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機密データを守りながらAI活用へ Acompanyが日本スタートアップ大賞2026で特別賞



生成AIを業務へ取り入れる動きが広がる一方、企業が扱う情報のすべてを、そのままAIへ渡せるわけではありません。顧客情報や医療情報、社内の研究データなど、外部への流出や目的外利用を避けなければならない情報ほど、AIによる分析や活用が期待される場面もあります。「データを守りたい」と「AIで活かしたい」という2つの要望を、どう両立するかが課題になっています。


こうした課題に技術面から取り組む株式会社Acompanyは、経済産業省が主催する「日本スタートアップ大賞2026」で審査委員会特別賞を受賞しました。表彰式は2026年9月25日、首相官邸で行われました。機密性を保ちながらAIを利用する「Confidential AI(機密AI)」の技術開発と社会実装を進めてきた点などが評価されています。


初受賞となった審査委員会特別賞


表彰式当日の様子

日本スタートアップ大賞は、社会に影響を与える新たな事業を生み出した起業家やスタートアップを表彰する制度です。挑戦することの大切さや起業家への社会的な評価を広げ、起業に対する意識を高めることを目的としています。


募集には経済産業省をはじめ、農林水産省、文部科学省、厚生労働省、国土交通省、総務省、防衛省が参加しています。受賞者は、経済団体や有識者などで構成される審査委員会によって選ばれます。


Acompanyが受賞した審査委員会特別賞は、事業のビジョン、新規性や革新性、起業に伴う挑戦、事業の拡張性などにおいて、特に評価の高い項目がある企業へ贈られる賞です。同社が同賞を受賞するのは今回が初めてです。


「守るか、活かすか」を技術で解く取り組み


表彰式当日の様子

今回の受賞では、Acompanyが取り組むConfidential Computing(機密コンピューティング)の社会実装が評価されました。これは、データを秘匿した状態のまま計算処理するための技術です。


企業が保有するデータには、高い機密性を持つものも少なくありません。漏えいや目的外利用への不安からAIへ入力できず、社内に保管されたまま活用されないケースもあります。特に経済安全保障、防衛、金融、医療といった領域では、AIの利便性だけでなく、情報の保護を前提とした仕組みが欠かせません。


Acompanyは、Confidential Computingを研究段階にとどめず、商用レベルで実装してきました。実務での利用を想定した高速処理技術と、法規制への対応を一体で提供している点も評価されたとしています。


機密性を保ったままAIを使う仕組み


Confidential AIは、Confidential Computingを基盤として、利用者やモデル提供者の秘密を守りながらAIを提供・運用するための技術と運用の枠組みです。


その中核となるのが、ハードウェアによって隔離された安全な実行領域「Trusted Execution Environment(TEE)」です。処理中のコードやデータを外部から保護する役割があります。


さらに、TEE上で想定どおりのコードや設定が動いているかを遠隔から検証する「Remote Attestation(RA)」も使われます。利用者はモデル提供者やインフラ事業者にデータを見せず、機密性を保ったままAIを利用できる仕組みです。


一方のモデル提供者も、自社の管理外にある環境へモデルを置く場合に、モデルの重みと呼ばれるパラメーターへの直接的なアクセスを制限できます。利用者のデータとAIモデルの双方を保護する考え方といえます。


医療や金融など高機密領域への展開


表彰式当日の様子

Acompanyは2025年、AI製品ブランド「Confidential AI Suite」を発表しました。同ブランドでは、機密情報を自動で検知してマスキングし、外部AIを利用できる「Acompany セキュアチャット」を提供しています。


このほか、企業向けのAIエージェント基盤「Acompany AIスタジオ」も展開しています。「Acompany セキュアチャット」は、機密データを多く扱う医療機関をはじめ、複数の業種で採用されているとのことです。


代表取締役CEOの高橋亮祐さんは、今回の受賞について、機密データを守りながらAIを活用できる社会を目指す同社の挑戦が評価されたものと受け止めています。今後も「秘密を守れるAI」の社会実装を進める考えを示しました。


AI活用の前提となる「信頼」への視点


生成AIの活用を広げるには、機能や処理速度だけでなく、どのように情報を守るのかという視点が欠かせません。特に機密性の高い分野では、「AIを導入できるか」だけでなく、「安心して運用を続けられるか」まで考える必要があります。


今回の受賞で印象的なのは、データ保護とAI活用を相反するものとして扱わず、技術と運用の両面から両立を目指している点です。情報を守る仕組みが整えば、これまで取り扱いの難しさから活用を見送っていたデータにも、新たな選択肢が生まれます。Confidential AIの価値は、AIでできることを増やすだけでなく、「この情報なら安全に活かせる」と企業が判断できる土台をつくることにあるといえそうです。



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