エーザイとMSD、「レンビマ(R)」と「キイトルーダ(R)」の併用療法が進行性腎細胞がんの一次治療として、対照薬のスニチニブに対して、無増悪生存期間および全生存期間の有意な改善を示す
- 2021年02月15日 11:00:00
- テクノロジー
- JCN Newswire
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本試験においては、進行性腎細胞がんの一次療法として、対照薬のスニチニブに対して、エーザイ創製の経口チロシンキナーゼ阻害剤「レンビマ(R)」(一般名:レンバチニブメシル酸塩)と Merck &Co., Inc., Kenilworth, N.J., U.S.A.の抗 PD-1 抗体「キイトルーダ(R)」(一般名:ペムブロリズマブ)の併用療法、および「レンビマ」とエベロリムスの併用療法が評価されました。「レンビマ」と「キイトルーダ」の併用療法は、スニチニブに対し、無増悪生存期間(Progression-Free Survival: PFS、ハザード比(Hazard Ratio: HR)=0.39[95%信頼区間(Confidence Interval: CI): 0.32–0.49];p<0.001)、全生存期間(Overall Survival: OS、HR=0.66 [95%CI: 0.49–0.88];p=0.005)および奏効率(Objective Response Rate: ORR、相対リスク=1.97[95%CI: 1.69-2.29];p<0.001)について、統計学的に有意かつ臨床的に意義のある改善を示しました。「レンビマ」とエベロリムスの併用療法についても、PFS(HR=0.65 [95%CI: 0.53–0.80];p<0.001)と ORR(相対リスク=1.48[95%CI: 1.26-1.74];p<0.001)について、対照薬のスニチニブに対する統計学的に有意な改善を示しました。探索的目的の解析での、PFS および OS に関する結果については、事前に設定したMemorial Sloan-Kettering Cancer Center(MSKCC)による予後予測分類のリスクグループ(低リスク、中リスク、高リスク)を通じて一貫していました。MSKCC リスクグループに関する全てのデータは、the New England Journal of Medicine 誌に掲載された論文「Lenvatinib Plus Pembrolizumab or Everolimus for Advanced Renal Cell Carcinoma」に記載されています。本試験における両併用療法の安全性プロファイルは、これまでに報告されている臨床試験のものと同様でした。
Memorial Sloan Kettering Cancer Center, Genitourinary Oncology Service の Kidney Cancer Section Head であるメディカルオンコロジスト Robert Motzer 博士は、「腎細胞がんと診断される患者様は過去 50 年間で2 倍を上回る数となり、約 3 分の 1 の患者様は、診断された時点で進行性のステージである現状を考えると、進行性腎細胞がんの患者様の予後の改善に向けた取り組みは非常に重要です。「レンビマ」と「キイトルーダ」の併用療法は、約 2 年の PFS(中央値)を示すとともに、10 人のうち 7 人の患者様が奏効を示しました。本併用療法では、スニチニブに対して、死亡のリスクを 34%減少させ、有意な全生存期間の改善を示しました。これらの試験成績は、本併用療法が進行性腎細胞がんの実臨床の現状を改善する可能性を示しています」と述べています。
本試験の主要評価項目である RECIST v1.1(固形がんに対する腫瘍径の変化を効果判定に用いる評価基準)に基づく独立中央画像判定による PFS について、「レンビマ」と「キイトルーダ」の併用療法は、PFS の中央値が 23.9 カ月(95%CI: 20.8-27.7)であり、スニチニブの 9.2 カ月(95%CI: 6.0-11.0)と比較して、増悪また死亡のリスクを 61%減少させました(HR=0.39 [95%CI: 0.32–0.49];p<0.001)。本試験の重要な副次評価項目について、本併用療法は、スニチニブと比較して、死亡のリスクを 34%減少させました(HR=0.66 [95%CI: 0.49–0.88];p=0.005)。中央値 27 カ月のフォローアップ期間で、OS の中央値は「レンビマ」と「キイトルーダ」の併用療法およびスニチニブ両群ともに未達でした。本併用療法は、71.0%(95%CI: 66.3-75.7)の ORR、16.1%の完全奏効(Complete Response: CR)率、および 54.9%の部分奏効(Partial Response: PR)率を示し、スニチニブは、36.1%(95%CI: 31.2-41.1)の ORR、4.2%の CR 率、および 31.9%の PR 率でした(相対リスク=1.97[95%CI: 1.69-2.29];p<0.001)。本併用療法の奏効期間(Duration Of Response: DOR)の中央値は 25.8 カ月(95%CI: 22.1-27.9)であり、スニチニブは 14.6 カ月(95%CI: 9.4-16.7)でした。
