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エーザイとバイオジェン、抗アミロイドβ(Aβ)プロトフィブリル抗体レカネマブに関する最新の知見を第16回アルツハイマー・パーキンソン病学会(AD/PD(TM) 2022)において発表


TOKYO, Mar 22, 2022 - (JCN Newswire) - エーザイ株式会社(本社:東京都、代表執行役CEO:内藤晴夫、以下 エーザイ)とバイオジェン・インク (Nasdaq: BIIB、本社:米国マサチューセッツ州ケンブリッジ、CEO:ミシェル・ヴォナッソス、以下 バイオジェン)は、このたび、早期アルツハイマー病(AD)の治療薬として開発中の抗アミロイドβ(Aβ)プロトフィブリル抗体レカネマブに関する最新の知見を、3月15日から20日までスペイン・バルセロナおよびバーチャルで開催された「第16回アルツハイマー・パーキンソン病学会(International Conference on Alzheimer's and Parkinson's Diseases:AD/PD™ 2022)のシンポジウム「ADにおけるAβ標的治療法 2」で発表したことをお知らせします。

本シンポジウムの4つのキーとなる発表では、レカネマブの臨床効果データ、アミロイド関連画像異常(ARIA)発生率全般、臨床症状とバイオマーカーの関係、および検討中の新しい投与レジメンが早期AD当事者様にベネフィットをもたらす可能性を追求しました。

1.アミロイドカスケードの科学とレカネマブ特有の作用機序

- バイオアークティックのLars Lannfelt教授は、アミロイドカスケードの科学と、レカネマブ特有のAβ種結合プロファイルをアデュカヌマブとgantenerumabの特許に記載された配列を基に作製した抗体と比較したデータを発表しました。3種の抗アミロイド抗体はAβ種に対する結合プロファイルが異なっています。3種の抗体はフィブリルに結合しますが、その選択性は異なります。レカネマブはAβに対し最も強力な結合力を示し、プロトフィブリルに対して高い親和性を示しました。レカネマブの結合プロファイルは臨床結果と安全性の特徴に関する理解を深めるために重要です。バイオアークティックは、エーザイとAD治療薬の開発・商業化に関して長期的な協力関係にあります。

2.早期ADを対象としたレカネマブ臨床第IIb相試験(201試験)および非盲検長期投与試験(OLE試験)の主要な試験デザインと臨床結果

- OLE試験を組み込んだ革新的なベイジアンアダプティブランダム化デザインと用量設定検討試験 - 201試験(Alz Res Therapy 13;21別ウィンドウで開きます)は、18カ月の盲検試験としてプロスペクティブにデザインされました。開発プログラムを加速するため、18カ月の治療期間終了時の従来の解析に加え、12カ月のベイズアダプディブ主要評価項目を事前に設定したベイズアダプディブデザインを採用しました。OLE試験では、コア試験のプラセボ投与群とレカネマブ投与群において、OLE試験でのレカネマブの長期の安全性と忍容性、およびアミロイドPETに対する効果を12カ月間以上にわたって評価し、また、コア試験より早い時点(3カ月、6カ月)での評価も行いました。本試験デザインにより、レカネマブ投与の中止および再開した際のバイオマーカーと臨床効果を、5年間にわたり検討することができます。

- 迅速かつ確実なアミロイド除去は臨床的利益と相関 - 用量幅の広いベイズ試験デザインを用いることで、臨床第Ⅲ相試験における迅速かつ確実なアミロイド除去と潜在的な臨床効果をもたらす最も有効な用量(10mg/kg biweekly)を効率的かつ効果的に特定できました。コア試験においてプラセボ群で、かつOLE試験でレカネマブ投与を受けた約12人の被験者は、PET画像(読影判断)により、3カ月投与後には40%以上が、12カ月後には80%以上がアミロイド陰性化を達成しました。このOLE試験の結果は、12カ月後に65%がアミロイド陰性化、18か月後に81%がアミロイド陰性化を達成したコア試験で10mg/kg biweeklyの投与を受けた161人の結果と一致しています。コア試験でレカネマブを投与された被験者のアミロイドの減少は、投与を中止していたギャップ期間も維持されました。OLE試験PETサブスタディ被験者数は少なかったものの、今回の結果は、レカネマブが脳内アミロイドプラークを迅速かつ確実に除去するというコア試験の結果を裏付けるものです。

201試験のADCOMS結果に基づき、レカネマブの最も有効な用量として10mg/kg biweekly投与を決定しました。レカネマブは漸増投与を必要とせず、投与初日から治療用量の10mg/kg biweeklyで投与できる可能性があります。

- ARIA発生率、重症度とモデル - ARIA-Eは、アミロイドをターゲットとする治療法の重要な有害事象であり、治療中のモニタリングと管理が不可欠です。

201試験コア試験におけるARIA-E発生率
10mg/kg biweekly投与群におけるARIA-E発生率は、ApoE 4保持者全体で14.3%(49人中7人)、ApoE4ホモ接合体保持者では50.0%(10人中5人)、ApoE4ヘテロ接合体保持者では5.1%(39人中2人)、ApoE4非保持者では 8.0%(112人中9人)でした。コア試験における全体のARIA-E発生率は、10mg/kg biweekly投与群では9.9%(161人中16人)に対して、プラセボ群では0.8%(245人中2人)でした。

