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ファンづくりの施策に取り組んでも成果が出ない企業…「めちゃ企業都合」じゃ効果が出ないのは当たり前!


特定ブランドの商品などに愛着を感じる「顧客ロイヤルティ」。多くの企業がデジタルを駆使し、「ファンをどう囲い込むか」「自社ブランドや商品にどう興味を持ってもらうか」などの施策を打ち出すようになっています。とはいえ、十分な効果を上げられずにいる企業が大半です。なぜなのか。ここでは施策の効果を高めることを目的に、「顧客ロイヤルティ」を再定義。さらに、自社のファンを作り出すポイント、顧客ロイヤルティを高める数々の施策を可視化する方法を解説します。【ファンをつくる「顧客ロイヤルティ」の科学 #1】 

「プラチナ会員=ロイヤルティが高い」は、めちゃ企業都合! 

消費者と接する事業を展開する企業の中には、「プラチナ会員のお客様は、ロイヤルティが高いお客様」と考えるケースが少なくありません。一般的には自然な考えで、多額の商品を購入したり、来店頻度が高かったりする顧客は、企業にとってありがたい存在に他なりません。そのため、多くの企業がそうした顧客を「ロイヤルティが高い」と評価するのは合理的に見えます。 

ロイヤルティの高さを可視化する取り組みも進んでいます。会員ランクやRFM分析(Recency:最終購入日、Frequency:購入頻度、Monetary:購入金額)といった指標を用いて、顧客ロイヤルティを計測、可視化する企業が増えています。これら指標は、顧客は「直近いつ来店したか」「一定期間内に何回来店したか」「一定期間内でいくら購入したか」をスコア化し、顧客のロイヤルティや離反状況を把握するための手法として一般的に使われています。測りやすさや、収益が見えやすいことから、これらの分析手法を活用する企業が多いと感じます。 

しかし、これらの計測手法は、あくまで企業の収益を前提としたものです。こうした計測に基づき顧客を線引きしても、顧客のブランドに対する「信頼」「愛着」「共感」といった深い気持ちを可視化することはできません。例えば、自社商品の購入額が少なくても、自社ブランドに高い愛着を持っている人はいるはずです。「顧客ロイヤルティ」を正しく把握するには、従来の計測手法に依存しない方法を導入することが何より求められるのです。 

経営陣が「顧客ロイヤルティ」に対する考え方を改めることも、ロイヤルティ向上施策を進める上では重要です。企業の中には、CFO(最高財務責任者)がファンづくり活動の推進者に対して、「君がやっていることは、今年はどれくらい儲かったの?」や、「儲からないなら、コストの無駄だから辞めたら?」と迫るケースが多々あります。こうした事例は、顧客の「気持ち」ではなく「経済的側面」に偏重した評価にすぎません。「顧客ロイヤルティを引き上げることがなぜ必要か」の本質を理解し、経営陣を含めて施策の価値を共有することも顧客ロイヤルティ戦略を進める上では重要です。 

ファンづくりは本来、お客様との中長期的な関係性を築き、LTV(顧客生涯価値)を最大化するための活動です。にもかかわらず、短期的な施策が目立ち、かつ売上という数値でしか評価していない点を見直さなければなりません。 

さらに多くの企業が、ファンづくりのための施策が購買者づくりの施策と同一になりがちです。これを「マネジメントの同一化現象」と呼びます。ファンをつくることと購買者をつくることは異なります。購入量や購入金額が多い購買者を単純に「ファン」と解釈するのは、極めて企業都合の視点に他なりません。この誤った解釈は、ファンづくりのための指標が曖昧になる原因となりかねません。多くの企業は購買者を増やすための施策に舵を切っていますが、それとは切り分け、ファンをつくるための施策を検討、実施することにも注力しなければなりません。 

では、ファンをつくり顧客ロイヤルティを高めるためには、どのような考えが必要か。どんな施策を実施するのが望ましいか。さらにファンの心理をどのように読み解くことが大切なのか。次回は「顧客ロイヤルティ」という言葉を分解し、効果的な施策を生む出すアプローチにについて解説します。 

筆者プロフィール

渡部 弘毅
ISラボ 代表

日本ユニシス(現 BIPROGY)、日本IBM、日本テレネットを経て、2012年にISラボ設立。一貫してCRM分野の営業、商品企画、事業企画、戦略・業務改革コンサルティングに携わる。現在は心理ロイヤルティマネジメントのコンサルティングを中心に活動。お客様の心理ロイヤルティアセスメントに関する独自の方法論を提唱し、ファンづくりの科学的かつ実践的なコンサルティング手法を展開する。業界団体や学術団体での研究活動、啓蒙活動にも積極的に取り組む。

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