海外出張などの長距離フライト中にPCを使って簡単な事務作業を終わらせる――こうした経験を持つ人は多いのではないだろうか?
今年の5月末にアメリカの国土安全保障省は、同国に発着する飛行機内へのPC持ち込みを禁止することを示唆する見方を示していた。
だが幸いにも6月末に打ち出された新方針では、ラップトップPCへの機内持ち込み禁止措置は実施されないことになった。
けれどもいつ再びルールが改訂され、持ち込みが禁止されるかは分からない。
そんな時、ひょっとするとXR関連デバイスがルールの「抜け道」として役に立つかもしれない。
なぜなら(今のところ)これらのデバイスは、持ち込み制限の規則には該当していないからだ。
Hololensを使うという「ライフハック」
Outlook、Excelを自在に使用
MR技術の開発者であるSean Ongさんは5月、持ち込み制限をかけられているエミレート社の航空機内でドバイからシアトルへとフライトしている最中、Bluetooth対応のキーボードとマウスを使ってマイクロソフト社のHololensをデスクトップPCのように使うという「回避策」のやり方をデモンストレーションした動画を公開した。
上記の動画では、OngさんがMicrosoft EdgeやOutlook、Excelといった標準的なオフィス業務に最低限必要なアプリケーションをMR空間上に次々と呼び出して作業している様子が映し出されている。
もちろんOngさん自身が認める通り
「本当はHololensはラップトップPCの代わりとして使えるようデザインされているわけではない」
しかしそれでいてなお、オフィス業務を行う際にHololensは他のモバイル端末より優れたパフォーマンスを発揮する。Hololensの使用によりOngさんはシアトル到着までの14.5時間を有意義に過ごすことが可能となったのだ。
普通はGearVRやDayDreamの使用がベター
しかしOngさんの開発した「ライフハック」を真似ることは、普通の人々にはハードルが高い。
というのも周知の通りHololensの現在の価格は3000ドル台。しかも、そもそもXR技術の開発者向けに提供されているヘッドセットツールだからだ。
プロの開発者でない限り、一般的な搭乗者の方にはサムスンのGearVRやGoogleのDayDreamといったVRヘッドセットの利用がおすすめだ。
たとえばGearVRで提供されているSamsung Internetは、インターネットの閲覧はもちろんGmailやソーシャルメディアを利用して仕事することを可能にしている。
Hololensを使わなくとも、フライト中にちょっと仕事を片付ける分には十分なスペックだ。
フライト中のGearVRの使用に関して、Matt WeinbergerさんがBusiness Insiderに次のようなコメントを掲載しているので紹介しよう。
「私はVRが、フライトを大いに楽しい体験へと変えてくれるポテンシャルを有していると知りました。……ただしサムスンのGearVRが本当にたった1つだけの手段なのです。というのもGearVRはヘッドセットに取り付けるサムスンの携帯電話(私の場合だとGalaxy S6)によって力を与えられています。これが意味するところは必要なものがすべて揃っている、ということです」
荷物検査はどうなる?
Ongさんのケースでは問題なし
ところで多くの人は、Hololensが荷物検査時のチェックで引っかからなかったのか疑問を持つことだろう。
どうやらOngさんのケースでは、大きな問題にはならなかったようだ。
OngさんはVRSCOUTに以下のように語っている。
「ゲートにいた警備は私にHololensのケースを開けさせて、中に入っていたデバイスは何なのかと尋ねてきました。彼らはHololensが内蔵しているバッテリーの種類を知っているか、またそのバッテリーが再使用可能なものかどうかについても質問してきましたよ。」
さらに、
「警備員にはデバイスが3Dオブジェクトを視覚化するためのスマートグラスだと伝えました。私はHololensを着用してみせて、そして装着したのを見るや否や、警備員は何の問題もなく私を通してくれました」
のだという。
そしてセキュリティチェックを順調にパス出来たおかげで、Ongさんは仕事のEメールへの返事やWebを使ったリサーチなどをフライト中に済ませられたようだ。
今後、持ち込みが制限される可能性も
なお念のため補足しておくと、上記はエミレート社での事例である。個別の航空会社によって機内への持ち込み可否判断は異なってくる可能性がある。
またVRSCOUTのスタッフはトルコのセキュリティーを通過する際、GearVRの機内持ち込み自体は許可されたが、機内では使用しないように、と警告されたようだ。
このように現場の警備員によっても対応が変わってくるようで、一概にXRデバイスの機内での使用が許可されていると考えているとトラブルを生む可能性がある。
加えてアメリカの運輸保安庁は現在、携帯電話より大きな電子デバイスの機内持ち込みを禁じている。XR関連デバイス持ち込みについては今のところ具体的な禁止措置は発表されていないが、いつ規則が変化するかもわからない。
オールマイティな「裏技」ではないことには十分注意されたい。
参照URL:
VRSCOUT
https://vrscout.com/news/99-ar-headset-mira-prism/
Bussiness Insider
http://www.businessinsider.de/samsung-gear-vr-airplane-2016-4?r=US&IR=T
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