込むことができないし、窓を拭く力が弱すぎれば汚れが残ってしまう。その場合は、ARグラスにNGの表示が出るはずだ。
一人で部屋の掃除をするときでも、どこまで終わったのかわからなくなってしまうことはある。複数人で分担する清掃業務となればなおさらで、同じ場所を何度も掃除してしまえば時間のロスになる。AR-Checkは他のメンバーが掃除した場所もまとめて管理できるので、終わっていない場所だけを効率的に掃除することができる。
管理業務
AR-Checkには、管理ツールとしての側面もある。複数の作業員が分担して清掃する場合、それぞれの貢献度を判断するのは難しい。狭い場所に時間がかかりすぎても良くないが、ゴミを残したままでは掃除の意味がない。
AR-Checkならば、それぞれがいつどこを掃除したのかが自動的に記録されていく。そのため、優秀な作業員や給料の割に仕事をしていない作業員、技術が未熟なために時間がかかってしまっている作業員を見つけ出すことができる。
状況によっては待遇を変えたり、研修を受けさせたりする必要があるかもしれない。
AR-Checkの今後
12年に渡って清掃請負会社のCEOを務めていたクジーロは、「清掃作業には手作業の部分が多いため、ヒューマンエラーが起きやすい」という。通常は教育や組織化によってミスを減らすが、そのためには余分な人件費や社員の教育コストがかかる。AR-Checkならば低コストで安定したパフォーマンスを実現できるという。
AR-Checkの導入にはARグラスが必要だが、スマートフォンを使うよりも簡単で便利なので多くの場合は歓迎されるそうだ。
また、AR-Checkには楽しめるような要素もある。汚い場所に現れるモンスターを掃除して倒していくことで、ユーザのスコアが上がるのだ。クジーロは、
「ゲームと仕事を組み合わせることで、より高いレベルの清掃を実現することができます。人々は自分の仕事を楽しむことができるし、楽しむべきです」
と述べている。
AR-Checkは2014年に特許を取得し、2年以内に国際的に展開することを目指している。国際展開を考えているだけあって、既に日本語のPDFパンフレットも用意されている。
一見すると管理者目線で作られた管理システムであり(実際、清掃会社のCEOが作ったのでその通りである)、作業者にとってはあまりメリットがないようにも感じられる。しかし、自分自身の作業が効率良く行えるようになる上に、努力が他人からも見えやすい形で残ると考えれば悪くはないかもしれない。
ARが普及すればこういった業務効率化ソリューションは多数登場するだろうが、成功の鍵は社員に価値を提供できるか否かにあるのではないだろうか。
監視するためだけのセンサーを付けられれば、不満が溜まってしまう。ARグラスで必要な情報が提供されるなら社員にとっても便利だし、ちょっと楽しめるような要素が用意されていれば、それだけでモチベーションは高まるものだ。
参照元サイト名:European Cleaning Journal
URL:http://www.europeancleaningjournal.com/magazine/articles/special-features/augmented-reality-the-next-big-thing-in-cleaning
参照元サイト名:The Memo
URL:http://www.thememo.com/2017/02/07/ar-check-augmented-reality-cleaning-mixed-reality-2017-virtual-reality/
参照元サイト名:AR-Check
URL:https://ar-check.com/
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