イギリスで7月8日に開催された性的マイノリティ(LGBT)の権利向上を訴える「プライド・イン・ロンドン・パレード」の様子を特集した360度動画「Love Letter From London」が公開された。
「Love Letter From London」とは
概要
VRコンテンツ企業であるJauntの制作による「Love Letter From London」は、パレードのカラフルな風景を360度映像で撮影したVRコンテンツであり、映像では英国オリンピック選手であるトーマス・デーリー氏や、現ロンドン市長であるサディク・カーン氏もインタビュー出演している。
週末にかけて開催されたパレードの様子は、Jaunt社が開発したプロ向け360度カメラ「Jaunt ONE」を用いて撮影されたものだ。
ロンドン市長であるサディク・カーン氏はインタビューにおいて次のように語っている。
この街の素晴らしいところは、その人の個性が尊重され、制約されないことです。ロンドン市民はどんな人でも受け入れられ、尊敬され、祝福されます。「プライド・イン・ロンドン・パレード」に参加してパレードの最前列を歩くということは、ロンドン市長として誇りに思うところです。人間はみな自分の個性を発揮すべきであるし、誰もが自由に人を愛する権利を持っています。
今年で50周年を迎える「プライド・イン・ロンドン・パレード」における性的マイノリティ(LGBT)の差別撤廃、そして権利向上を訴える様子をVRを用いて報道することは画期的な取り組みだ。
プライド・イン・ロンドン・パレードについて
「プライド・イン・ロンドン・パレード」は、性的マイノリティ(LGBT)の権利向上を訴え、その文化を称えるイベントであり、プライド・フェスティバルは6月末から行われるが、その盛り上がりが最高潮に達するのがパレードだ。
今年はイングランド及びウェールズで同性愛が条件付きで非犯罪化されてちょうど50年という節目を迎えたこともあり、例年以上の規模で開催された。
「Love Letter From London」で特集された7月8日のパレードは、トラファルガー広場やソーホーなどで行われた。
Jauntについて
Jauntは2013年に設立されたVRコンテンツ企業で、360度動画を用いたドキュメンタリーやVRアニメーション、音楽やスポーツ、ホラーなど様々なジャンルのVRコンテンツを配信しており、コンテンツ数は150を超える。
また、同社はプロ向け360度カメラ「Jaunt ONE」を開発、販売しており、最大8Kの高画質、最大20時間の連続撮影、過酷なコンディションにも耐えられる、頑丈で丈夫なデザインを特徴としている。
報道のツールとしてのVR/AR
360度動画やVR/ARはエンターテイメントだけでなく、ドキュメンタリーや報道においても様々な分野で活用されている。
朝日新聞社
朝日新聞社は取材現場の様子を臨場感あふれる映像で実感できるスマートフォン向けVRアプリ「NewsVR」をリリースした。
様々なジャンルのニュースを360度動画で提供し、これまでは読む、見る、という手段が中心だった報道に、「体験する」という新機軸を打ち出すものだ。
読む報道・見る報道から「体験する」報道へ!朝日新聞が「NewsVR」アプリ提供
「NewsVR」はスマートフォンVR対応アプリで、カードボード型ヘッドセットに差し込んで視聴するほか、ヘッドセットを所有していない人はスマートフォンを見たい方向に向けることで、360度の映像を自由に見ることができる。
本アプリはAppStore、およびGoogle Playからダウンロード可能。
BBC(英国放送協会)
VR、360度動画を報道のツールとして取り入れる取り組みは大手メディア企業でも行われており、英BBC(英国放送協会)では360度コンテンツの制作が試験的に行われている。
「Step inside the Large Hadron Collider」という360°動画では、CERN(欧州原子核研究機構)の大型ハドロン衝突型加速器の様子を伝えている。
VRの没入感が報道を変える!VRを使ったイマーシブ・ジャーナリズムまとめ
文字や2D映像では伝わりにくい現場の臨場感を、体験的に伝えることができるという点は、VRを活かした報道の強みだ。
ARを用いた報道
報道のツールとして活用できるのはVRだけでなく、ARも大きな可能性を秘めている。
パキスタン出身のAsad J. Malik氏によって制作された「Holograms from Syria」は、マイクロソフトのARデバイスであるHoloLensを用いて、シリア内戦の惨状を伝えるものだ。
HoloLensを使ったジャーナリズム「Holograms from Syria」は、平和な景色のなかに戦争の惨状を再現する
戦場で負傷した子供の写真や、戦闘地域を走り回る武装集団の姿を、ソファーや廊下に配置することで、戦場の光景をより身近に感じることができる。
対象物がまるでそこにいるかのように錯覚させるARの特質は、今後のメディアのあり方を大きく変えるかもしれない。
参照元:VRFocus
Copyright ©2017 VR Inside All Rights Reserved.