2024年11月16日、ワタミ株式会社と株式会社ローソンは、商品配送において初の共同配送を実施することを発表しました。この取り組みは、物流2024年問題への対応やCO2排出量の削減を目指し、宮崎県と鹿児島県の一部エリアでの配送効率を向上させることを目的としています。今回は、双方が共同で挑む物流改善の背景や取り組みの内容、期待される成果について詳しく見ていきます。
近年、日本の物流業界は深刻な人手不足や配送コストの上昇に悩まされています。また、2024年4月から施行される働き方改革関連法により、労働時間の短縮が求められる中、企業は効率的な配送網の構築が急務となっています。ワタミの「宅食サービス」は、全国516ヵ所の営業所から平日で1日23万食を配送しており、土日祝日には配送数が減少する傾向にあります。この状況を受け、ワタミとローソンはそれぞれの強みを活かし、共同配送を通じた物流の効率化を図ることを決定しました。
今回の共同配送では、ワタミの「宅食」商品の納品数が少ない土・日・祝日に、ローソンの配送トラックに両社の商品を積み込み、効率的に配送を行います。具体的には、ローソンの物流センターからローソン店舗とワタミの営業拠点へ、1日平均で900食を配送する計画です。また、ワタミの営業拠点をローソンの配送コースに組み込むことで、配送効率の向上を図ります。
物流改善においては、環境への配慮も重要なチャレンジです。今回の取り組みにより、店舗配送に関わるCO2排出量の削減量は年間約52トンを見込んでいます。環境への負荷を軽減することは、企業の社会的責任(CSR)を果たすだけでなく、顧客からの信頼を得る上でも必須となっています。このように、ワタミとローソンは環境目標の達成を通じて社会的価値を創出する共同の取り組みを進めています。
ワタミとローソンの連携は、2024年4月から埼玉県で開始したトラックのシェアリングにも着実に戻りつつあります。未使用時間を有効活用することで、車両使用の削減を進めてきた両社は、物流効率の向上だけでなく、経営コストの削減にも寄与しています。今後、さらなる連携の可能性や新たなサービスの拡充が期待される中、この共同配送がどのように拡大していくのか注目が集まります。
ワタミとローソンによる共同配送の取り組みは、単なる効率化に留まらず、環境への配慮や社会的責任を果たす重要なステップです。今後、両社はこのモデルを他の地域や商品に広げることで、より一層の物流改革を推進していくことでしょう。持続可能な社会の実現に向けて、ワタミとローソンの挑戦に期待が寄せられます。
執筆:香田雄大