海外メディアUploadVRは、Oculus幹部の開発中のVRヘッドセット「Santa Cruz」に関する発言を報じた。
Oculusの将来はスタンドアロン型にある?
同メディアによると、Oculus社のコンテンツ部門ヴァイス・プレジデントのJason Rubin氏は、海外メディアRolling Stoneから受けたインタビューにおいて、同社が開発しているスタンドアロン型VRヘッドセット「Santa Cruz」(現在はコードネームで呼ばれている)に言及した。
同インタビューにおいて、同氏は同社が進めているVRを普及させるふたつの施策について語った。同氏によると、ひとつめの施策はOculus Goの発売であり、もうひとつの施策がSanta Cruzの開発だというのだ。
このふたつの施策に関して、同氏は以下のように述べている。
Oculus GoとSanta Cruzというふたつのプロダクトの組み合わせこそが、(Oculus社の)VRヘッドセットの第2フェーズとなるのです。
Oculus RiftはあまりにもPCと密接になり過ぎています。対してSanta Cruzは、本質的にオールインワンなモバイルRiftなのです。
この第2フェーズを成し遂げることは、新しいコンピュータ・プラットフォームを誕生させ、ヒトに今までしていなかったことをさせるための大きなチャレンジとなるのです。
以上の発言における「オールインワン」とは、VRヘッドセットにトラッキングセンサー等が内蔵されて単体動作が可能であることを意味していると考えてよいだろう。それゆえ、「オールインワン」は「スタンドアロン」と読み替えることができる。
同氏が言うところの「第2フェーズ」を代表するプロダクトに共通する特徴は、単体で動作する「スタンドアロン型」であることだ。裏を返せば、スタンドアロン型ではないOculus Riftを主力商品として位置づけることに固執していない、とも解釈できる。
さらにSanta Cruzを「オールインワンなモバイルRift」と表現したことから、Santa CruzがOculus GoよりハイスペックなVRヘッドセットと位置づけられることを示唆している。というのも、Oculus Goは(モバイル型VRヘッドセットの)「Gear VR」とOculus Riftの中間に位置づけられるとされており、Riftと同等と捉えていないと考えられるからである。
同氏の発言とOculusの最近の動向をまとめると、同社は今後スタンドアロン型VRヘッドセット市場に価格帯の異なる複数のVRヘッドセットを投入して、さらなるVRの普及を図る、という展望を抱いているののではないかと推測される。
いずれにしろ、2018年は「スタンドアロン型VRヘッドセット元年」として幕を開けるとみて間違いないだろう。
Oculusの第2フェーズを担うVRヘッドセットとライバルたち
スタンドアロン型VRヘッドセットに関して、VR市場におけるプラットフォーマー企業は開発にしのぎを削っている状況である。
Oculus Go
前述したとおり、Oculus GoはGear VRとOculus Riftのあいだに位置づけられるVRヘッドセットだ。
「モバイルVRではクオリティが物足りない、しかしPCベースのVRは難しそうor高価すぎて手が出しにくい」と思っているユーザ層は、多数存在していると考えられる。
Oculus Goは、スタンドアロン型でなおかつ$199(約¥23,000)という低価格から、VR市場に新たなユーザを呼び込む可能性に満ちているのだ。
Santa Cruz
Oculusが研究を進めるスタンドアロンタイプのVRデバイスはOculus Goだけではない。それがSanta Cruzだ。
同VRヘッドセットは、昨年のOculus主催の開発者カンファレンスOculus Connect 3において動画で紹介されたのだが、当時は後頭部に当たる箇所に大きな処理部が存在していた。今年の動画を見るとかなりスッキリしたデザインになっているようだ(上の動画参照)。
同VRヘッドセットにはOculus Touchとよく似たこのコントローラーが実装されており、RiftやTouchのために開発されたテクノロジーが応用されていると考えられる。まさにOculus Riftに匹敵する「スタンドアロンなRift」を目指しているのだ。
HTC、Google、Samsungのスタンドアロン型VRヘッドセット
以上のようなOculus GoとSanta CruzのライバルとなりうるVRヘッドセットが、現在のところ3機種存在する。
ひとつめは、HTCが開発しているVIVE Focusだ。
同VRヘッドセットの仕様は、Oculus Goを踏襲していると見られる。注目すべきは、HTCが同VRヘッドセットに関する独自プラットフォームの構築を明言していることだ。
ちなみに、同VRヘッドセットは開発開始時点ではGoogleが展開するVRプラットフォームDaydreamに対応する予定だった。つまり、HTCはGoogleと袂を分かってまで独自プラットフォームにこだわったわけなのだ。
ふたつめが、Lenovoが開発しているDaydream対応スタンドアロン型VRヘッドセットだ。
Lenovoは、当初HTCと提携してDaydream対応スタンドアロン型VRヘッドセットを開発していた。しかし、前述のように途中でHTCが開発から抜けてしまったので、Lenovoのみで開発を継続している状態である。
みっつめがSamsungが開発しているスタンドアロン型VRヘッドセットだ。
Samsung製スタンドアロン型VRヘッドセットの存在は、同社主催の開発者カンファレンスでの発表で明らかになった。
同VRヘッドセットは、Gear VRとSamsungが開発したWindows MRヘッドセットであるOdysseyの中間に位置づけられるとされた。この位置づけは、Oculus Goとほぼ同じポジションと考えられる。
以上のようにスタンドアロン型VRヘッドセット市場は、まだ勃興していないものも早くも熾烈な競争を予感される状況なのである。この混迷した状況に、ハイエンドなSanta Cruzが参入することを加味すると、スタンドアロン型VRヘッドセット市場こそがVR市場のなかで最も規模の大きいセグメントとなる可能性も否定できないのだ。
ソース:UploadVR
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