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これが究極のターミナルケアの形?VRで死後を体験することで、死の恐怖を克服する実験


ジョージタウンの墓地


The SunがVRと「死」あるいは身体感覚を扱った実験を取り上げた。


人間と死


人間はいつか死ぬ。誰もが知っている事実でありながら、自分も死ぬという認識を持っている人はそうそういないのではないだろうか。


文明が発展するに従って死は隠され、日常から隔絶されたものになった。医療や葬儀に関わる仕事に就いているのでなければ、現代の日本で死を目の当たりにすることはほとんどない。


誰も死んだらどうなるかを知っている人はいない。それを知った人は既にこの世にいないからだ。それなのに、あるいはだからこそ、死は恐ろしいものとなる。


未知の恐ろしさに抵抗するため、世界中の宗教が死後について考えてきた。肉体と魂が別れた後に復活すると考えるもの、この世界と繋がっているか、あるいは全く別に死後の世界があると考えるもの、死後には何もないと考えるものなど、様々である。


そういった教えは死に向かう心構えを助けてくれるかもしれない。だが、VRならばシミュレーションすることまでできる。


メル・スレーターの実験



VRと身体感覚に興味を抱く研究者、メル・スレーターはバルセロナ大学のチームと協力してある実験を行った。VRのデス・シミュレーターで被験者に死を疑似体験してもらったのだ。


実験を開始する前に、被験者の集団が「どのくらい死を恐れているか」を調べる質問をする。これで準備は完了だ。


実験の第一段階では、被験者にVRの手足を動かす練習をしてもらう。被験者は椅子に座り、目の前のテーブルに足を乗せた状態だ。


ヘッドセットを付けると、画面の中には普通の部屋が広がっており、主人公は自分と同じ状態で座っている。視点は主人公のものであり、ちょうどFPSのように手と足が視界に入る。


これは通常のVRの感覚と変わらない。主観視点で体を動かすことのできるコンテンツだ。


しばらくすると、VRの部屋にボールが現れる。このボールは手足でバウンドさせることができるので、被験者は体を動かしてそれを手や足で受け止める。


ボールが当たると、振動によるフィードバックが得られるため、これが自分の身体であるという感覚が強くなる。しばらくこれを続けていると、徐々にVRの身体を操作することに慣れて、ボールをコントールできるようになる。


ここで、カメラが主人公の後方に移動する。VRで一般的な一人称視点から、アクションゲームに多い三人称視点にシフトし、主人公の斜め後方から見下ろす形になる。それでも、被験者の多くがVR上の身体を自分だと感じることができた。


その結果、自分自身の背中を空中から見下ろすという現象が起きることになる。通常ではありえない感覚だ。


最後に、被験者は再び死を恐れている程度を質問される。


実験の結果


この実験で身体から外に出る経験をした被験者は、死への恐怖が薄れている傾向が見られたという。これは、何らかの理由で体外離脱体験(自分の身体から意識が外に出る体験。しばしば意識のない自分の身体を見ることもある)をした場合と同様であるらしい。


体外離脱を経験すると、肉体と意識は別物であり、死後の世界が存在するという感覚が強まることが多いという過去の研究とも一致している。


人間の意識と感覚に関わる問題の追求に、VRが利用された例だ。


補足


The Sunの記事では”Death Simulator”とされているが、この名前はやや誇張し過ぎかもしれない。掲載された記事を読む限り、この実験では体外離脱を体験させたようだ。


VRで被験者の意識を肉体の外に移動させることで、意識あるいは魂のようなものが肉体とは別に存在し得るという感覚を持たせたらしい。人間の意識に関する興味深い実験ではあるが、これで死を理解したと考えるのは時期尚早だろう。


ただ、こうしたシミュレーションがターミナルケアに利用できる可能性はある。科学によって得られる死後生の実感が死への恐怖を和らげてくれるかもしれないからだ。現代人にとっては、宗教よりも科学の方が信じやすいだろう。


心理や意識の研究におけるVRの可能性を感じさせる実験には違いない。


 


参照元サイト名:The Sun

URL:https://www.thesun.co.uk/news/2694271/virtual-reality-death-simulator-could-cure-societys-fear-of-dying/


参照元サイト名:Mel Slater’s Presence Blog

URL:http://presence-thoughts.blogspot.jp/2014/02/the-presence-of-your-distant-virtual.html


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