石川県、石川県警察、KDDI、ローソンの四者は2024年12月23日、ローソン店舗の屋根に設置したAIドローンを用いて捜索活動や事故時の初動対応を想定した警察活動の高度化に向けた実証に成功しました。
今回の取り組みは、石川県とKDDIが能登半島地震をはじめとする災害の教訓をもとに締結している包括連携協定に基づくもので、日常と災害時を区別せずにドローンの利活用を進める「フェーズフリー」をコンセプトとしています。ドローンを事件や事故が起きた現場に急行させることで、従来よりも迅速・的確な警察活動が期待でき、非常時にもスピーディーに対応できる体制を築くことが目的です。
今回の実証では、石川県七尾市の七尾警察署と協力し、ローソン七尾小島町店の屋根に配備したAIドローン(Skydio X10)を遠隔操作して実際に飛行させました。行方不明者の捜索を想定したシナリオでは、ドローンのサーマルカメラ映像によって上空から速やかに対象者を捕捉し、警察がいち早く安全を確保できる可能性を確認しています。また、交通事故を想定したシナリオでは、ローソン店舗から事故現場と見立てた能登島大橋まで約5キロメートルをわずか8分ほどで飛行し、地上車両の場合よりも短時間で現場映像を把握できることが示されました。ドローンの映像を元に3Dモデルを作成した結果、担当者が現場に行かなくても遠隔で事故状況を立体的に把握できることも実証できています。
こうした成果は、四者が目指す「地域防災コンビニ」の取り組みにとって大きな前進です。ローソンの店舗を拠点として、日常の業務や警察活動にドローンが組み込まれることで、災害や緊急時にも同じ仕組みを迅速に活用できるようになります。石川県は今回の実証にフィールドを提供し、石川県警察は実証シナリオの策定を行いました。KDDIは実証全体の企画・統括を担い、KDDIスマートドローン株式会社がドローンの運航を担当しています。
ローソンは店舗の屋根を活用したドローン設置場所を提供し、常日頃から地域を支える拠点としての強みを発揮しました。今後は日常で発生しうる事故や行方不明者の捜索だけでなく、災害発生時の被災地状況確認などにもAIドローンを活用し、「創造的復興」を進める石川県の安全・安心をさらに高める計画です。四者はこれからも連携を強化し、災害に強い地域づくりを実現するための次なるステップを検討していきます。
レポート/DXマガジン編集部折川