リーダーはチームのメンバーを巻き込む力を養わなければなりません。そのためにはどんな心構えが必要か。リーダーのどんな姿勢が周囲の共感を呼ぶのか。リーダーに求められる巻き込む力について考えます。【週刊SUZUKI #113】
リーダーとして力を発揮するには、周囲の人々を巻き込む素養を持っていなければなりません。会社の仲間や取引先、さらには顧客も含めてあらゆる人を味方につけることでリーダーは真の力を発揮できるようになります。どんなに優れたスキルを習得しようとも、周囲を巻き込めないリーダーに成功は訪れません。
では周囲の人々を巻き込むためには何が必要か。その1つが利他の心です。自分のことより相手のことを考えて行動できる人が、周囲を魅了するのです。周囲の人々が「自分のことを考えている」と思ってくれることが、信頼を築く契機となります。人は一般的に「自分本位」になりがちな中、「自分のことは二の次」という姿勢を全面に打ち出すことが周囲を巻き込む力となるのです。
自分自身が常に全力、かつ本気で業務に臨むことも大切です。周囲を巻き込もうかどうか以前に、まずは自分が目の前の業務に本気で取り組むべきです。周囲の誰にも負けないくらい全力で業務と向き合うべきです。こうした姿勢を示すことが、結果として周りのメンバーの心を動かすのです。「リーダーが全力で取り組んでいるなら自分も」「業務に真剣に向き合うリーダーを支えたい」といった気持ちが周囲のメンバーに自然と芽生えるようになります。
全力かつ本気で取り組むなら、中途半端であってもいけません。大切なのは全力を継続すること。プロジェクトをけん引するなら、ゴールを迎えるまで全力で突き進まなければなりません。どんな些細な業務にも真剣で取り組まなければなりません。取り組むなら不退転の覚悟で、業務と向き合うことが必要です。
あなたはリーダーとして周囲のメンバーと信頼関係を築けていますか。自信を持って「築いている」と言えない人は、周囲を十分巻き込めずにいるかもしれません。難題を抱えるプロジェクトを成功させられるかどうかは、リーダーの「巻き込み力」にかかっているのです。
【リーダーの心得 その21】

筆者プロフィール
鈴木 康弘
株式会社デジタルシフトウェーブ
代表取締役社長
1987年富士通に入社。SEとしてシステム開発・顧客サポートに従事。96年ソフトバンクに移り、営業、新規事業企画に携わる。 99年ネット書籍販売会社、イー・ショッピング・ブックス(現セブンネットショッピング)を設立し、代表取締役社長就任。 2006年セブン&アイHLDGS.グループ傘下に入る。14年セブン&アイHLDGS.執行役員CIO就任。 グループオムニチャネル戦略のリーダーを務める。15年同社取締役執行役員CIO就任。 16年同社を退社し、17年デジタルシフトウェーブを設立。同社代表取締役社長に就任。他に、日本オムニチャネル協会 会長、SBIホールディングス社外役員、東京都市大学特任教授を兼任。