2023年2月1日、NTTは新たなメタバースサービス「MetaMe」を、2月2日から28日までオンライン開催される「docomo Open House’23」にて展示発表することを明らかにしました。
「MetaMe」には、他者や社会との繋がり作りを支援するためのコミュニケーションサービスとして開発されていて、『人デジタルツイン技術』が試験的に実装されています。
「MetaMe」とは
MetaMeは、バーチャル空間において、他の利用者とコミュニケーションを通じて『私らしさ』を育むことができるコミュニケーションサービスです。
・10,000人以上の超多人数接続を可能とするUXの整備
・リアルとバーチャル2つの行動解析
の2つの要素が特徴となっています。
NTTがかねてより取り組んできた、
①気持ちそのものを伝えるコミュニケーション技術(感性コミュケーション)
②人と共に成長・共存する分身技術(Another Me)
③未来社会の姿を探索する技術
④地球と社会・経済システムの包摂的な平衡解を導出する技術
のうち、感性コミュニケーション・Another Meのプロトタイプが試験的に実装されています。
現在はβ版となっており、2月21日よりβ版の一般公開が行われることが発表されました。
他者や社会との繋がり作りを支援する「感性コミュニケーション」「Another Me」
「感性コミュニケーション」「Another Me」を実現するため、ドコモが開発してきたのが、
「脳内表象可知覚化技術」「個人性抽出技術」:人の深い理解を可能にする技術として、個人の持つ感性や価値観まで推定する
「個人性再現対話技術」:自分のAnother Meが自律的に社会活動を行うため、本人のように話すことができるようにする
といった技術です。
脳内表象可知覚化技術について
心の中の捉え方や感じ方を直接的に理解するための新しいコミュニケーション手段の1つとして開発されました。
NTTは、心の動きを生み出す脳に着目し、脳内の反応と内面状態の関係をモデル化し図形等を用いて可知覚化する、脳内表象可知覚化技術に取り組んでいます。
それを応用した「脳内表象可知覚化技術」は、従来の言語・非言語コミュニケーションでは伝達しきれない感情や認知の微細な変化を含む感性状態を「脳の表情」と捉え、読み取り、知覚可能にし、提示するための技術です。
この技術により、ユーザ自身や他者の捉え方・感じ方の理解を促進し、コミュニケーションの量・質を高めることが期待されます。
個人性抽出技術について
個人の行動ログから、行動に影響を与える性格・価値観・趣味などの情報を埋め込んだベクトルを学習する技術です。
これにより、価値観の類似度を比較して、価値観の近い人同士を見つけたり、多様な価値観を持つグループを作ったりと、本人の価値観にあった行動をAnother Meが再現できるようになります。
個人性再現対話技術
指定したプロフィールや趣味などに応じた発言ができる対話AIを実現するなど、発言内容に一貫したキャラクター性を持たせることを可能とする技術です。
本人の特性に基づき自律的に行動する人のデジタルツインを実現するための要素技術になります。
MetaMeではプロトタイプとして実装
上記の技術がMetaMeに試験的に実装されたことが発表されました。
その内容は以下の通りです。
脳波を活用したコミュニケーション支援
MetaMeの世界で絵画や動画を複数人で見たとき、その際に生じる様々な感情の変化を表す脳波を簡易脳波計によって取得することができます。
さらに、取得した脳波を脳内表象可知覚化技術によりアバターがまとうオーラとして互いに見えるように可視化します。
見たものによって変化するオーラを通じて、相手や自分の感情の変化が表現されることによって、相互の関心・理解を高め、コミュニケーションの活性化を実現していくとのことです。
ペット型Another Me
Another Meのプロトタイプとして、本人と近い個人性や価値観を持ち自律的に行動するペット型Another Meが展示されます。
MetaMeの中で、ペットの姿をしたAnother Meを介して新しい出会いやコミュニケーションを体験可能です。
ペット型Another Meには個人性抽出技術と個人性再現対話技術が搭載されており、自分と似た個性を持つ自分だけの『ペット』が、自分と価値観の合うユーザを見つけ、会話時に共通の話題を提供してくれます。
また、他の人の『ペット』との会話を楽しむこともでき、これによりペット型Another Meがリアルな本人同士の『かすがい』になるとのことです。
まとめ
NTTドコモの新しいメタバース「MetaMe」が発表されました。
このMetaMeにはNTTがかねてより開発してきた感性コミュニケーション・Another Meのプロトタイプが試験的に実装されています。
心の動きや感情をAIが分析して、より深いレベルでのコミュニケーションが期待できるのが特徴です。
メタバースでの環境や人間関係が自分好みになりやすいというメリットがあります。
その一方で、心の領域をテクノロジーが侵していくことにつながらないように注意が必要になるのではないでしょうか。
いずれにしても、よりよいメタバース体験につながっていくことに期待したいですね。
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