人と犬は心を通じ合わせられる?
犬や猫などの人と一緒に暮らす動物たちの呼称として、伴侶動物(コンパニオン・アニマル)という言葉が日本に入ってきたのは、1985年だと言われています。その後も、一般的にはペット(愛玩動物)という呼称が長く使われてきました。しかし呼称はどうあれ、「犬は家族の一員」という認識は、日本でも広く普及・定着してきました。
とは言え、「愛犬と心が通じ合うなんて、飼い主の思い込みなのでは?」と思っている方もおられるかもしれません。しかしさまざまな研究により、飼い主さんと飼い犬との間には、人間の母子関係によく似た絆が形成されることが分かっています。
さらに多くの飼い主さんは、愛犬が呼びかけに初めて反応してくれた瞬間や、苦労して教えたトイレに成功した瞬間、初めて視線を合わせてくれた瞬間などに、心が震えるほど感激し、「心が通じ合った!」と思われたのではないでしょうか。
たとえ保護犬を迎え入れた場合でも、接し方次第で心を通じ合わせることは可能です。具体的に心を通じ合わせる手段や、信頼関係を深めるための行動指針を見ていきましょう。
犬と心を通じ合わせる手段
1.アイコンタクトが取れるようにしつける
愛犬と心を通じ合わせたいのであれば、まずは愛犬とアイコンタクトを取れるようになることが重要です。
野生動物にとって、相手の目を見つめる行為には「威嚇」や「攻撃」の意味があります。知らない犬の目を見つめてはいけないと言われているのは、このためです。しかし信頼関係が構築されている場合、飼い犬はアイコンタクトにより飼い主さんの意図を汲み取ることができるようになります。アイコンタクトができる犬は、飼い主さんを信頼している証だとも言えるでしょう。
アイコンタクトは、いざという時に愛犬の注意を飼い主さんに向けさられるため、外出先で事故や喧嘩などの問題を回避する時にも役立ちます。愛犬に身につけさせるべき、基本のしつけの一つだと考えましょう。
2.積極的にスキンシップを図る
心を通じ合わせるためのベースには、信頼関係が必要です。信頼してもらうためには、飼い主さんと一緒にいると安全で安心できると思ってもらえることが大切です。
そのために有効な手段が、スキンシップです。優しく穏やかな口調で話しかけながら、愛犬が喜ぶ部位を優しくマッサージしてあげましょう。最初は、飼い主さんの手は怖くないこと、そして気持ち良いことをしてくれるものだと覚えてもらうことから始めます。
信頼関係が深まれば深まるほど、愛犬はスキンシップや優しい声掛けで安心できるようになります。
3.常に愛犬の立場に立って気持ちを考える
愛犬との接し方も、ベースにあるのは人間関係と同じ「相手への思いやり」です。ただし、人間と犬とは感覚や習性が異なるため、その点を意識した上で、愛犬の立場に立って気持ちを考えることが大切になってきます。
愛犬の気持ちを知るためには、犬のボディランゲージ、特にストレスを表すサインであるカーミングシグナルを知ることが欠かせません。これらは、言葉を使ってコミュニケーションを図ることが難しい、人と犬との心の交流を大いに助けてくれます。
愛犬との信頼関係をさらに深めるための飼い主の行動指針
ポジティブな動機付けを優先する
愛犬に自分の名前を覚えてもらう、アイコンタクトなどのトレーニングを行う、飼い主さんの手が怖くないことを知ってもらうなど、愛犬とコミュニケーションを図る際には、必ず「ポジティブな動機付け」を優先活用しましょう。
犬は、本能として「恐怖」などのネガティブな感情を抱いた経験は忘れません。なぜなら、危険を回避して安全に生き延びるための防衛本能だからです。そのため、飼い主さんにその気がなくても犬が怖いと思ってしまったら、そのイメージを塗り替えるためにはかなりの労力を割かなければならなくなります。
「これをすると嫌なことが起きる」という「叱る」などに代表されるネガティブな動機付けではなく、「こうすると良いことが起きる」という「ご褒美」に代表されるポジティブな動機付けを使う工夫が、信頼関係を深める上では欠かせません。
忙しくても放置しない
愛犬と心を通じ合わせて信頼関係を深めるためには、一緒に楽しい経験を積み重ねることが大切です。どんなに忙しい日が続いている時期でも、必ず毎日一緒に散歩をしたり遊んだり、ブラッシングをしたりする時間を作りましょう。余裕のない日は短時間でも構いません。忙しさにかまけて愛犬を放置してしまうことのないよう、ご自身の過ごし方にも工夫が必要です。
まとめ
犬と心を通じ合わせる手段として、
- アイコンタクトが取れるようにしつける
- 積極的にスキンシップを図る
- 常に愛犬の立場に立って気持ちを考える
という3つの方法をご紹介しました。
人と犬は、1〜3万年も前から一緒に暮らすようになったと言われています。その長い歴史の中で、人と犬はアイコンタクトや指さしなどのコミュニケーション手段を確立し、お互いの心を通じ合わせて家族としての信頼関係を築いてきました。犬が示すサインを学び、犬の立場で気持ちを考え、ポジティブな動機付けをフルに活用することで、愛犬との間の信頼関係を揺るぎないものにしていきましょう。
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