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学ばなければマネジメント能力は養えない!強い組織づくりを支援するチームビルディング分科会リーダーの田中安人氏に迫る


日本オムニチャネル協会の取り組みやビジョンを深く知る連載企画第4弾。今回はチームビルディング分科会のリーダーを務める田中安人氏に話を聞きました。すべての企業共通の課題である組織づくり。強い組織を築くには何が必要か。組織を統括するマネージャーにはどんな素養が求められるのか。同氏が掲げる組織論やチームビルディングの考え方に迫ります。

写真:田中安人

グリッドCEO
吉野家CEO
公益財団法人日本スポーツ協会 ブランド戦略委員会委員

東証一部上場企業で戦後初倒産を経営企画室にて経営者と対峙し代表解任動議、会社分割、会社譲渡、社員移籍を推進しながら会社の清算を完逐。その後、アドバタイジングエージェンシー創業、銀河系最強集団レアル・マドリード招致、女子十二楽坊第54回紅白歌合戦出場経験後、マーケティングコンサルティング会社を創業する。はなまるうどん、吉野家CMO、日本のスポーツの未来設計、各種スポーツ団体組織変革、エンターテイメント企業変革で株価上昇実現させる。スポーツ界&ビジネス界の両方において成果が出る独自フレームワークで組織変革、リーダーシップ育成を得意領域とする。

勤務先の倒産を機に従業員が幸せになる組織像を追求

――多くの企業が組織改革を進められずにいます。背景にはどんな課題が潜んでいるのでしょうか。

組織やチームは企業にとっての「要」です。企業が掲げるビジョンに向かって個々が能力を発揮できるような組織を築くことで、企業は初めて成長できるようになるのです。すべての企業にとって、競争力の源泉となりうるのが組織です。

にもかかわらず、組織のパフォーマンスを最大化できずにいる企業が目立ちます。組織に所属するスタッフの能力を発揮させられずにいるケースも少なくありません。「自社と組織の目標が乖離している」「希薄なコミュニケーションによって業務が滞り気味」「組織内に適切なスキルを持った人材がいない」「組織をまとめるマネージャーの力量が足りない」など、顕在化するこれらの課題に手を付けられずにいるのが日本企業の現状です。

もちろん企業の中には、ミーティングを頻繁に実施して希薄なコミュニケーションを解消したり、優秀な人材を獲得したりして組織強化に努めるケースも見られます。ただし、こうした施策の多くが組織を強くするための根本的な解決策にはなりません。組織のどこに目を向けるべきか、何にメスを入れるべきか分からないまま組織改革に乗り出しても、改革は成し得ません。

写真:チームビルディング分科会で参加者の声を聞く田中リーダー

――組織やチームをより強くするための考え方や具体的な取り組み方を学ぶ場が、チームビルディング分科会ということですね。

その通りです。多様性が叫ばれる時代に追随する組織の在り方を模索するのが分科会の役割です。そのため最先端の組織やリーダーシップなどの基礎理論を習得した上で、具体的な解決策を参加者同士で議論しています。分科会では実践的な組織改革を打ち出せるようにする目標を掲げます。

――そもそも田中リーダーは、なぜ組織やチームの重要性を説くようになったのでしょうか。田中リーダーの経歴を含めて教えてください。

私は大学卒業後に入社した会社で、人事や経営企画に携わってきました。5万人もの従業員を抱える上場会社だったのですが、その会社が倒産するという事態に直面したのです。全従業員がある日突然、職を失うことになったのです。私は人事や経営企画といった企業の中枢を担う部署にいたにもかかわらず、大勢の仲間を守れなかったのです。

こうした経験から、スタッフが幸せと感じる組織を追い求めるようになりました。組織をよくすることで、その組織に所属するスタッフを守れるのではないか。ひいては会社もよくなるのではないかと考えたのです。よい組織とはどうあるべきか。よい組織を導くリーダーはどうあるべきか。さらには、よい組織を構築するために企業はどんな施策を打ち出すべきか。あらゆる視点で理想的な組織像を模索し、その重要性を受け止めるようになっていったのです。

――組織はどうあるべきか。田中リーダーが描く理想的な組織はどうあるべきと考えますか。

一例ですが、チームスポーツの中には理想的な組織やチームを構築するケースがあります。私は学生時代にラグビー部に所属していましたが、ラグビーという競技は組織論が極めて重要な意味を持ちます。一人ひとりがどれだけ優秀であっても、グラウンドに立つ15人が有機的に機能しなければ、トライを決めることなどできません。

ラグビーで求められる組織論は、ビジネスにも十分置き換えられると考えます。優秀な社員が一人いても、競合他社の“一枚岩”な組織には太刀打ちできません。組織の社員同士が強い結束で立ち向かわない限り、強い組織には勝てないのです。組織論だけではなく精神論も含めて、理想的な組織のヒントはチームスポーツに見出すことができるのではと思っています。

徹底的に学ばなければ優秀なリーダーにはなれない

――企業が組織力を高めるには何が必要でしょうか。まずは何から着手すべきと考えますか。

組織を強化するには、リーダーのマネジメント能力が何より問われます。企業の中には、営業成績などの過去の実績でマネージャーを抜擢するケースが少なくありません。しかし、マネジメントは営業成績が全社1位だからといってできるものではありません。

このとき重要なのが「学び」です。マネジメントとは何かを基礎から学ばなければ、よいマネージャー、よいリーダーにはなれません。研修や講義を受けたり座学で勉強したりして基礎を積み上げたとき、初めてマネジメントで何をすべきかを考えられるようになるのです。自分に何が足りないのかを気づくようになるのです。

