
マリナーズ傘下3Aタコマを6月にリリースされていた元阪神の藤浪晋太郎投手(31)がDeNA入りを決断したことが14日、分かった。15日にも契約合意するとみられる。阪神在籍最終年の22年以来、3年ぶりのNPB復帰となる。DeNAは現在、借金2で首位阪神に10・5ゲーム差をつけられての3位。大逆転Vへ、剛腕の潜在能力も起爆剤に変える。
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藤浪がDeNA入りを決断した。阪神在籍最終年の22年以来、3年ぶりのNPB復帰となる。今年1月にマリナーズとマイナー契約を結んだが、今季メジャー登板はゼロ。6月に3Aタコマをリリースされてからもメジャー再挑戦の道を模索したが、最後は熱心に声をかけてくれたチームで腕を振る覚悟を決めた。
復調気配を漂わせていた中での自由契約だった。今季は3Aで21試合に登板し、2勝1敗4ホールド、防御率5・79。一時は制球難に苦しんで防御率も13点台まで悪化したが、5月18日のアルバカーキ戦からは8試合連続無失点と状態を上げていた。もともと日本人メジャー歴代最速102・6マイル(約165・1キロ)を誇り、潜在能力は日本球界屈指と言われる。そんな右腕に注目したのが、逆襲を期すDeNAだった。
チームはここまでリーグ3位のチーム防御率2・70。シーズン序盤は東、ジャクソン、ケイ、バウアーら先発陣と伊勢、ウィック、入江ら勝ちパターンが安定していた。一方でバウアーが一時は不調で出場選手登録を抹消され、入江も右上腕の神経障害で出場選手登録を抹消されるなど、投手層に不安を抱えている。そこで先発、リリーフのどちらでも起用できる藤浪に白羽の矢を立て、早い段階から獲得調査を進めていた。
12日にはDeNA萩原チーム統括本部長が「あくまで仮の話」とした上で「藤浪選手が望むのであれば我々にもそういった(AIチームなどの)強みはあると思っていますので、対話しながら進めていければ」とラブコールを送っていた。球団はデータやAIの活用にも力を注いでおり、右腕の再生にも適したチームといえる。
藤浪サイドとDeNAはすでに水面下で交渉を続けており、15日にも契約合意に達する見込み。大逆転Vへ、24年日本一チームに起爆剤が投入される。
◆藤浪の横浜スタジアム 15~21年に7連勝するなど通算8勝2敗。勝率8割は通算10試合以上投げた7球場の中でトップと相性が良かった。打撃でもインパクトを残し、13年4月28日には三浦(現監督)からプロ初安打となる二塁打。18年には田中健から阪神投手で81年山本和行以来2人目の満塁本塁打を放った。
◆藤浪晋太郎(ふじなみ・しんたろう)1994年(平6)4月12日生まれ、大阪府出身。大阪桐蔭3年時に甲子園で春夏連覇を達成。12年ドラフト1位で阪神入団。13年にセ・リーグ高卒新人では67年江夏(阪神)以来の2桁勝利。15年最多奪三振。14年日米野球、17年WBC日本代表。22年オフにポスティングでアスレチックス入団。1年目の7月、オリオールズにトレード移籍。24年メッツと契約もメジャー登板なし。今季はマリナーズと契約し、3Aで21試合、2勝1敗4ホールド、防御率5・79。197センチ、98キロ。右投げ右打ち。