仕事を円滑に進める上で欠かせないコミュニケーション。とりわけリーダーには、ゴールや目的をメンバーに的確に「伝える」スキルが強く求められます。伝える力を養うには何が必要か。伝えることの極意とは。リーダーが備えるべき「伝える力」について考えます。【週刊SUZUKI #110】
リーダーの役割の1つに「伝える」があります。「プロジェクトのゴールを伝える」「仕事の狙いを伝える」「自社の未来像を伝える」など、相手との意思疎通を図る上で欠かせない作業です。「伝える」を使いこなせない人にリーダーは務まりません。
とはいえ、伝えようとしても、相手が発言の意図や狙いを理解できないことはよくあります。そんなときリーダーは、何度も伝えることが必要です。何度でも粘り強く言い聞かせるようにします。相手が納得するまで言い聞かせることもリーダーには求められます。
仕事を依頼するときに限らず、人に何かを伝えるときは総じて簡易で分かりやすい表現を心掛けなければなりません。リーダーなら相手に伝わる話し方や説明の仕方にこだわるべきです。この基本となる対話を成立させられない人は、リーダー失格です。「相手が理解できなければ自分の伝え方が悪い」という考えに立ち、分かりやすく説明することも求められます。
もし相手に何かしらの行動を求めるなら、具体的な方法を含めて説明すべきです。例えば、「分かりやすい資料を作って」と伝えるだけでは不十分です。どのように工夫すれば分かりやすくなるのか、どんな資料を望んでいるのかまで詳しく説明します。さらに、相手が具体的なイメージを膨らませるようになるまで説明することも必要です。「相手は何も分かっていない」という前提で、ゼロから経緯や狙いを伝えるようにします。
「言葉で伝える」という行為は日常的なコミュニケーションであることから、多くの人が容易にできると思いがちです。しかし、理解してもらうにはポイントを押さえた伝え方に配慮すべきです。具体的には、結論を先に言う、シンプルに表現するなどです。もちろん、目的に応じて、結論を先延ばしにしたり、深く詳しく表現したりすることもあります。どのように話せば相手が理解するのかを考え、結論や経緯、目的、具体例などを簡潔に示すことが大切です。
【リーダーの心得 その18】

筆者プロフィール
鈴木 康弘
株式会社デジタルシフトウェーブ
代表取締役社長
1987年富士通に入社。SEとしてシステム開発・顧客サポートに従事。96年ソフトバンクに移り、営業、新規事業企画に携わる。 99年ネット書籍販売会社、イー・ショッピング・ブックス(現セブンネットショッピング)を設立し、代表取締役社長就任。 2006年セブン&アイHLDGS.グループ傘下に入る。14年セブン&アイHLDGS.執行役員CIO就任。 グループオムニチャネル戦略のリーダーを務める。15年同社取締役執行役員CIO就任。 16年同社を退社し、17年デジタルシフトウェーブを設立。同社代表取締役社長に就任。他に、日本オムニチャネル協会 会長、SBIホールディングス社外役員、東京都市大学特任教授を兼任。