201試験OLE試験におけるARIA-E発生率
201試験コア試験では10mg/kg biweekly投与群にApoE4保持者は少数でしたが、201試験OLE試験に参加した全員(69.4%がApoE4保持者)が10mg/kg biweekly投与群を受け、ARIA発生率はコア試験と同様でした。コア試験でプラセボを投与された45人の被験者がOLE試験に参加しました。OLE試験で新たに10mg/kg biweeklyで投与された被験者においてARIA-Eが観察された割合は、ApoE保持者全体では12.9%(31人中4人)、ApoE 4ホモ接合体保持者では25.0%(4人中1人)、ApoE 4ヘテロ接合体保持者では11.1%(27人中3人)、ApoE 4非保持者では0.0%(14人中0人)でした。OLE試験において、全体のARIA-E率はApoE 4保持者では10.4% (125人中13人)、ApoE 4ホモ接合体保持者 では14.3% (28人中4人)、ApoE 4ヘテロ接合体保持者では 9.3% (97人中9人)、 ApoE 4非保持者では 1.8% (55人中1人) でした。

201試験コア試験および OLE試験での統合ARIA-E発生率
コア試験とOLE試験において、10mg/kg biweekly投与群のARIA-Eは以下の割合で観察されました。ApoE 4保持者では 13.8% (80人中11人)、 ApoE 4ホモ接合体保持者では42.9% (14人中6人)、 ApoE 4ヘテロ接合体保持者では 7.6% (66人中5人)、 ApoE 4非保持者では 7.1% (126人中9人) でした。レカネマブ10mg/kg biweekly投与群全体のARIA-E発生率は9.7%(206人中20人)でした。

ARIA-Eの発生頻度と重症度
コア試験とOLE試験において、ARIA-Eの多くは投与の最初から3カ月以内に発生し(75%:16人中12人)、検出から4カ月以内に消失しました。ARIA-Eの大部分は画像による重症度判定では軽度または中等度で、重症は1.2%(161人中2人)で報告されました。ARIA-Eの大部分は無症候性で、症候性ARIA-Eは、1.9%(161人中3人)で報告されました。ARIA-Eに関連する症状としては、頭痛、視覚障害、錯乱、失語症であり、10mg/kg biweekly投与を受けたコア試験とOLE試験のこれまで1例の痙攣を伴う症例が含まれていました。

APOE 4の暴露反応モデルによるARIA-EとCmaxの予測値および実測値
コア試験の全用量のデータを用いて、PK/PD暴露量-ARIA-Eモデルを構築し、ARIA-Eが主に最大血中濃度(Cmax)によって発生することを実証しました。ApoE 4遺伝子は、モデルの重要な共変量です。本モデルにより、コア試験における10mg/kg biweekly投与時のCmaxにより予測したARIA-Eの発生率は、ApoE4ホモ接合体保持者では22.5%、ApoE4ヘテロ接合体保持者では6.8%、ApoE4非保持者では 5.4%でした。コア試験でCmaxによるARIA-Eを予測したモデリングに加え、OLE試験で発生したARIA-Eを確認しました。本モデルで予測したApoE4非保持者とApoE 4ホモ接合体保持者のARIA-E率は、コア試験で観察された発生率と一致することが確認されました。本結果については、ApoE4ホモ接合体保持者のデータセットが少ないため、臨床第Ⅲ相Clarity AD試験で評価されます。

ARIA-H発生率
コア試験では、ApoE4ホモ接合体保持者では、ApoE4ヘテロ接合体保持者および非保持者よりも高い発生率でした。ARIA-Hは、レカネマブ10mg/kg biweekly投与を受けた被験者の6.2%(161人中10人)に認められたのに対し、プラセボ投与群では4.9%(245人中12人)に認められました。ApoE 4保持者では 12.2% (49人中6人)、プラセボ 群では5.2% (174人中9人) となり,ApoE 4 非保持者では 3.6%(112人中 4人)、プラセボ群 では4.2%(71人中3人) となり、ARIA-H が高率でした。微量出血や表在性シデロシスが認められた被験者はすべて無症状でした。症候性脳出血が1例報告されています。これらのデータはClarity AD試験でさらに評価される予定です。

3.早期ADを対象としたレカネマブ臨床第Ⅱb相試験(201試験)のバイオマーカーの結果と臨床結果との相関関係および維持療法時の投与頻度減少の可能性

- Aβ42/40とP-Tau181は、ADの進行に伴う連続的な変化を示す血漿バイオマーカーです。レカネマブは、アミロイドプラークを減少させることにより、可溶性アミロイドおよびリン酸化タウに影響を及ぼします。レカネマブによる用量および時間依存的な脳内アミロイドプラーク除去は、血漿Aβ42/40の増加と血漿P-Tau181の減少と相関を示しています。血漿Aβ42/40およびP-Tau18の変化は、CDR-SB(Clinical Dementia Rating scale Sum of Boxes)のベースラインからの変化とも相関があることが分かりました。コア試験では、18カ月後のアミロイドPET SUVrと血漿Aβ42/40比、血漿P-Tau181のベースラインからの変化量に相関が認められ、血漿バイオマーカーが臨床変化の測定に役立つ可能性が示唆されました。

