
マイナンバーカードを健康保険証として使う「マイナ保険証」は導入が進んでいる一方で、医療機関の窓口では読み取り不能や資格確認の表示エラーなどのトラブルが報告されています。公的資料と医療団体の集計をもとに、現場で報じられている主な事象と制度上の対応を整理します。
窓口で報告される具体的なトラブル
カードリーダー/端末の不具合や操作エラー:カードリーダーが起動しない、通信不調で資格情報を取得できないといった事例が報告されています。端末操作や再起動で対処する旨のメーカー側FAQも存在します。
「資格(無効)」「資格情報なし」と表示されるケース:保険者側の資格情報反映の遅れや電子証明書の期限切れなどにより、端末で資格が確認できない事例が報告されています。
トラブル発生時の制度上の扱いと運用上の対応
厚生労働省は、資格確認に支障がある場合の臨時対応(被保険者資格申立書の活用等)や、顔認証の代替対応などを案内しています。医療機関は制度マニュアルに従い、端末切替や申立書による後追い確認で保険適用を行うことが想定されています。マイナ保険証を利用できない人向けには、加入する保険者から資格確認書が交付される仕組みがあり(申請不要で交付されるケースを含む)、資格確認書によって受診が可能であると厚労省は説明しています。
医療現場における負担の実態
医療団体などの集計では、マイナ保険証移行後の窓口業務に「負担を感じる」医療機関が約6割に上ると報告されています。負担内容としては、カードリーダー操作支援、トラブル対応、利用者からの問い合わせ対応などが挙げられています。また、トラブルにより「一旦患者が医療費を全額(10割)負担するケース」が報告されており、調査では一定数の発生が確認されています。厚労省側も被保険者資格申立書等の活用を示しています。
利用率と導入状況の推移
マイナ保険証の利用率は時期により変動しており、2024年6月時点で約1割台と報じられた時期がある一方、2025年にかけては利用率が上昇し、2025年5~6月には約29%〜30.6%の水準と厚労省の公表値が報告されています。医療機関の多くでは依然として「利用が進んでいない」との認識が残っています。
まとめ
公的資料と医療団体の調査報告に基づく限り、現場での主な課題は「端末・通信などの技術的問題」「保険者側の資格情報反映や電子証明書管理」「窓口業務負担の増加」の3点に集約されます。制度側は資格確認書や申立書等の救済措置を用意しているものの、医療現場の運用負荷と利用者の混乱を抑えるためには、端末管理・保険者側のデータ連携・利用者向け周知の一層の徹底が必要であることが、ネタ元資料から読み取れます。
詳しくは「厚生労働省」の公式ページまで。
レポート/DXマガジン編集部小松
