先月HTCが発表したスマホVR用ヘッドセット“LINK”は、位置トラッキングによってVR空間の中を自由に歩き回ることがスマホVRで可能になった、という点で新しかった。
そのLINKに搭載されているトラッキングシステムは”Neon”と呼ばれ、HTCとXimmerse社との共同開発によるものだ。
アウトサイド・インのトラッキングシステム
LINKの使用時において必要になるのは約2.5m x 2.5mのスペースで、コントローラー、マーカー、スタンド付きのカメラによって動きをトラッキングし、これはHTC Viveの使用時と同じアウトサイド・イン方式である。
従来のスマホVRではVR空間内を歩き回るためには頭を動かすか、もしくはコントローラーによるポインティングのみであったが、外部センサーによってVR空間内での移動がより自由になり、様々なゲームプレイに対応した複雑な動作が可能になる。
また、センサーを内蔵するインサイド・アウト方式よりも低コストで実現できる、という点も強みと言える。
スペック
Neonを構成するコントローラー類、およびヘッドセットでは6DoF(=自由度)による位置トラッキングが可能であり、これによって従来ではスマホVRで行うことのできなかった複雑な動作、たとえばドアを開けたり、ジェスチャーベースの動作を行うことができるようになる。
Ximmerseによると、Neonによるトラッキングの際に使用するカメラは解像度960pでリフレッシュシートは90Hz、ジッタ(時間軸のずれや揺らぎ)は2ミリ以内、実際の位置とVR空間内での位置のずれは10ミリ以内で、レイテンシーは16〜17msとのことで、バッテリー持続時間はフル充電で約40時間使用することができる。
接続は2.4GHzのワイヤレスによるもので、実際にNeonを体験したことのある人によると、「トラッキングの正確さとレイテンシーはPSVRのそれに近い」とのことで、「パーフェクトではないが、十分満足するものだった」とのこと。
HTC LINKとは
HTC LINKとは5月25日にHTC NIPPONから発表されたモバイルVR端末であり、これまでPCで楽しんでいたHTCの「VIVE」で6DoF対応のVR体験が、HTC U11の優れたパフォーマンスによって、スマホ端末に接続するだけで、手軽に楽しめるようになった。
高性能なCPUとVRレンズを搭載しており、HTC U11とUSB Type-Cで接続することで、VR視聴画面と体の動きを瞬時に同期することが可能になる、6DoFの圧倒的な臨場感のモバイルVR体験が提供される。
LINKはHTC U11のアクセサリーとして通信キャリアを通して販売される予定だが、発売日および価格は今の所不明。
また、これまでHTCが培った豊富なVRコンテンツのラインナップも、LINKに順次展開され、幅広い年齢層が楽しめるようになるとのこと。
また現在、HTCは「攻殻機動隊 ARISE」とタイアップしたプロモーションを行なっており、新規に描き下ろした「攻殻機動隊 ARISE」のメインキャラクターである草薙素子(くさなぎ もとこ)、荒巻大輔(あらまき だいすけ)、バトー、トグサのイラストを用いたキービジュアルを作成し、HTC U11ならびにLINKの製品特徴を伝えている。
攻殻機動隊が描く電脳化・義体化・電脳空間など、近未来を精緻に表現した世界観と、常に最先端技術で未来を現実のものにしてきたHTCのイノベーションへの思想とのコラボレーションによって始まった本プロモーション企画は現在特設サイトで確認することが出来、コンテンツの1つである「HTC U11×攻殻機動隊 ARISE」ティザー動画を、6月から公開する予定とのこと。
特設ウェブページのURLは下記の通り。
http://www.htc.com/jp/htc-u11-special/
スペック
HTC LINKのスペック詳細は以下の通り。
ヘッドマウンドディスプレイサイズ | 約197.69mm(幅) x 116.61mm(高さ) x 167.33 mm(奥行) |
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ヘッドマウントディスプレイ重量 | 554g(暫定値)*USB(Type-C)Yケーブル含む |
視野角 | 約110度 |
ヘッドマウントディスプレイ搭載バッテリー | 約2,800mAh |
ディスプレイ | 約3.6インチ アモレッド X 2(各1080 x 1200 ピクセル、 90Hz リフレッシュレート) |
外部接続 | USB(Type-C) Yケーブル、3.5mm オーディオジャック |
同梱品 | ステレオカメラ、6DoFコントローラ、HMD用LEDマーカー、コントローラ用ストラップ、アルカリ単4電池、イヤホン |
対応機種 | HTC U11 |
すでにHTCはViveというヘッドセット市場で最もハイスペックな製品で市場を牽引しており、それによって蓄積したノウハウや技術があるので、それらをスマホや、スマホVRにどう落とし込んでいくのか、今後も注目に値する。
参照元:RoadtoVR
参照元:HTC
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