Merck &Co, Inc., Kenilworth, N.J., U.S.A. 研究開発本部 オンコロジークリニカルリサーチのバイスプレジデントである Gregory Lubiniecki 博士は、「これらの試験成績は、がん患者さんの予後を改善しようと努力してきた我々の成果です。本試験で、「キイトルーダ」と「レンビマ」の併用療法は、スニチニブに対する有効性ベネフィットの優越性を示しました。承認されれば、本併用療法は、進行性腎細胞がんの一次治療における重要な選択肢となると確信しています」と述べています。
本試験のもう一つの検証的投与群である「レンビマ」とエベロリムスの併用療法は、PFS の中央値が 14.7カ月(95%CI: 11.1-16.7)であり、スニチニブの 9.2 カ月(95%CI: 6.0-11.0)と比較して、増悪または死亡のリスクを 35%減少させました(HR=0.65 [95%CI: 0.53–0.80];p<0.001)。一方、本併用療法については、スニチニブに対する OS の改善は示しませんでした(HR=1.15 [95%CI: 0.88–1.50];p=0.3)。中央値 27 カ月のフォローアップ期間で、OS の中央値は「レンビマ」とエベロリムスの併用療法およびスニチニブ両群ともに未達でした。本併用療法は、53.5%(95%CI: 48.3-58.7)の ORR、9.8%の CR 率、および 43.7%の PR率を示し、スニチニブは、36.1%(95%CI: 31.2-41.1)の ORR、4.2%の CR 率、および 31.9%の PR 率でした(相対リスク=1.48[95%CI: 1.26-1.74];p<0.001)。本併用療法の DOR の中央値は 16.6 カ月(95%CI:14.6-20.6)であり、スニチニブは 14.6 カ月(95%CI: 9.4-16.7)でした。
エーザイ株式会社の執行役 オンコロジービジネスグループ チーフメディスンクリエーションオフィサー兼チーフディスカバリーオフィサーである大和隆志博士は、「今回のCLEAR試験(307/KEYNOTE-581試験)の成績は、進行性腎細胞がんに対する我々の臨床研究の取り組みにおける重要なマイルストンです。本臨床第III相試験の「レンビマ」と「キイトルーダ」の併用療法の成績は、我々を勇気づけるものです。また、本試験により、これまでの試験と合算して、700 人を超える患者様における「レンビマ」とエベロリムスの併用療法の臨床試験成績が得られたことになります。このような成果が得られたのは、世界的パンデミックの中で本試験にご協力頂いた患者様、医療従事者の皆様、研究者の皆様のおかげであり、深く感謝申し上げます」と述べています。
投与中止に至った治療関連有害事象(Treatment-related adverse events: TRAEs)は、「レンビマ」と「キイトルーダ」の併用療法において、「レンビマ」は 18.5%、「キイトルーダ」は 25.0%、両薬剤は 9.7%の患者様でみられました。「レンビマ」とエベロリムスの併用療法では、「レンビマ」は16.1%、エベロリムスは19.2%、両薬剤は 13.5%の患者様でみられました。一方、スニチニブでは、10.0%の患者様でみられました。グレード 5 の TRAEs は、スニチニブでは 0.3%の患者様でみられたのに対し、「レンビマ」と「キイトルーダ」の併用療法および「レンビマ」とエベロリムスの併用療法では、それぞれ、1.1%と 0.8%でした。グレード 3 以上の TRAEs は、スニチニブでは 58.8%の患者様でみられたのに対し、「レンビマ」と「キイトルーダ」の併用療法および「レンビマ」とエベロリムスの併用療法では、それぞれ、71.6%と 73.0%でした。全グレードにおける最も一般的な TRAEs(発現率 20%以上)は、「レンビマ」と「キイトルーダ」の併用療法では、下痢(54.5%)、高血圧(52.3%)、甲状腺機能低下症(42.6%)、食欲低下(34.9%)、疲労(32.1%)、口内炎(32.1%)でした。「レンビマ」とエベロリムスの併用療法では、下痢(59.7%)、口内炎(45.6%)、高血圧(43.1%)、疲労(36.6%)、食欲低下(34.9%)、蛋白尿(31.8%)でした。一方、スニチニブでは、下痢(44.4%)、高血圧(39.1%)、口内炎(37.4%)、手足症候群(35.9%)、疲労(32.1%)、悪心(27.6%)でした。
本リリースの詳細は下記をご参照ください。
https://www.eisai.co.jp/news/2021/news202106.html
概要:エーザイ株式会社
詳細は www.eisai.co.jp をご覧ください。
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