海外メディアVRFocusは、2016年11月14日の記事において、MITが発表したVRヘッドセット無線通信技術について報じた。
同メディアによると、MIT(マサチューセッツ工科大学)所属のCSAIL(Computer Science and Artificial Intelligence Laboratory)は、このほどミリ波を用いたワイヤレスVRヘッドセット通信技術に関する論文を発表した。
ミリ波とは、波長が1〜10mmの文字通り波長が短い電波でGbps(1秒間に1ギガバイトの通信)レベルの大容量のデータを送信できて、直進性が高いという特徴をもっている。
発表された論文ではミリ波を用いたワイヤレスVRヘッドセット通信技術を「MoVR」と命名しているのだが、その仕組みはPCにミリ波の発信器、VRヘッドセットにはミリ波受信器を取り付け、ミリ波の送受信にはミリ波トランスミッターを中継させるようになっている(上の図を参照)。
PCとVRヘッドセットが適切な位置関係にある時はミリ波による直接的な通信が可能なのだが、例えばVRヘッドセットを装着したプレイヤーが首を振ったりすると、直進性の高いミリ波による通信では届かない位置関係になってしまい、無線通信が途絶えてしまう。
PCとVRヘッドセットが直接ミリ波通信できない場合、PCはミリ波トランスミッターを経由してVRヘッドセットと通信するのだが、このトランスミッターにこそMoVR最大の革新性がある。
同トランスミッターには、直進してきたミリ波の反射を制御する機能が実装されているので、VRヘッドセットのミリ波受信器がどのような位置にあっても、ワイヤレス・ミリ波通信を可能とするのだ。
こうしたミリ波の反射を制御する技術は、もともとはプログラミング可能な鏡「programmable mirror」を開発する過程で発明されたものであった。
通常の鏡だと入射角と反射角が等しくなるのだが、programmable mirrorの技術を使うことによって、反射角を自由に制御できるようになる。
ちなみに、CSAIL研究グループによると、実験にはHTV社のVIVEを使っていたのだが、MoVRは全てのVRヘッドセットに応用可能であり、さらには複数のVRヘッドセットにミリ波を送信できる、とのこと。
同システムが実用化されれば、ワイヤレスVRヘッドセットを用いたマルチプレイが可能になるのだ。
ワイヤレスVRヘッドセット通信技術は、最近中国メーカーTPCASTも発表しており、案外早く実用化されるかも知れない。
MITから発表されたミリ波を使ったワイヤレスVRヘッドセット通信技術についての論文
http://www.mit.edu/~abari/Papers/Hotnets16a.pdf
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