株式会社ジョリーグッドと杏林大学は、コロナ禍においても妊婦と新たな命を守るため、感染症対策も考慮した産科において最も緊急性の高い手術をVRでトレーニングできる『超緊急帝王切開VR』を開発したことを発表しました。
「超緊急帝王切開VR」開発の背景
近年、社会の変化に伴い高齢妊娠の増加を一因とする、妊娠高血圧症候群などの妊娠合併症や成人病合併妊娠が増加してきています。
また周産期医療の進歩により、これまで妊娠・出産が困難とされたさまざまな疾患を有した妊娠も増加していてハイリスク妊娠・出産も増えてきています。
『超緊急帝王切開』は母児に生命の危険が迫る状況で緊急的に行われる手術であり、一刻も早い胎児の娩出が求められる中で、多くの医療スタッフの連携が不可欠となっている一方、あらかじめ予定手術として実施することが不可能であり、教育しながら施行することができません。
そこで、ジョリーグッド社が提供している臨床実習VRプラットフォーム「オペクラウドVR」にて、今回の「超緊急帝王切開VR」の制作・開発が行われました。
コロナ禍でも連携トレーニングを継続するために
多くの医療スタッフの連携が不可欠となるため、本手術のチーム連携トレーニングを行うことは極めて重要であるのの、今のコロナ禍では実習等の教育の実施も難しくなってきています。
そこで杏林大学では、コロナ禍でも必要なトレーニングを維持継続するため、医学部生への教育はもちろん、研修医や看護師・助産師の教育にもVRが活用されています。
また本取り組みは、文部科学省の令和2年度「感染症医療人材養成事業」の一環として行われています。
VRトレーニングで手術時間の更なる短縮を
緊急搬送される妊産婦の中には、一刻を争う非常に危険な状態であるケースもあります。
スーパー総合周産期センターとして指定されている杏林大学医学部付属病院では、極めて緊急性の高い『超緊急帝王切開』が年間十数件行われており、これは母児に生命の危険が迫る状況で緊急的に行われる手術なため、一刻も早い胎児の娩出が求められます。
現在、グレードA宣言(超緊急帝王切開術施行の宣言)から、11分を要している胎児娩出までの時間をさらに短縮するには、産科医、助産師はもとより小児科医、麻酔科医、看護師など多くの医療スタッフの連携が必要不可欠です。
そのため、各施設では人材の育成のために定期的な多職種連携トレーニングが実施されています。
チーム医療を学ぶ『超緊急帝王切開VR』では、実際に治療を行う医師の目線で手術室内の医療スタッフの動きを360度見回して確認することが可能なため、それぞれ違う役割担う9名の医療スタッフが、最短工数で対応し1分1秒を急ぐ緊急対応を学ぶことができます。
感染症診療教育にもVRを活用
本VR事業では、『超緊急帝王切開』だけではなく感染症診療に対する教育コンテンツも開発されています。
ここでは新型コロナウイルスだけではなく、感染症に罹患していると思われる外来患者の診療ポイントを学ぶことができます。
まとめ
ジョリーグッド社は、杏林大学と共同で高度なチーム連携が求められる『超緊急帝王切開』の連携トレーニングが行える産科VRを開発しました。
杏林大学の谷垣伸治先生は、「実体験に近いVRはチーム医療の最も重要な要素習得ができる」と評価しています。
また、合わせて開発された『感染症診療』についてもVRで「安全な」臨床実習機会を提供し、今、求められている「感染対策を行える医療従事者」の育成に大きな期待が寄せられています。
ソース:プレスリリース[@Press]
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