海外メディアRoad to VRは、ARKitアプリ「HotStepper」のリリースを報じた。
道案内をエンターテインメントに変える「HotStepper」
Appleが発表したARプラットフォームARKitがリリースされて以降、毎日のように新たなARアプリがリリースされているのは周知の通りである。ARKitを活用すれば、iPhoneのGPS機能を使って目的地に行くという平凡なことも、全く新しい体験に生まれ変わる。こうしたスマホを活用して目的地に行くことに対して、全く新しいアプローチをしたアプリがリリースされた。それがHotStepperだ。
同アプリが、スマホを使って目的地に行く行為をどのように新しいAR体験に置き換えているかを知るには、以下の同アプリを実際に使っている動画を見ると一目瞭然である。
同アプリを使うと、AR表示されたビキニパンツを履いた恰幅のいいおじさんが目的地につくまでガイドしてくれるのだ。
なぜビキニパンツを履いたおじさんがガイド役に選出されたのかは不明であるが、実はこのAR表示されたおじさんは、そのユーモラスな外見とは裏腹に細部にこだわりがある。
上に引用した動画をよく見ればわかるのだが、おじさんの足元にはつねに影が入っている。そして、その影が伸びている方向は、リアルに影ができる方向に一致している。こうした描画が可能なのは、おじさんの位置と太陽の位置をリアルタイムに測定したうえで、影が伸びる方向を計算して描画しているからなのだ。
AR表示されたおじさんのインパクトが大きすぎるために見落とされてしまいがちだが、同アプリが持っている本当の革新性は、スマホを使って目的地に行くという平凡かつ実利的な行為に、一種のエンターテインメント性を付加することにある。AR機能を使えば、平凡な行為が遊び心に満ちた楽しい体験に生まれ変わるのだ。
同アプリを開発したNexus Stuidosのアート部門を率いるLuke Ritchie氏は、同アプリを開発したねらいを以下のように説明している。
HotStepperは、(位置情報のような)リアルな世界に関するデータを使って、ストーリーテリングを見せることに関する研究プロジェクトの一環で開発しました。
HotStepperでは、ユーザがどこにいてもユーモラスなキャラクターがそばにいるというイノベーションを起こすことができました。
リアルな世界のデータを使って、ある種のストーリーテリングを見せることができるという未知の領域を発見できて非常に興奮しています。
HotStepperにおけるストーリーテリングとは、「スマホを使って目的地に行く」という本来は何のキャラクターも登場しない行為を、「ビキニパンツを履いたおじさんに道案内をしてもらう」というストーリー性のある行為に変えることを指しているのだろう。
同アプリが示しているストーリー性は、よく考えると大きなポテンシャルを秘めていることがわかる。同アプリで登場するキャラクターは、ビキニパンツのおじさんだが、登場するキャラクターを例えば美少女にしても目的地に行けるだろう。つまり、目的地までガイドしてくれるキャラクターを変えることで、無限の価値を生み出すことができるのだ。ユーザがガイド役に好きなキャラクターを選べるようにしたら、その好きなキャラクターにガイドしてもらうという体験自体がエンターテインメントとなるだろう。当然、何らかのキャンペーンを目的として、ガイド役のキャラクターを開発することも可能である。
ARKitを使ったガイドアプリの事例
ARKitを活用したガイドアプリの事例を、本メディアではすでに多数紹介している。
American Airlinesが開発中の空港ナビゲーションアプリ
American Airlinesは米国でも最も巨大な航空会社の一つであり、日に何千人もの乗客を輸送する。そのため空港内は混雑しがちで、とくに初めて訪れた場所であれば、空港内のどこに何があるのかわからず右往左往してしまうことも珍しくない。
同社が開発に参加しているARアプリは、特にこのような状況で役立つものだ。どれほど混雑した場所でも、AR表示されたナビゲーションによって迷うことなく目的地にたどり着くことができる。
ARKitを用いて開発、動作する本アプリでは、空港内の重要な場所がどこにあるのかをポイントで示して表示してくれる。たとえばチェックインのデスクやセキュリティのチェックポイント、もしくはフードや飲み物などのオススメをAR表示してくれるのだ。
AR City
「AR City」はAR技術とコンピュータービジョン技術を組み合わせたアプリだ。ユーザーは本アプリを用いて、出張や旅行先で訪れた様々な場所に関する情報をモバイルARによってアクセスすることができる。
本アプリは3つの技術によって構成されている。ARによるナビゲーション、マップ技術、そしてBlipparの独自技術である「Urban Visual Positioning(UVP)」だ。ユーザーはこれらの技術によって、必要な情報をAR機能を用いて直感的に取得することができる。
iOSに対応したアプリであるため、アップルのマップ機能に対応した地域であれば「AR City」のナビゲーション機能を利用することが可能となっている。
以上のようにARKitを使えば、従来スマホで実行していた平凡な行為を全く新しい体験に変えることができるのだ。
ソース:Road to VR
https://www.roadtovr.com/hotstepper-gives-directions-ar-help-infectiously-fun-half-naked-man/
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