- コア試験終了時にレカネマブ投与が中止されると、血漿Aβ42/40(47%)、P-Tau18(24%)、アミロイドPET SUVR(21%)の変化は徐々に戻り始め、早期の治療中止により病理の再蓄積が生じる可能性が示唆されました。データを用いたモデリングに基づいて、再蓄積を防ぐためのより少ない投与頻度の維持療法の可能性が示唆されています。維持投与については、201試験のOLE試験の皮下投与サブスタディでさらに検討し、4週毎または12週毎の投与頻度について評価する予定です。

- アミロイドプラークがタウの制御異常の引き金となるエビデンスの増加に伴い、タウの制御異常の主要なドライバーであるアミロイドを取り除くことによってタウ治療薬を最適化することを考慮できるようになりました。このため、セントルイス・ワシントン大学医学部を中心とするDIAN-TU(Dominantly Inherited Alzheimer Network Trials Unit)は、Tau NexGen臨床試験において、レカネマブを抗タウ併用療法における基礎療法として選択し、現在、被験者の登録が進行中です。

4.レカネマブの新規皮下投与製剤を含む臨床開発のアップデート

エーザイ ニューロロジービジネスグループ Deputy Chief Clinical OfficerであるMichael Irizarry博士がレカネマブの主要な臨床試験のアップデートを行いました。

- 臨床第III相Clarity AD試験:革新的なベイズ計画によるレカネマブの堅牢な用量設定臨床第IIb相試験から、早期ADにおけるレカネマブの臨床効果と安全性を最適に検証する臨床第Ⅲ相Clarity AD試験を設計することができました。グローバルで1,795人の被験者登録を完了しています。さらに、米国における多様性を考慮した被験者募集戦略の結果、米国における総登録者の約25%がヒスパニック系(22.5%)およびアフリカ系アメリカ人(4.5%)の早期AD被験者となり、米国のメディケア加入者と同様な比率を確保することができています。本試験の主要評価データは2022年の秋に取得できる予定です。

- プレクリニカルADを対象とした臨床第Ⅲ相AHEAD 3-45試験:2022年3月の時点で、2,900人以上のスクリーニングが行われ、287人が登録されました。

- Clarity AD皮下製剤サブスタディ:皮下投与製剤は、当事者様または介護者が自宅でオートインジェクターを使用した投与、ならびに静脈注射製剤に比べてより迅速な投与(静脈投与は約1時間の点滴に対して皮下製剤は15秒未満の注射)をめざして開発が進められています。201試験のPK/PDモデリングは、レカネマブの平均血中濃度(Cave)によりアミロイド除去が予測され、レカネマブの最大血中濃度(Cmax)からARIA-E率が予測されることを示唆しています。皮下投与製剤はCmaxを低下させるため、10mg/kg静脈投与と同等のCaveをもつ皮下投与製剤は、静脈投与と比較して、同等のアミロイド除去効果と低いARIA-E発生率が期待され、ARIA-E発生率は静脈投与の半分以下になることが推定されます。皮下投与製剤はClarity AD試験のOLE試験において評価することを計画しています。

エーザイ ニューロロジービジネスグループのチーフクリニカルオフィサーであるLynn Kramer, M.D.は、「AD/PDにおけるレカネマブのプレゼンテーションは、抗アミロイド抗体間の作用機序の違い、および長期有用性を確保しながら投与頻度を減らし、ペイシェントジャーニーをシンプルにする可能性について、新しく興味深い知見を提供しています。エーザイは、これらのイノベーションを早期AD当事者様および医療提供者の皆様に、できるだけ早くお届けし、当社のヒューマン・ヘルスケア(hhc)ミッションを果たしてまいります」と述べています。

レカネマブは、米国食品医薬品局(FDA)から2021年6月にBreakthrough Therapy、12月にFast Trackの指定を受けました。エーザイは、FDAの迅速承認制度に基づくレカネマブの早期AD治療薬としての生物学的製剤承認申請の段階的申請を2022年度第1四半期に完了する予定です。また、2022年3月、日本において早期承認取得をめざし、医薬品事前評価相談制度に基づいて独立行政法人医薬医療機器総合機構(PMDA)に対して申請データの提出を開始しました。検証試験としての臨床第Ⅲ相Clarity AD試験の主要評価データは2022年の秋に取得する予定です。レカネマブについては、エーザイが引き続き開発および薬事申請をグローバルに主導し、エーザイの最終意思決定権のもとで、両社は共同商業化・共同販促を行います。

本リリースの詳細は下記をご参照ください。
https://www.eisai.co.jp/news/2022/news202221.html

概要:エーザイ株式会社

詳細は www.eisai.co.jp をご覧ください。


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