NTT東日本が運営するVRやインタラクティブ技術などの最新技術を扱った所謂メディアアートを扱う美術館ICC(NTTインターコミュニケーション・センター)では、開館20周年記念イヴェントとして、SR技術を扱ったパフォーマンスアートが2017年の11月4日と5日の二日間にかけて行われました。
今回はそんなSRをつかったライブアパフォーマンス「ICC 開館20周年記念イヴェント藤井直敬+GRINDER-MAN+evala《Neighbor》」と、今後注目されるSR技術について紹介していきたいと思います。
VRでもMRでもないSRとは?
SRは、VRinsideでも度々紹介するSRですが、やはりVRやMR、ARと比べてもまだまだコンテンツや使用例が少なく、あまり知られていない最新技術の一つだと思います。
SRとは、代替現実(Substitutional Reality)の略です。開発したのは安価なVRゴーグルとして知られる「ハコスコ」を販売する株式会社ハコスコの代表取締役でもある理化学研究所脳科学総合研究センターの藤井直敬さんが率いる適応知性研究チームが開発した技術です。
VRやAR、MRの様にバーチャルの3DCGのデータを扱うのではなく、実際に過去にあらかじめ撮影された映像をHMDで投影し、MRのように実際に見えているリアルタイムのカメラ映像と合成させたり、差し替えたりすることでHMDを装着した人がVRよりも高い現実感(リアリティ)で現実に起こったことだと錯覚する技術です。
動画では実際に体験者が、実際にHMD全面に取り付けられたカメラから投影されたライブ映像で藤井さんと会話をし、藤井さんが退席したところからあらかじめ撮影された過去の映像に差し変わることで、体験者は藤井さんとリアルタイムに会話し続けていると錯覚していることがわかります。
動画のデバイスは開発当初のもので、改良がくわえられ、現在ではスマートフォンなどの簡易的なHMDで再現でき、体験者も一人から複数人に出来るようになど改良が加えられているそうです。
理化学研究所のSR情報ページはこちら
VR/MRとの違いは「現実の映像を使う」という点
VRやMRとの大きな違いは3DCGグラフィックをHMDを介して投影させるVRやMRとの大きな違いは「現実の映像を使う」という点だといえます。
SRデバイスには前面にカメラが設置され、リアルタイムの映像と過去の映像をミックスするという見方ができ、MRに近いものではありますが、現実感に3DCGグラフィックを投影させミックスさせるMRと現実の映像と過去の現実の映像をミックスさせるSRとはやはり根本的な目的も違うのがわかります。
VR動画でも360°動画のように現実の映像をそのまま360°パノラマ映像として楽しめるものもありますが、SRではデバイス装着前の風景と装着後の映像が同じであったり、MRの様にリアルタイムの映像も混じわっているため、VRの360°動画よりも高い現実感を感じることが出来ます。
ICCが行ったパフォーマンスアートから見るSRの可能性
今回ICCで行われたパフォーマンスアート、「ICC 開館20周年記念イヴェント藤井直敬+GRINDER-MAN+evala《Neighbor》」ではSRの開発チームのリーダーの藤井直敬氏と身体表現や舞台芸術を創造するアートパフォーマンスグループの「GRINDER-MAN」とパフォーマンス中のBGMを担当するサウンド・アーティストのevala氏の協働によって生まれた、ダンサー2名と体験者2名によるメディア・アート・パフォーマンスでした。
「Neighbor」はSNSをはじめとし、現在人々のコミュニケーションの形はテクノロジーを介して様々な形を持っています。そんなコミュニケーションの新しい形の一つとしてSRを用いたコミュニケーションの体験を楽しめる体験型の作品といえます。
体験者はSRデバイスを装着し、体験中に二人のダンサーと触れ合ったり、目の前でパフォーマンスを見ることになるのですが、現実で手をつなぐ相手はもう一人の体験者であったり、SR技術によって現実と虚構の境目があいまいになっていきます。
googleが開発した翻訳AIなど、テクノロジーを介することで、コミュニケーションがいよいよ言語の壁を越えようとしていますが、SRではさらに人種や見た目の壁すらも超えた人とのつながりを予見させるような美しいパフォーマンスでした。
そのほかにもICCではVR技術など最新技術を用いた美術作品が多数展示中!
ICCでは、期間限定で行われた今回の「Neighbor」だけでなく、様々な最新技術を用いたメディアアートをご覧になることが出来ます。
HTC VIVEやOculus RiftなどVRと同様にユーザーの位置情報を追跡するトラッキングの技術を用いたインタラクティブなアート作品や、音を360°全方位で体験できるいわば音のVRともいえる体験できる作品など様々な展示を楽しめます。
写真は実際にICCで展示されているトラッキング技術を使い、手に持った明かりを移動させることで音や部屋の色が変わり、「共感覚」を体感できるインタラクティブアート。「herering」です。
VRだけでなく様々な最新技術とアートやコミュニケーションの革新を体感したければ、是非足を運んでみてはいかがでしょうか。
引用元:ICC 開館20周年記念イヴェント
引用元:microsoft
引用元:ICC オープン・スペース 2017 未来の再創造
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