starthome-logo 無料ゲーム
starthome-logo

周囲の古い考え方を“オムニチャネル化”することがDX!?成功を妨げる見逃しがちなポイントとは


日本オムニチャネル協会のフェローとして活動する大西理氏がDX(デジタルトランスフォーメーション)推進の重要性について語りました。大西氏は、キャリアの初期にECビジネスを立ち上げ、カタログ通販からECへの転換を自身のDX体験と位置付けています。しかし、DX推進には企業内の文化や認識の更新が必要であると強調しました。ECと従来の事業を統合するオムニチャネル戦略の必要性を説き、お客様が最適な選択をできる環境を整備することがDXの鍵だと述べました。今後はEC関連のスキルを次世代に伝える人材育成に注力し、日本オムニチャネル協会をその場としたい考えを示しています。

日本オムニチャネル協会の活動をサポートする役割を担う「フェロー」。各方面の専門家が集まり様々な活動に取り組みます。今回はそんなフェローの1人で、スマイルエックス合同会社の代表として活躍する大西理氏に話を聞きました。現在では当たり前となるECをインターネット黎明期に立ち上げた大西氏。そんな大西氏の経験からDX推進を妨げる障壁や推進していくためのポイントについて聞きました。

現在のベースとなったDX原体験

鈴木:大西さんの経歴を教えてください。

大西:新卒で繊維商社に入社した後、カタログ通販のセシールに転職しました。セシールではマーケティングやサービス開発、そしてECの立ち上げに関わるなど約15年の間に様々な経験をいたしました。その後、文房具メーカーでは、マーケティング責任者、ECの責任者、プロダクトブランドの責任者、Web制作会社のCOOなど同時に複数のポジションを担いました。通常のコンシューマ向け製造卸売業としてのBtoBtoCビジネスに加え、ECを使ったBtoCのダイレクト販売、BtoB受託ビジネスなど、頭の切り替えをしながら推進していくことが大変であるものの非常に面白かったですね。スタッフレイヤーからマネージャーになり、そして転職を経てファッション関連の企業に所属したときは経営レイヤーに近いポジションでの経験を積むことができ、現在は、独立してスマイルエックス合同会社の代表として活動しています。

鈴木:さまざまなことを経験されていますが、現在の大西さんに大きな影響を与えたことは何ですか。

大西:セシールでEC事業の立ち上げに従事できたことです。ECを0からつくり、私が同社を離れる頃には売上100億円以上に成長していました。その道のりの中で楽しみや苦しみをすべて味わうことができました。この経験が今の自分の仕事人としてのベースをつくったと思います。

鈴木:当時、黎明期であったECですが、どのような経緯で立ち上げたのでしょうか。

大西:EC事業はもともと、受注コスト削減を目的に立ち上げました。セシールではアパレルや生活雑貨などのさまざまな商品を販売しています。しかし当時、新聞やテレビなどの媒体からコールセンターや郵便、FAXにて注文を受け付けていたため、すべての受注コストは会社負担でした。大量のカタログを無料で利用者に送付するビジネスモデルだったため、印刷費や配送費も大きくのしかかっていましたね。受注するほどコストが肥大化するという課題を解決する手段のひとつとして、ECを模索し、事業として本格化することに踏み切ったのです。今振り返ると、カタログ通販事業からEC事業への転換こそが自分にとって初めてのDXでした。

鈴木:ECへの受注を変えることで業務プロセスも変えることは、デジタルの活用で人々の生活に改革を起こしていますね。まさにDXです。

スマイルエックス合同会社代表として活躍する大西理氏

DX推進の障壁となる企業風土

鈴木:黎明期でのEC立ち上げを経験されて苦労したことはありましたか。

大西:周囲からの理解を得ることに苦労しました。カタログ通販を利用するお客様に対し、ECでも購入してもらおうと流入を試みたのですが、「通販のお客様を取るのか」と社内で反発を受けました。カタログ通販とECのつなぎ込みを説得することは難しかったですね。

鈴木:それはカタログ通販だけでなく、店舗の業態でもECを始めると「店舗のお客様を取るのか」と社内で反発が起きることがあります。しかしお客様の立場になって考えると、ECでも店舗でも購入するので、どちらのお客様と決まっているわけではありませんよね。

大西:そうです。当時は周囲に理解してもらうことが難しかったです。セシールでいうと、カタログ通販はアナログでECがデジタル。どちらもシームレスに統合する「オムニチャネル」を理解してもらうのに苦戦しました。

鈴木:たしかにオムニチャネルを周囲に理解してもらうことがDXなのではないかと思います。「社内で店舗が得意な人もいれば、ECが得意な人もいる。どちらで購入するのかを決めるのはお客様。」という考えがあれば社内一体となってDX推進することができると思います。しかし現状、経営者が店舗とECを分けて売上を競わせる企業も多く存在しています。これがDX推進を難しくしているように感じます。

大西:間違いないと思います。ましてや店舗間でも売上を競い合っていることもあります。会社全体で見ればどこの店舗でも、ECでもどこのチャネルで売れても良いはずです。凝り固まった考え方をオムニチャネル化することがDXですね。

鈴木:そういった企業風土や文化を変えることがDXのスタートだと思います。

経験を伝え人材を育てる

鈴木:今後、どのようなことに取り組んでいきたいですか。

大西:人材育成に注力していきたいです。昨年度からECについて講師を務める機会をいただきましたが、EC自体は学問分野として確立されているわけではありません。しかし、今後のビジネスにおいて、学生たちもEC関する知識やスキルを身につけることが重要だと考えています。そのため、今後も実務家の視点から学生にECを伝える機会が増えていけばと思っています。
そういった機会を日本オムニチャネル協会にも展開していきたいです。学生だけでなく、EC分野における新任担当者を対象にアカデミーを実施するのも良いと思います。日本オムニチャネル協会が人材育成の場となれば良いですね。

鈴木:こういうことを20代のときから知っておけば、あんな失敗をしなかったのにと思うことがたくさんありますよね。日本オムニチャネル協会には、オムニチャネルの考え方を持った各分野のプロフェッショナルが多くいるので、ノウハウを伝えていきたいです。

大西:日本オムニチャネル協会では、アカデミーや分科会だけでなく、国内や海外視察で実際に様々な店舗を視察する機会など、学ぶことができる場が整っていると思います。ぜひ、多くの方に活用してもらいたいですね。

    Loading...
    アクセスランキング
    game_banner
    Starthome

    StartHomeカテゴリー

    Copyright 2025
    ©KINGSOFT JAPAN INC. ALL RIGHTS RESERVED.