株式会社STANDAGEが実施した中小製造業の海外展開に関する実態調査は、製造業の経営者や役員に焦点を当て、円安や海外展開支援策の影響を調べました。この調査は、特に海外に進出していない中小製造業を対象に行われました。
調査では、回答者の約40%が、最近の経済状況や支援策を受けて海外売上の構築や拡大の必要性を感じていることが明らかになりました(図1)。
具体的には、「非常に感じている」と答えた人が11.9%、「やや感じている」と答えた人が23.7%で、これに対して「あまり感じていない」と答えた人が32.2%、「全く感じていない」と答えた人が26.3%でした。さらに、5.9%の人が「わからない/答えられない」と回答しています。
次に、必要性を感じると回答した人の中からさらに具体的な行動を起こした人の割合を見ると、38.2%が何らかの行動を起こしているのに対し、54.8%が行動を起こしていないと答えました(図2)。
行動を起こした人の中で、31.2%が海外展示会に出展し、自社の商品に適した海外市場の分析や策定を行ったのは25.0%、越境ECを検討・実施したのも25.0%でした(図3)。
さらに、JETROなどの公的機関への相談を行ったのは18.8%、製造業向けのマッチングサービスを利用したのは6.2%で、同じく6.2%が行政の支援を受け、また現地法人を設立したのも6.2%でした。
行動を起こした人たちが直面した課題としては、販路開拓が最も多く43.8%、現地の商習慣への対応が難しいと感じたのが37.5%、買い手との交渉・契約に不安があると答えたのも37.5%でした(図4)。
その他に、商品の海外市場への適応が難しいと答えたのが25.0%、価格の調整が難しいと答えたのが18.8%、物流の手配がわからないと答えたのも18.8%で、自社製品の成分や素材が輸出できるかわからないと答えたのは12.5%でした。
一方で、行動を起こさなかった主な理由としては、投資資金が不足していることが43.5%、貿易に関するリソース(人材を含む)が不足していることが34.8%で挙げられました(図5)。
これに加え、貿易に関するノウハウが不足していると答えたのが30.4%、自社製品が海外市場に受け入れられるかわからないからと答えたのも30.4%、上手くいく自信がないからと答えたのが26.1%でした。現地の商習慣や文化の適応にコストがかかるからと答えたのは17.4%で、既存市場からの売上で十分だからと答えたのは0%でした。
執筆:熊谷仁樹