FacebookのCEOマーク・ザッカーバーグ氏は同社をメタバース企業にしていくことに熱心に取り組んでいます。
メタバース向け製品・コンテンツを次々打ち出し、先日も5,000万ドル(約55億円)のファンド設立などを発表しました。
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そんな中、10月中頃にメタバース構築のためにヨーロッパ全域のFacebookで10,000人の新しい雇用を創出する計画が明らかになりました。
「メタバース」の実現に大きく注力するFacebook
画像:Facebook horizon
メタバースは、仮想体験と世界がある程度の接続性、相互運用性、アイデンティティを共有する一種の没入型インターネットとして大まかに定義されています。
しかし、Facebookはまだメタバースの同社のビジョンについては全体像を明らかにしていません。
ただ、Facebookは、メタバースはARやVRと並んで、2014年にOculusを買収して以来、早期に把握することを目指してきた「次のコンピューティングプラットフォーム」と呼ばれるものを表していると考えているようです。
同社のニュースリリースにおいて、グローバルアフェアーズ担当副社長のニッククレッグとセントラルプロダクツ担当副社長のハビエルオリバンは次のように説明しました。
メタバースを所有および運用する企業はありません。インターネットと同様に、その重要な機能はそのオープン性と相互運用性です。これを実現するには、企業、開発者、作成者、政策立案者間のコラボレーションと協力が必要になります。
この意見を反映するようにFacebookはかねてより開発を進めてきたソーシャルVRプラットフォーム「Facebook Horizon」からブランドを削除し、「Horizon Worlds」に改称しています。
また、リモートコラボレーションのために設計された「Horizon Workrooms」ではZoomを利用できるようになるなど、メタバースのプロジェクトから「Facebook」の独占的な要素を徐々に希釈しようとする姿勢を見せているようです。
なぜヨーロッパなのか?
その上で、Facebookにとっては「製品と技術の才能への継続的な投資と、(メタバース)ビジネス全体の成長」が必要になるとしています。
同社はメタバースの取り組みをサポートする「新しい高度なスキルのある仕事」を生み出す雇用を増やすことを決定しました。
では、なぜ雇用創出の舞台がヨーロッパなのでしょうか?
Facebookは同社にとってヨーロッパは、何千人もの従業員からアプリやツールを毎日使用している何百万もの企業まであるため、非常に重要な地域であるとしています。
これらのほかにも、ヨーロッパは
大規模な消費者市場
一流の大学
最高品質の人材
などを抱えており、メタバース実現を目指すテクノロジー企業が投資するのに最適な場所となる多くの利点があると考えているようです。
まとめ
Facebookがヨーロッパにおいてメタバース構築のために1万人の雇用を創出することを計画していると明らかになりました。
オンライン食料品の配達からニューロエレクトロニクスまでスタートアップに積極的な投資を行うスペインや国を挙げて2023年までにキャッシュレス社会を目指すスウェーデンなど、メタバース実現の基盤が育っていることが理由に挙げられます。
しかし、ヨーロッパにおいてメタバースの土壌ができつつあるという指摘以上に興味深い記述がFacebookのブログ投稿に見られます。
例えば、以下の点です。
新興技術の才能だけでなく、インターネットの新しいルールを形成する上で重要な役割を果たしています。
ヨーロッパの政策立案者は、表現の自由、プライバシー、透明性、個人の権利などのヨーロッパの価値観をインターネットの日常業務に組み込むことを支援する方法を先導しています。
ヨーロッパ(EU)がインターネットのプライバシー保護について厳格な姿勢をとっており、特にGAFA企業が槍玉にあげられることが多いことは知られています。
このような地域で1万人の雇用の発表をすることは企業の政治的影響力を高めることにつながるはずです。
Facebookはインターネットのポリシーと規制の議論において影響力を持つことになれば、メタバース実現にとってだけではなく、既存のオンラインビジネスにおいても有利に働くと思われます。
ソース:Facebookニュースリリース
参考:Facebook To Create 10,000 European Jobs To Build Its Metaverse[VR Focus]
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