AIとIoTを活用して「待つ」をなくすサービスを提供するスタートアップ、株式会社バカン(本社:東京都千代田区、代表取締役:河野剛進)は、2024年10月8日にとしまセンタースクエアにて豊島区役所職員と避難所入所受付のデジタル化の実証実験を実施しました。この実証実験は、最近の自然災害の増加に伴う避難時の混雑問題を解決することを目指しています。避難所でスムーズかつ安全な避難が難しいケースが多発している中、株式会社バカンはリアルタイムでの混雑情報配信や避難所マップの提供を行い、避難者の負担を軽減するための取り組みを進めています。
今回の実証実験では、避難所入所受付にかかる作業時間をいかに短縮できるかを検証しました。特に、避難者名簿のデータベース化や報告作業の効率化も重要なポイントです。実施日には豊島区役所の職員が参加し、マイナンバーカードリーダーやQRコード読み取りを使用したデジタル化の手法を検証しました。
具体的には、まずアプリを通じてQRコードを読み取る手法が採用されました。避難者は、アプリに事前登録された情報をQRコードで読み取り、入所手続きを行います。さらに、マイナンバーカードをカードリーダーにかざす手法も用意され、これにより手続きが迅速に進行します。一方、従来の紙媒体を使用する方法では、避難者がカードに記入し、職員がそのデータをExcelに転記する必要があり、手続きには平均100秒かかるのが通常でした。
実証実験の結果、情報登録が済んだアプリからQRを読み取る方法では、平均して7秒で手続きが完了しました。この時間は従来の方法の14分の1という圧倒的な短縮を実現しました。また、この手法では複数の避難者が同時に入所手続きすることも可能であり、災害時には特に大人数の同時利用が見込まれるため、実施効果がさらに高まると考えられます。避難者に行ったアンケート調査では、「スムーズだと感じた」との回答が71.4%に達しており、評価が高いことも明らかになっています。
今回の実証実験で使用されたアプリ「tami tami」は、日常的な地域交流を促進し、災害発生時には避難所の位置と混雑状況の把握などを支援する機能を備えています。このアプリを使えば、災害時にはQRコードを読み取るだけで、迅速に入所手続きを完了させることが可能です。また、避難所マップ機能により、避難者が自分の現在地からどの避難所が開設されているのかを確認することができるため、円滑な避難の実現が期待されます。
デジタル技術の進化によって、より多くの自治体がこのような取り組みを取り入れ、災害時の混雑解消や迅速な対応が実現されることを期待しています。
【関連リンク】
株式会社バカン
https://corp.vacan.com/
執筆:DXマガジン編集部