よい組織、よいリーダーを目指すなら、学びを怠るべきではありません。少なくとも週に一冊以上の本を読み続けなければ、リーダーとしてよい組織を築き上げられないでしょう。それだけ学びは重要です。

――チームビルディング分科会が学びの機会を提供する役割を担うわけですね。

チームビルディング分科会にただ参加すればいいわけではありません。学びを自分事として受け止められるか、さらには熱意を持って勉強に打ち込めるかが重要です。会社から「マネジメントについて学んで」と言われたのを理由に学んでも、リーダーとしての素養は培われません。熱意を持って真剣に学ばなければ、何時間勉強しても無意味です。

「組織を変えたい」「リーダーとして組織をよくしたい」と真剣に思えるかどうかが、学びによる効果を高めます。「人から教わる」という姿勢でチームビルディング分科会に参加しても、その人は自社の組織を変えられないでしょう。自分事として受け止め気づくことで、学びを組織に還元できるようになるのです。

明日から使える実践的な組織改革/マネジメント手法を伝授

――チームビルディング分科会の具体的な活動内容を教えてください。

分科会の会員に対し、組織やチーム、リーダーシップを学ぶ機会を提供しています。具体的には年に6回開催し、組織論を学んだり組織を改革する施策を参加者間で議論したりします。前半の3回は組織論の概要を習得し、後半の3回は参加者が持ち寄った課題の解決策を導き出すようにしています。チームビルディング分科会では組織の構造を体系的に習得し、基礎を徹底的に学んだ上で具体的な解決策を模索するよう心掛けています。土台となる基礎を習得しない限り、解決策を話し合うことはできないと考えているためです。

――チームビルディング分科会に参加するメリットを教えてください。

私を含む周囲の参加者からただ教わるのではなく、自分事として組織やリーダーの課題を理解できるようになるのが利点です。この差が、実践的かつ効果的な解決策を打ち出せるかどうかを分けます。理解を深めれば深めるほど、具体的な対策や施策、アクションをイメージできるようになります。

もう1つは、組織やリーダーという漠然としたものを構造的にとらえられるようになることです。組織は会社や役割、規模などに応じてさまざまです。リーダーの役割や求められるスキルもさまざまです。これらを把握するときに役立つのが構造化した組織論であり、マネジメント理論です。チームビルディング分科会では最新の組織論を構造化し、さまざまなシチュエーションでマネジメントを応用できるようにしています。リーダーとは何か、組織とは何かの答えを構造的、かつ体系立てて考えられるようになるのも利点と言えるでしょう。

――チームビルディング分科会の参加者は、どんなゴールを描けるようになるのか。分科会が掲げる目標を教えてください。

日本オムニチャネル協会として、企業や業界の壁を超えた共創を生み出すようにするのが分科会の役割の1つです。他の企業や業界のよい施策や取り組みを吸収し、自社に転用する機会を創出できればと考えます。

一方、チームビルディングというテーマに限れば、参加者が明日から使える実践的な手法を習得するのがゴールです。組織やマネジメントを十分理解し、その上で導出した課題解決策を自社に持ち帰って実践できるようになるのが理想です。頭の中でただ考えるのではなく、実践というアクションを伴って組織改革に乗り出す企業を1社でも増やすことができればと思います。

「自社の組織を刷新したいが、何から取り組めばよいのか分からない」「強いリーダーシップを発揮したいが、組織をどうまとめればよいのか分からない」などの課題を抱える企業の担当者は、本気で変えるという強い意欲を持って分科会に参加いただければと思います。皆さんのその強い意志、意欲が組織を必ずよい方向へと導きます。そのとき、チームビルディング分科会で学んだ知識や参加者同士で議論した解決策が役立つことを期待します。

参加者の声
『チームビルディング分科会は「事を成す」ために必要な要素を、事業会社や支援会社といった立場に関係なく議論できる場です。業務が細分化する中で生じる「世代の壁」「立場の壁」「価値観の壁」を取り払うために必要なアプローチを、多くの経験を積む田中リーダーから学び、自社のチームビルディングに還元できるのが何よりの成果です。』

『私自身がマネージャーという立場で、チームビルディング分科会で学ぶ内容はどれも興味深く、参考になっています。チーム内メンバーとの向き合い方、目標の立て方、自分自身の深掘りの仕方などは実践的で明日からすぐに使えるものばかりです。「強い組織」を作るための考え方は、現在の業務や組織に置き換えることができ、私に多くの気づきをもたらしてくれました。』

編集後記
記事を読んでいただきありがとうございます。今回チームビルディング分科会についてインタビューさせていただき、田中リーダーの言葉一つひとつに熱意が込められていると強く感じました。その熱意が伝わるからこそ、田中リーダーから多くのことを学びたいと思いました。また田中リーダーは豊富な経験から得た本質を分かりやすく構造化して教えてくださります。そのため自身に落とし込んで考えることができます。実際にお話しする中で、「その人のストーリーを背景にした思いを汲み取ることで、人やモノの価値を読者に伝えたい」という自分自身の熱意に気づくことができました!(気づいた瞬間は非常に嬉しく高まりました(笑))気づきは自身の学びを深め、成長につなげることができます。チームビルディング分科会は、田中リーダーの熱意によって非常に価値のある場となっていると感じました。ぜひ多くの方に、この気づきを得る経験をしていただきたいです。それが組織やチームを動かす第一歩になると思います。

執筆:小松由奈


一般社団法人日本オムニチャネル協会
https://omniassociation.com/


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