TOKYO, Apr 28, 2022 - (JCN Newswire) - エーザイ株式会社(本社:東京都、代表執行役CEO:内藤晴夫)は、このたび、開発中の抗アミロイドβ(Aβ)プロトフィブリル抗体レカネマブ(開発品コード:BAN2401)について、早期アルツハイマー病(AD)当事者様に対するレカネマブ治療による長期的な健康アウトカムへの影響をシミュレーション評価した結果が、査読学術専門誌Neurology and Therapy誌に掲載されたことをお知らせします。本シミュレーションでは、レカネマブによる治療がADの病態進行を遅らせ、当事者様をADによる軽度認知障害(MCI)および軽度AD(総称して早期AD)といった早期段階により長くとどめる可能性があることが推定されました。
本論文では、レカネマブの有効性と安全性を評価した臨床第IIb相試験(201試験)の結果に基づいて、アミロイド病理を有する早期AD当事者様において、標準治療(SoC:standard of care)(アセチルコリンエステラーゼ阻害剤もしくはメマンチンの安定投与を含む)に加えレカネマブ投与を行った群(レカネマブ群)とSoC治療のみの群(SoC群)の長期的臨床アウトカムについて疾患シミュレーション・モデル(AD ACEモデル1,2)を用いて比較しました。SoCデータは、ADNI (Alzheimer’s Disease Neuroimaging Initiative)研究結果から推定されました。その結果、レカネマブ群では、SoC群と比較し、ベースラインから軽度、中等度、高度ADへの病態進行の推定生涯リスクがそれぞれ7%、13%、10%減少する可能性が示されました。本モデルにおいて、ベースラインから病態が進行するまでの平均期間は、レカネマブ群では、SoC群と比較して、軽度への進行は2.51年(SoC群vs.レカネマブ群:3.10年vs. 5.61年)、中等度への進行は3.13年(同:6.14年vs. 9.27年)、高度への進行は2.34年(同:9.07年vs. 11.41年)遅延することが推定されました。また、ベースライン時の年齢や病態の進行度別のサブグループ解析を行った結果、より早期にレカネマブによる治療を開始するほうが、病態進行に与える影響がより大きい可能性があることが明らかになりました。本サブグループ解析において、MCIの段階で投与を開始した場合に病態が進行する平均時間は、レカネマブ群ではSoC群と比較して、軽度への進行が2.53年、中等度への進行は3.34年長くなりました。
エーザイ株式会社の常務執行役であり、ニューロロジービジネスグループ プレジデント兼グローバルADオフィサーであるIvan Cheungは、「人口増加と高齢化により世界中でAD当事者様は増え続けており、ADは公衆衛生上の優先順位の高い課題となっています。ADは医療費、介護費用のみならず、介護をご家族が担うことによる見えない費用も大きな問題となっており、憂慮の増大につながっています。シミュレーション・モデルから得られた知見は、レカネマブによる早期治療が、より重篤なADへの進行を遅らせ、これらの費用や負担の軽減により、公衆衛生上の課題解決へのインパクトとなる可能性を示唆しています。長期的な健康アウトカムの予測とシミュレーションは、医療の意思決定者がレカネマブの潜在的な臨床的・社会経済的価値を理解する際の参考となると考えています。現在進行中の第III相試験は、このモデルに新しい情報を提供し、結果の改良に繋がります。最も重要なことは、レカネマブが、早期AD当事者様が大切な方々と共に過ごす今の生活をより長く提供できる可能性があることです。当社のヒューマンヘルスケアに対するコミットメントと透明性の一環として、今後ともレカネマブに関するデータと情報を公表してまいります」と述べています。
レカネマブは、米国食品医薬品局(FDA)から2021年6月にブレイクスルーセラピー、同年12月にファストトラックの指定を受けました。エーザイは、FDAの迅速承認制度に基づくレカネマブの早期AD治療薬としての生物学的製剤承認申請の段階的申請を2022年度第1四半期に完了する予定です。また、2022年3月、日本において早期の承認取得をめざし、医薬品事前評価相談制度に基づいて独立行政法人医薬医療機器総合機構(PMDA)に対して申請データの提出を開始しました。検証試験としての臨床第Ⅲ相Clarity AD試験の主要評価データは2022年の秋に取得する予定です。レカネマブについては、当社が開発および薬事申請をグローバルに主導し、当社の最終意思決定権のもとで、当社とバイオジェンは共同商業化・共同販促を行います。
本リリースの詳細は下記をご参照ください。
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概要:エーザイ株式会社
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