starthome-logo 無料ゲーム
starthome-logo

無駄な社内会議になってない?この発言が出たら危険信号…


オムニチャネル戦略の成功には、各部署との連携が不可欠である。本記事では、部署間の理解を深めるために会議が重要な役割を果たすことを指摘している。様々な会議に参加することで、組織全体の目標や進捗を把握でき、自部署と他部署の業務を結びつけることが可能となる。さらに、他部署への理解が深まることで、会社全体の利益に貢献する思考を促すことができる。オムニチャネルとは、従来の店舗とネットの融合を超え、部署間の連携を深め、全体の利益を最大化することが求められている。

オムニチャネルを推進するポイントの1つが、他部署との連携です。他部署を気にせず「自部署は」や「私たちは」といった発言を繰り返す限り、オムニチャネル施策は成功しません。他部署に興味を持たず、どんな業務や課題と向き合っているのかを理解しようとしない姿勢も望ましくありません。では、他部署の理解をどう深めればよいのか。このとき重要な役割を担うのが「会議」です。オムニチャネル施策を成功に導く「会議」のあるべき姿について考えます。【連載第5回:オムニチャネル~ビジネスを共創する時代の基本思考】

事件は現場でも会議室でも起きている!?

私は複数の会社で、社員もしくは業務委託のコンサルタントとして仕事をしてきました。どの立場であっても、会社を理解するために重視していたことがあります。すべての会議体に出席することです。経営会議や各事業部門会議、営業・商品会議、各管理部門会議、時には取締役会など、許される限りの会議に出席しました。こうした会議では一般的に、組織の達成すべき数値予算と進捗状況、施策や課題を話し合います。つまり、各部署が目標に向けて具体的に何を実施しているのかを把握することができます。2~3ヵ月ほど会議に参加すると、会社の経営はもとより、全部署の業務が見えてくるようになります。

「越権行為ではないか」「他部署に迷惑をかけるのではないか」といった懸念を抱く人もいるでしょう。しかし、自分自身に置き換えて考えてみてください。「あなたの部署の目標や業務を理解し、部署同士でより良い仕事をできるようにしたい」と言ってくる人を、あなたは嫌がりますか? 多くの人は好意的に受け入れるのではないでしょうか。なお、他部署の会議に参加する場合、参加する理由を明確に伝えることが大切です。さらに会議参加時、最初から意見を言うのではなく、きちんと聴くことに徹します。こうした姿勢で会議に参加すれば、多くの会議への出席を許可されるはずです。

もちろん、他部署の状況把握が会議参加の目的では必ずしもありません。会議に参加したら必ず考えなければならないのは、他部署の業務と自部署の業務と結び付けることです。「どうすれば他部署の業務をサポートできるようになるか」「自部署の業務をどう見直せば、他部署の業務との結びつきを強められるか」などを考え抜くことが大切です。こうした姿勢が、会社の利益をさらに引き出す契機となるのです。

さらに、自部署のみの会議を見直すきっかけにもなります。他部署への理解が深まれば、主語が「自分たち」ではなく「会社の目標を達成するには」に置き換わるようになります。「自部署はこうしよう」「自分たちはあれを実施しよう」と考えるのではなく、会社全体の利益や効果を考えられるようになるはずです。自部署のメンバーのみが参加する会議であっても、他部署や会社全体を常に意識した会議体にすることが極めて重要です。

複数チャネルの連携を意味する「オムニチャネル」は本来、店舗とネットを融合させる取り組みの総称として使われてきました。この意味を踏襲するなら、社内では部署がチャネルとなり、複数部署の融合こそがオムニチャネルを意味すると言えます。「自部署さえ成果を上げればよい」という考え方ではオムニチャネルは成り立ちません。異なるチャネルを融合して利益を最大化することがオムニチャネルの本質なら、複数の部署を連携して利益最大化を目指すことこそが会社のあるべき姿ではないでしょうか。

「うちの部署は」「うちのチームは」「うちのプロジェクトは」といった発言は、会議では望ましくありません。こうした考え方が根付く限り、オムニチャネル戦略は絶対成功しません。社内のさまざまな業務を密に連携すれば、新たな価値を創出できるかもしれません。一見関係ない業務を組み合わすことで新たな体験を顧客に提供できるようになるかもしれません。企業同士が共創によって新規事業を模索するように、部署同士も共創によって新たな価値や体験を模索すべきです。こうした社内のオムニチャネル化こそが、会社を成長させるのです。「自部署の成果は」といった部分最適な考えを、「会社の利益は」といった全体最適に考えに昇華させるのです。

逸見光次郎

CaTラボ 代表取締役
日本オムニチャネル協会 理事

1994年に三省堂書店に入社し、神田本店や成田空港店などで勤務。1999年にソフトバンクに移り、イーショッピングブックスの立ち上げ(現:セブンネットショッピング)。2006年にはアマゾンジャパンに入社し、ブックスのマーチャンダイザーを務める。2007年にイオンに入社し、ネットスーパー事業の立ち上げ後、デジタルビジネス事業戦略担当となる。2011年、キタムラに入社し、執行役員EC事業部長を経て、2017年にオムニチャネルコンサルタントとして独立。現在はプリズマティクスアドバイザーやデジタルシフトウェーブのスペシャリストパートナーなどを務める。

    Loading...
    アクセスランキング
    game_banner
    Starthome

    StartHomeカテゴリー

    Copyright 2025
    ©KINGSOFT JAPAN INC. ALL RIGHTS RESERVED.