犬から人にうつる代表的な人獣共通感染症

犬と人が一緒に暮らす中で、まれに犬から人へ病気がうつることがあります。これを人獣共通感染症と呼び、動物と人の両方に感染する病気の総称です。
多くは正しい知識を持って対策をすれば過度に心配する必要はありませんが、どのような病気があるのかを知っておきましょう。
パスツレラ症
パスツレラ菌は多くの犬や猫の口の中に存在している常在菌で、咬まれたり引っかかれたりすることで人に感染することがあります。感染すると、傷口が赤く腫れたり、痛みや発熱を伴ったりすることがあります。
健康な人であれば大きな問題にならないことが多いですが、免疫力が低下している人や高齢者は重症化することもあるため注意が必要です。咬み傷ができた際は、放置せずに早めに傷を洗い流すことが大切です。
狂犬病
狂犬病は、感染した動物に咬まれることでうつるウイルス性の病気で、発症するとほぼ助からない非常に怖い病気です。日本国内では長年発生例がありませんが、これは狂犬病予防法に基づき、飼い犬へのワクチン接種が義務付けられているためです。
海外では今も発生している地域があるため、海外で犬など動物に咬まれた場合は注意が必要です。日本で安心して暮らせているのは、こうした予防の仕組みがあるからだと理解しておきましょう。
皮膚糸状菌症(カビによる皮膚病)
皮膚糸状菌症は、カビの一種である真菌が原因で起こる皮膚の病気です。感染した犬に触れることで、人の皮膚にも赤みやかゆみを伴う円形の発疹ができることがあります。
特に子犬や免疫力が低下している犬は感染しやすく、そこから人にうつるケースも見られます。愛犬の皮膚に脱毛やフケ、かゆがる様子が見られる場合は、早めに動物病院で診てもらうことが、人への感染を防ぐことにもつながります。
回虫症などの寄生虫感染
犬回虫などの寄生虫は、感染した犬の便の中に卵が排出され、それが口に入ることで人にも感染することがあります。特に小さな子どもは、砂場などで気づかないうちに触れてしまうことがあるため注意が必要です。
感染すると、目や内臓に幼虫が移動し、まれに視力障害などを引き起こすこともあります。愛犬の定期的な寄生虫検査と駆虫を行うことが、こうした感染を防ぐ基本の対策になります。
カプノサイトファーガ感染症
カプノサイトファーガ菌は、犬や猫の口の中にいる菌の一種で、咬み傷や引っかき傷、濃厚な接触を通じて人に感染することがあります。健康な人が感染しても軽症で済むことが多いですが、まれに発熱や重い症状につながることもある病気です。
特に持病がある人や高齢者は注意が必要とされています。咬まれたり傷ができたりした後に発熱や体調不良が見られたら、早めに病院を受診することが大切です。
人獣共通感染症の主な感染経路

人獣共通感染症は、日常生活のさまざまな場面で感染する可能性があります。代表的なものが、咬み傷や引っかき傷からの感染です。遊んでいるときに誤って咬まれたり、爪で皮膚が傷ついたりした部分から菌が入り込むことで、感染につながることがあります。
また、排泄物や体液との接触も感染経路のひとつです。トイレの片付けをした後に手を洗わなかったり、傷口に排泄物が触れてしまったりすると、菌や寄生虫が体内に入る可能性があります。
さらに、キスをする、口移しで食べ物を与える、食器を共有するといった濃厚な接触も、感染のリスクを高める行動として知られています。
愛犬とのスキンシップは大切な時間ですが、どのような場面に感染のリスクがあるのかを知っておくことで、安心して触れ合いを楽しむことができますよ。
感染症を防ぐために日常でできる対策

定期的なワクチン接種・寄生虫予防
狂犬病ワクチンをはじめとした定期的な予防接種や、フィラリア予防、ノミ・ダニ駆除薬の使用は、感染症予防の基本です。
回虫などの寄生虫についても、定期的な検便や駆虫薬の投与を行うことで、感染のリスクを大きく減らすことができます。動物病院で推奨されているスケジュールに沿って、忘れずに予防を続けることが大切です。
触れ合った後の手洗い・消毒
愛犬を撫でたり遊んだりした後は、手洗いを習慣にしましょう。特に食事の前やトイレの後、傷の処置をする前など、菌が体内に入りやすいタイミングでは意識して手を洗うことが大切です。
石けんを使ってしっかり洗い流すことで、皮膚についた菌やウイルスの多くを取り除くことができます。小さな子どもがいる家庭では、一緒に手洗いの習慣をつけてあげるとよいでしょう。
排泄物の適切な処理
散歩中の排泄物は、その場ですぐに片付け、決められた方法で処分しましょう。室内で排泄した場合も、放置せずに早めに片付け、周辺を清潔に保つことが大切です。
処理をする際は使い捨ての手袋を使うと、直接排泄物に触れずに済み、感染のリスクを減らせます。片付けた後は必ず手を洗い、清潔な状態を保つよう心がけましょう。
過度なスキンシップを控える
愛犬との触れ合いは大切な時間ですが、口移しで食べ物を与えたり、顔を頻繁に舐めさせたりする行為は、感染のリスクを高めることがあります。
特に小さな子どもや高齢者、免疫力が低下している人がいる家庭では、過度な触れ合いを控えることが望ましいとされています。愛犬を撫でたりブラッシングしたりする触れ合いを中心にすると、リスクを抑えながら関係を深めることができます。
体調不良時は早めに受診する
愛犬の元気がない、下痢や皮膚の異常が見られるといった場合は、早めに動物病院を受診しましょう。
また、咬まれたり引っかかれたりした後に、傷口が腫れる、発熱するといった症状が出た場合は、自己判断せずに病院を受診することが大切です。早めに対処することで、症状の悪化を防ぎ、安心して愛犬との生活を続けることができます。
まとめ

犬から人にうつる人獣共通感染症には、パスツレラ症や狂犬病、皮膚糸状菌症、寄生虫感染、カプノサイトファーガ感染症など、さまざまな種類があります。
これらは咬み傷や排泄物との接触、濃厚なスキンシップなどを通じて感染することがありますが、正しい知識を持ち、日常的な対策を行うことでリスクを大きく減らすことができます。
ワクチン接種や寄生虫予防、手洗いの習慣、排泄物の適切な処理など、できることから少しずつ取り入れていきましょう。正しい知識と対策を身につけることが、愛犬と人がともに健康で安心して暮らせる毎日につながりますよ。
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