消費者向けのVRデバイスを開発するメーカーやVR技術を使ったサービス・アプリケーションを提供するデベロッパーがいるのと同様に、VR技術を利用した映像コンテンツやアプリケーションを開発するクリエイターのための製品・サービスを提供する企業もある。
Ozoを販売するノキアのようにVR映像が撮影できるカメラのメーカーや、Apple・AdobeのようにVRカメラで撮影した360度動画を編集するためのソフトウェアを開発する企業が代表的だ。
日進月歩で毎月のようにサービスを拡大するInstaVRは、作成中のVRコンテンツをすぐに確認できるライブプレビュー機能を発表した。
InstaVR
InstaVRとは
InstaVRは、プログラムの知識がなくてもVRアプリを作成することが可能になるサービスだ。
初めて当メディアで同サービスの名前が登場したのは一年以上前の2016年5月のことだった。
当時のInstaVRはAndroidやiOS、あるいはGear VRといったスマートフォンで利用するVRコンテンツを簡単な操作で作るためのシンプルなサービスに過ぎなかった。
しかしその後は頻繁なバージョンアップを行い、対応プラットフォームや機能を増やし続けている。
InstaVRの変遷
VR関連のサービスやゲームを含むアプリケーションでは、基本機能のみが利用できる状態で試験的に公開してフィードバックを受けながら機能を追加していくという例が少なくない。
しかし、様々な事情によって当初予定されていたペースでアップデートが行われないという例もあるのが現実だ。
そんな中で、InstaVRは順調に機能を拡充してきた。
- ・2016年9月 大規模な資金調達
InstaVRは世界的な技術イベントで次々とプロモーションを行い、200万ドル(現在のレートで2.2億円)の資金を獲得している。 - ・2016年12月 48Kの超高精細モバイルVRアプリの作成に対応
当時のモバイルVRで表示可能な360度画像の解像度は4K程度が限度とされており、現実のようなVR体験を妨げる原因の一つとなってしまっていた。
InstaVRは新技術を開発し、その上限の12倍となる48Kの画像を使ったアプリを作成できるようにした。 - ・2017年2月 HTC Viveへの出力に対応
各種モバイルVRプラットフォームに続き、HTC Viveへの出力に対応した。
スマートフォンを使ったVRではファイルサイズの制限があって長時間のVRコンテンツを作成するのが困難だったが、Viveでは高画質かつ視聴時間の長いコンテンツも作成できる。
Vive対応を発表したニュースリリースでは、さらに新たなVRプラットフォームへの対応も進めていることを伺わせるコメントもあった。 - ・2017年3月 サンリオピューロランドのVRコンテンツ制作に採用される
これまでにも世界中の有名な施設や企業で利用されていたInstaVRが、サンリオピューロランドのVRコンテンツ作成に採用された。
高い生産性により予定よりもコストを下げ、納期を短縮できたという。 - ・2017年4月 スペーシャルオーディオに対応
InstaVRで作成する360度映像・画像にスペーシャルオーディオが利用できるようになった。
ユーザが向いている方向に合わせて聞こえる音や聞こえ方を変えることで没入感をさらに高め、音によってユーザの視線を誘導することも可能になるという。 - ・2017年5月 Oculus RiftとDaydreamに対応
HTC Viveに続いて同じくPCベースのVRヘッドセットOculusRiftへの出力に対応した。
モバイルVRプラットフォームでも新たにGoogle Daydreamに対応し、Daydream Viewのリモコンを使った操作もサポートしている。
2月のコメントはこの予定を念頭に置いたものだったのかもしれない。 - ・2017年6月 360度動画のストリーミング配信に対応
IsntaVRは作成したコンテンツをユーザの端末にダウンロードして再生する方式を採用していたが、高画質・長時間のVRコンテンツが増えるに従って問題が生まれていた。
この方式では端末のストレージ容量を圧迫してしまうのである。
そこで、ストリーミング配信に対応した。
InstaVRはウェブベースで簡単に扱えるツールであるだけでなく、積極的に新機能を取り入れている点でも安心感がある。
世界で1万社が導入しているという実績も、マメなアップデートがあるからこその結果だ。
ライブプレビュー
リアルタイムプレビューの重要性
360度カメラで撮影した映像をそのまま公開するだけならば複雑な編集は必要ないが、完成度の高いVRアプリケーションを作りたいならば作成中の作品を何度もプレビューしながら編集を繰り返すことになる。
長編VRコンテンツを作成し、VRデバイスで利用できるパッケージにするには長い処理時間がかかる。変換、プレビュー、修正、変換…と繰り返すのは時間がかかり、クリエイターのモチベーションも下げてしまうプロセスだ。
これは素材となる360度映像の作成でも同様である。
Nokiaの360度カメラOzoを使ったシステムでは撮影した映像のライブプレビューが可能だ。
アメリカのファストカジュアルレストランHoneygrowの従業員トレーニング用コンテンツを作成したKlip Collectiveのメンバーは、ブログでOzoのリアルタイムプレビュー機能が撮影を効率的に進める助けとなったことを繰り返し伝えている。
「Ozoシステムでは、Oculusヘッドセットでのリアルタイムプレビューが可能です。監督、撮影監督、そしてクライアントがすぐにプレビューを利用できます。
この機能によって誰もが快適に、効率的に撮影を進めることができました」
スマートフォンでのリアルタイムプレビュー
InstaVRのリアルタイムプレビュー機能を使えば、QRコードを介してスマートフォンのプレビュー用アプリで開発中のアプリを試せる。
プレビューのために毎回アプリをパッケージ化し、スマートフォンにダウンロードするよりもはるかに効率的に作業を進めることができるだろう。
ただし、このライブプレビューツールは現在のところiOS、Android、そしてGear VRでの利用に限られている。
Android用のアプリでも利用できるので大きな問題にはならないだろうが、いずれはDaydreamにも対応するのかもしれない。
VRコンテンツを作成する上で、ワークフローを停滞させる原因になりかねない確認作業。これを快適にしてくれるライブプレビューツールが追加され、InstaVRはますます使いやすいアプリになった。
作成したアプリを本格的に配信するためには年間28万6,500円の有料ライセンスを契約する必要があるが、機能を試すだけならば無料体験版も用意されている。
参照元サイト名:InstaVR
URL:http://jp.instavr.co/
参照元サイト名:Upload VR
URL:https://uploadvr.com/view-work-progress-instavr-live-previewer/
Copyright ©2017 VR Inside All Rights Reserved.