株式会社クリーク・アンド・リバー社は2022年4月19日(火)、同グループのVR分野の子会社・株式会社VR Japanが、順天堂大学医学部呼吸器外科学講座とのARを用いた安全な「胸腔ドレーン挿入法(胸腔ドレナージ)」の共同研究にて、AR技術の提供とシステム開発を担当することを発表しました。
またこの研究に対するシステム構築の早期実現に向け、順天堂大学がクラウドファンディングを開始しています。
ARを活用した安全な胸腔ドレナージの共同研究を開始
今回開始が発表された共同研究は、順天堂大学医学部呼吸器外科学講座(主任教授:鈴木健司)と株式会社VR Japanが進めるもので、ARを用いた安全な「胸腔ドレーン挿入法」の実現に向けて研究が進められていきます。
この共同研究においては、VR Japan社がAR技術の提供とシステム開発を担当しており、ここでは、予め撮影したCT画像を
・臓器
・血管
・神経
の位置関係を3D画像データとして処理して立体的に把握できるようにし、術者が装着するARグラス上で患者の画像に重ね合わせるとういう仕組みが採られています。
これによって、あたかも眼前の患者の体内を透視しているような環境下で施術できるため、安全にドレーンチューブを体内に挿入することが可能になると期待されており、その手法と技術の研究が行われていきます。
安全な胸腔ドレナージの実現に向けて
体腔内の状況をできるだけリアルタイムで認識することは、安全にドレナージを行うために重要な事柄の1つで、現在では超音波によって、腹腔内の臓器の位置や腹水の貯留状況を知る手法が多用されています。
その一方で気体が介在する胸腔では、超音波が気体に跳ね返されてしまうということから、胸腔ドレナージの際には超音波検査を用いることができないという実情があり、そのためあらかじめ胸部CTを撮像し、施術前に術者が頭の中で詳細に分析したうえでドレーンを挿入する手法が採られています。
しかしこの方法では、実際には施術が極めて困難となるケースが多く生じているのも事実で、重大な合併症を引き起こす胸腔臓器損傷もしばしば発生することからも、安全な胸腔ドレーン挿入法の開発が不可欠とされてきました。
この現状を打破するために今回の研究が推進されており、ここではARを用いて胸部CTの情報をARグラスに反映して“体腔内を透視した状況”を実現し、胸腔ドレーンの安全な挿入をサポートするシステム構築の研究が進められていきます。
クラウドファンディングを実施
この研究に対するシステム構築の早期実現に向けて、順天堂大学が今月18日(月)よりクラウドファンディングを開始しており、
「肺がんなどの治療で行う胸腔ドレナージ|映像技術の開発で安全性向上へ」
という名称で、国内最大のクラウドファンディングサイト”READYFOR”にて5月31日(火)23:00まで実施しています。
目標金額は6,500,000円となっており、詳細はクラウドファンディングサイトか下記のQRコードにて確認できます。
問い合わせは順天堂大学大学医学部 呼吸器外科学講座(03-3813-1111)まで。

クラファンQRコード
クラウドファンディング実施にあたって
今回のクラウドファンディング実施にあたって、順天堂大学医学部 呼吸器外科学講座 主任教授の鈴木健司さんからのコメントが公開されています。
日々行われるドレナージですが、安全に行うための方法が確立されていないと感じてきました。
この度、患者さんのためにドレナージの安全性をより高めることを目指し、クラウドファンディングを活用し、実現に向けて動き出します。
患者さんにとって“より安全に”医療を受けることができる未来、そして医師にとっても、テクノロジーの力を借りてより簡単に施術ができる未来を目指して。
皆さまのあたたかい応援・ご寄付を、心よりお待ちしております。
よろしくお願いいたします。
引用:プレスリリース
まとめ
C&RグループのVR Japan社が今回、順天堂大学との共同研究でAR技術提供とシステム開発を担当することを発表しました。
ここでは、ARを活用した安全な胸腔ドレナージの手法と技術の研究が進められていき、またシステム構築のためのクラウドファンディングを、順天堂大学が5月31日まで実施しています。
最近は医療分野でもXRの導入が進んでいますが、今回の研究が実用化されれば、より安心な医療の提供に繋がりますね。
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