社会の動きもビジネスの動きもスピードアップしている現在、何かを学ぶ…「学習」の重要性は増している。
その一方で、人間の持つ学習効率がいきなりアップするわけではない。
そこで、効率的に学ぶために重要となってくるのが「学習方法」だ。
たいていの人が「何かを学びたい」と思った時、真っ先に求めるものが「効率のよい学習方法」ではないだろうか?
そんな「効率のよい学習方法」を実現させるための技術としても、VRが注目されている。
この記事では、学習のために用いられている日本のVRコンテンツについて紹介したい。
学習効率をアップさせるカギは「やる気」?VRで「やる気」がアップ!?
「やる気」という言葉には、精神論・根性論めいた雰囲気があるので、「学ぶのが遅いのはやる気の問題だ」と言われると反論したくなる…という人も少なくないだろう。
ただ、「やる気」を「モチベーション」や「集中力」と言い換えると、グッと納得感が増すのではないだろうか。
「モチベーション」が高い状態で学習するのと、「モチベーション」が低い状態で学習するとでは、学習効率は天と地の差がある。
とはいえ、実際には「モチベーション」を自分の意志でコントロールすることはなかなかできないもの。
そんな中で強い味方になってくれるのがVR。
VRは、架空の出来事であっても、自分が体験しているかのように感じられる。
描かれる出来事が「他人事」ではなく「自分事」だから、「モチベーション」が最大限まで高められるのだ。
英会話のイーオンによるVR対応英語学習用アプリ
英会話のイーオンが提供中の英会話学習用アプリ「英語でおもてなしガイド(VR対応)」は、VRモードによって1対1で会話している感覚が得られるというアプリだ。
外国人旅行者役やガイド役になりきって英語でコミュニケーションを行い、実践的な英語力を養える…という内容。
英会話の学習といえば、「英語を話せるようになりたい!」「字幕なしで洋画が見たい!」など強い「モチベーション」を持って始めるにもかかわらず、なかなか上達せず挫折してしまう人が多いという学習課題。
しかし、実際に外国人の方と話をしなければならない状況に陥った場合、必死になってなんとしても自分の意思を伝えようと思うもの。
アプリによって実際の会話の際の必死さが多少なりとも再現されれば、これまでよりも効率よく英語をモノにすることができそうだ。
居酒屋「塚田農場」が開始したVRによるアルバイト研修
居酒屋「塚田農場」を運営するエー・ピーカンパニーが開始したのは、VRによるアルバイト研修。
調理や接客という研修であれば、何もVRを使わずとも、実店舗でOJT(オン・ザ・ジョブ・トレーニング)形式で行えばいい…と思うかもしれない。
しかしこの研修では、VRによって産地の養鶏場での仕事や、食品の加工過程での仕事などを疑似体験することができる。
「塚田農場」は、素材を作る1次産業と、加工を担当する2次産業、そして流通販売を行う3次産業が融合した6次産業といわれるビジネスモデル。
このため、VRによって素材生産過程から学んでもらうという研修の意義があるというわけだ。
ただ、流通販売のみを行う業態であっても、担当者が取り扱う製品についてのバックグラウンドを理解している場合と理解していない場合では仕事のモチベーションには差が出るはず。
そう考えると、「塚田農場」以外のビジネスにおいても、導入の意義はありそうだ。
VRで原子力発電所の仕組みを学べる!関西電力のVRによる見学会
2011年3月11日の東日本大震災以降、我々にとってエネルギー問題は考えなければならない問題となった。
原子力による災害リスクを考慮して原子力による発電をやめて代替エネルギーを模索するのか、現在の経済事情を踏まえ原子力発電所を今後も使い続けるのか…は、常に議論が発生している。
そんな中で、関西電力がVR技術を使って原子炉格納容器内の様子を疑似体験できる一般向けの見学会を開いた。
原子炉やタービンといった内部設備は、通常見ることができないが、VRならば問題なく閲覧することができる。
しかも、自分の体験として。
この見学会は関西電力が原発の安全性を訴えることを目的として開いたものだが、原発に賛成するにせよ、反対するにせよ、VRによって理解を深めた上で意見を考慮することは重要といえるだろう。
今後、VRによる学習が当たり前になる世の中が来る!?
現時点でもビジネスに求められるスピードがアップしているが、今後、人工知能やロボットといった技術が普及すれば、人間が人工知能やロボットの速度に合わせなければならなくなっていくだろう。
すると、ますます要求されるスピードは速くなっていきそうだ。
当然、ビジネスに必要なノウハウを習得するスピードも高速化が求められるはず。
となるとVRによって「自分事」として認識し、「モチベーション」を最大限高めた上で学習していく…という手法は当たり前のものとなっていきそうだ。
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