犬のうつ病とは?
犬がなんとなく元気がないと感じたとき、「もしかしてうつ病かも?」と心配になる飼い主さんも多いのではないでしょうか。
けれども実際のところ、医学的に犬に「うつ病」と診断を下すことはできません。では、犬の様子が変わったとき、私たちはどう向き合えばよいのでしょうか。
犬に対して「うつ病」という診断はできない
「うつ病」という言葉は、人間の精神疾患のひとつとして知られています。しかし、それはあくまで人間の精神状態をもとにした医学的な診断基準に基づいたものです。
犬には言葉がなく、主観的な気分や感情を自ら説明することはできません。したがって、人間と同じような形での「うつ病」という診断名は、犬には使えないのです。
犬にも「うつっぽい状態」はある
とはいえ、犬が元気をなくし、無気力に見えたり、好きだった遊びに興味を示さなくなったり、食欲を失ったりすることは実際にあります。
そうした状態を、あくまで状況的に「うつっぽい」と表現することは可能です。ただし、それはあくまで観察に基づく印象であり、獣医学的な診断ではありません。
必要なのは「診断」ではなく「寄り添い」
大切なのは、「うつ病かどうか」と考え込むことよりも、今目の前の愛犬に何が起きているかを丁寧に見ていくことです。
犬が不安やストレスを感じているのか、体調に異変があるのか、生活環境に変化があったのか。そうした要素を一つひとつ見直して、飼い主としてどう支えられるかを考えることが、もっとも現実的でやさしい対応です。
犬のうつ病(心の病)の原因
犬の様子が変わったとき、何か大きなきっかけがあったのではと考える方は多いでしょう。実際、犬の心に負担がかかる要因は私たち人間の生活と密接に関わっています。
環境の変化によるストレス
犬は意外と繊細で、生活環境の変化に敏感です。たとえば、引っ越し、模様替え、家族の増減といった出来事は、犬にとって大きなストレスになり得ます。特に一緒に暮らしていた誰かが突然いなくなった場合(離婚や死別など)、犬が悲しみや混乱を抱えることは珍しくありません。
飼い主との関係性の変化
犬は飼い主との絆に大きな安心感を抱いています。そのため、飼い主が忙しくなってかまってあげる時間が減ったり、声のトーンがいつもより冷たかったりすると、犬はその違和感を敏感に受け取ります。また、叱る場面が増えたり、無視されるように感じたりすると、自己肯定感が下がってしまうような行動を見せることがあります。
長時間の留守番や運動不足
運動好きな性格の犬にとって、体を動かすことは心の安定に直結します。運動不足が続くと、エネルギーを発散できず、ストレスや不満をため込むようになります。加えて、留守番の時間が長すぎると孤独を感じ、精神的にも負担をあたえる事になるでしょう。
飼い主の不安やストレスが犬に伝わることも…
犬は飼い主の表情や声のトーン、日々のルーティンから感情を読み取る能力に長けています。飼い主が不安やストレスを抱えていると、その空気を感じ取って犬自身も落ち込んだり、不安定な行動を見せたりすることがあります。言葉がなくても、感情は伝染するものなのです。
犬のうつ病の症状
犬の「うつっぽい状態」は、見た目のわかりやすい変化から、ちょっとした行動の違和感までさまざまです。日々一緒に暮らしているからこそ気づける変化が、早期のサポートにつながるかもしれません。
運動量が低下する、無気力な行動が増える
これまで元気いっぱいに走り回っていた犬が、突然ベッドから動こうとしなかったり、散歩に誘っても興味を示さなかったりすることがあります。身体に問題がなければ、それは心の疲れのサインかもしれません。無気力な様子が続くときは、何らかのストレスを抱えている可能性があります。
食欲が低下する・過剰に食べるようになる
食べることが大好きな犬が、身体に問題がないのに急にごはんを残すようになったり、おやつを受け取らなくなったりするのは、気持ちに変化があるときの典型的なサインです。逆に、過剰に食べるようになってストレスを発散している場合もあり、どちらの変化も注意深く観察する必要があります。
