デジタル化が進む現代、IT人材の育成は各国の競争力を左右する重要な要素となっています。特に注目すべきは、世界全体でIT卒業者が増加の一途をたどる中、日本がその流れに乗れていない現実です。IT技術の進化と共に、企業のDX（デジタルトランスフォーメーション）推進が急務となる今、私たちはこの課題に真剣に向き合う必要があります。
近年、世界のIT人材が急速に増加している中で、日本はその流れに乗ることができずにいます。ヒューマンリソシアが発表した「世界のITエンジニアレポート（2024年調査版）」によると、42カ国を対象とした調査では、世界全体のIT卒業者数が前年比で5％増加しました。この背景には、IT技術の進化と共にDX（デジタルトランスフォーメーション）が進む中で、各国が人材育成に力を入れていることが挙げられます。
特に、アメリカでは年間21万人以上のIT卒業者が輩出されており、ブラジルやイギリスも急激に卒業者数を増やしています。各国がIT教育に注力することで、これまで培ったスキルが次世代に引き継がれ、IT産業の発展を後押ししています。一方で、日本のIT卒業者数は5年間の平均で1.7％増にとどまり、この増加率はG7の中で最も低いものです。
この状況の背景には、日本の教育システムや企業のIT人材に対する認識の遅れがあると考えられます。特に、急速に変化するIT業界のニーズに対して、柔軟かつ迅速に教育課程を見直すことが求められています。文部科学省の統計によると、日本のSTEM教育（科学、技術、工学、数学分野）の卒業者数も増加していますが、それでも競争力を維持するには不十分な水準です。
例えば、カナダや英国はそれぞれ21.4％や12.6％の大幅な増加率を記録しており、これらの国々と比較することで日本の取り組みがいかに不足しているかが明らかになります。今後、国内のIT教育の質を向上させ、企業と連携したプログラム作りが急務です。
日本は、少子化や技術革新の速さに歯止めをかけるためにも、IT人材育成において真剣に取り組む必要があります。国際競争力を高めるためには、多様な人材を受け入れる柔軟な制度が必要であり、それを実現するためには、教育機関、企業、政府が連携して風土改革を進めることが求められています。この課題にどのように立ち向かうのかが、今後の日本のIT業界にとって大きな試金石となるでしょう。詳しくは「ヒューマンリソシア」の公式ページまで。
レポート／DXマガジン編集部海道
