梅雨時、ほんの少し動くだけでも汗をかいてしまう昨今、VRヘッドセットを着けると余計汗をかきやすくなる。
特にスポーツアプリなどの激しい動きを伴うゲームをプレイする時はなおさらで、せっかくのVRの没入感が暑さと汗によって損なわれてしまうのは残念だ。
ヘッドセットを着けると汗をかく、という問題は長らく指摘されており、現在に至るまで画期的な解決策が提示されていなかったが、RedRotorが開発する「Vive N Chill」は、この問題をいくらかでも解決するかもしれない。
HMDのデメリットー長時間着けていると汗を掻く
コントローラーとトラッカーの登場によって、VR空間での動作を身体を動かして行うことができるようになり、アプリによっては激しい動きをすることも珍しくないが、そこでどうしても発生する問題が「発汗」だ。
現行のヘッドセットは重くて密閉度が高いため、目の周辺や額に汗をかくことが多く、夏の時期や大勢の人々が行き交う大規模なイベントなど空調設備が十分に機能しない環境では、なおさら汗をかきやすくなってしまう。
Vive N Chillとは
北カリフォルニアに拠点を置くスタートアップ企業が開発する「Vive N Chill」は、ヘッドセットが身体に触れる部分をファン冷却することによって発汗を防ぐ、というユニークなアイデアによってこの問題を解決しようと試みている。
概要
Vive N ChillはHTC Vive専用のヘッドセット冷却クーラーである。
具体的にはヘッドセットに小型のファンを取り付け、そこから生み出される空気をヘッドセットに直接当てることによってそれを冷却する。
というのも、ユーザーがHMDによって汗を掻くのは密閉度や重さよりも、ヘッドセットが生み出す熱に大きな原因があり、これを冷却することによってユーザーが汗を掻かないようにする。
もちろんヘッドセットの熱を排除したとしても激しい動きをしたり、もしくは空調設備の整っていない環境で使用した場合は当然汗を掻くだろうし、HMDの冷却だけでまったく汗を掻かなくなるわけではないが、VRプレイ中の発汗の最大の原因はHMDが生み出す熱にある、という問題の根本原因をピンポイントで解決する手段として注目に値する。
仕組み
Vive N Chillは2つの小型冷却ファンによって構成されており、それぞれをディスプレイの上部左右に取り付け、ファンの角度は自在に設定できるためヘッドセットの冷却だけではなく冷却扇としてての機能も備えている。
接続はヘッドセットの上部に内臓されているUSBポートによって行い、軽量化されているので追加的な重さを感じることはほとんどなく、また作動時の音は23デシベル以下、つまり人間にとってほとんど聴こえない程度の静かな作動音によって動作し、オン・オフスイッチによって起動する。
開発経緯
ユーザーではなくヘッドセットを冷却することによって発汗問題を解決するというアイデアは、様々な試行錯誤の末にたどり着いた結論であり、そのアイデアに到る前まではもっぱら、どうやってヘッドセット内部に冷却空気を送り込むか、つまりヘッドセットよりもユーザー自身を冷却することに主眼を置いて開発が進められていたが、それでは本質的な解決にならないことに気づいた、と語るのはVive N Chillの共同デザイナーであるTony Tranである。
長時間HMDを着けると汗を掻く、という問題は長らく現行のHMDが抱える問題として挙げられていたが、ヘッドセットの冷却技術も今後のVRハードウェアに関する重要なテーマになると考えられる。
今後の予定
RedRotorは現在Kickstarterでのクラウドファンディングによって資金を公募することを計画中であるが、ファンディング自体はまだ開始されておらず、具体的な開始日もまだ未定だ。
製品として出荷することになった場合、計画では$25-32での提供を目指しており、リーズナブルな価格のため試してみる価値はありそうだ。
冷却ファンによって重くて大きいHTC Viveが発する熱がどれぐらい冷却されるのかは気になるところであり、今後の動向にも注目していきたい。
参照元:RoadtoVR
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