飼い主と距離を取るようになる
飼い主にべったりだった犬が距離を取るようになったり、逆に不自然に甘えすぎるようになったりすることもあります。また、他の犬に対して過敏に反応するようになる、あるいは関心をまったく示さなくなるなど、社会的なふるまいにも変化が見られることがあります。
吠えなくなる(逆に吠える事が増える)
静かだった犬が急に吠え始めたり、逆に活発に鳴いていた犬が一切声を出さなくなるなど、吠え方の変化も心のサインとして表れます。これまでの様子と比べて極端な変化がある場合は、無視せず原因を探ることが大切です。
身体的な症状が現れる(皮膚をなめ続ける、下痢や嘔吐…等)
心のストレスがたまると、下痢や嘔吐、皮膚をなめ続けるなど、身体にも影響が現れることがあります。一見すると体の病気に見えても、実は心の不調が引き金になっている場合もあるため、動物病院でのチェックは欠かせません。
犬のうつ病の対処法
「うちの犬、いつもと違うかも」と感じたとき、大切なのは焦らずに観察し、できることからやってみることです。犬にとっての安心や心地よさは、日々の生活のなかにあります。心のケアも、特別なことより“いつものこと”の見直しがカギになります。
まずは動物病院で健康チェックを
行動の変化が見られたとき、最初にすべきことは「身体の異常がないか」を確認することです。うつっぽく見える様子が、実は内臓の問題から来ている可能性もあります。いつもと違うと感じたら、早めに獣医師に相談しましょう。
生活環境を見直してみる
犬のストレスは、生活のなかのちょっとした変化でも引き起こされます。部屋の騒音、エアコンの風、ケージの位置など、犬にとって不快に感じる要素が隠れているかもしれません。また、安心できるスペースがあるか、日中ゆったり過ごせているかも見直してみましょう。
散歩や遊びの時間を十分に確保する
体を動かすことは、犬にとって気分転換にもなります。毎日散歩へ行くことで、日常に安心感が生まれます。また、頭を使う遊びや飼い主とのふれあいも、心の刺激として効果的です。特別なおもちゃを用意しなくても、短時間でも集中して遊ぶだけで表情が変わることもあります。
スキンシップや声かけを多くする
犬は飼い主の声や手のぬくもりに安心を感じます。撫でる、話しかける、目を見て笑う。そんな小さな関わりが、犬の心をゆっくりとほぐしてくれます。義務的な世話にならず、気持ちをこめて触れることが、何よりも回復への力になります。
その他(心のケアグッズで補助する・専門家に助言をもらう)
最近では、犬の心の健康をサポートするサプリメントやアロマ製品も登場しています。ただし、使用する際は獣医師に相談することが前提です。
また、ドッグトレーナーや行動療法士など、専門家のサポートを受ける選択肢もあります。飼い主だけで抱え込まず、外部の力を借りることもひとつのやさしさです。
まとめ
犬の「うつ病」という言葉を耳にすると、不安になったり、どう対応すればいいか迷ったりするかもしれません。
でも実際には、「うつ病」とはっきり診断されるものではなく、あくまで“うつのような状態”として観察される行動の変化です。
だからこそ、飼い主として何か異変に気づいたとき、「うつかもしれない」と断定する前に、その子がどうしてそんな様子になっているのか、丁寧に向き合ってあげることが大切です。
犬は言葉で気持ちを伝えることはできませんが、行動や態度にはたくさんのヒントが隠れています。元気がない日が続くなら、それは何かしらのサインかもしれません。
日々のふれあいや環境を見直すこと、獣医師の力を借りること、そして「いつも見てるよ、大切に思ってるよ」と伝えること。そうした積み重ねが、犬の心の回復につながっていくのです。
飼い主自身が「できること」を無理なく続けていくことで、犬との関係もまた深まっていきます。心の調子は目に見えないからこそ、小さな変化を見逃さない観察力と、あたたかいまなざしが、何よりの薬になるのかもしれません。
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