犬が嗅ぐのに夢中になる人間の部位
愛犬のお腹に顔を埋めたり、肉球のニオイをいつまでも嗅いでしまうという飼い主さんは大勢います。それなのに、愛犬から自分の身体をいつまでもクンクンと夢中になって嗅がれると、「臭いのかな」とちょっと恥ずかしくなりますよね。
ニオイを嗅ぐ相手が飼い主さんやそのご家族だけであればまだしも、たまに遊びに来る知人だったりお散歩の途中で知り合った人だったりすると、なおさらです。
身体の大きさの比率から考えると、嗅覚を司る犬の脳の部位は、人間の40倍の容量になるのだそうです。それだけ、犬はニオイから多くの情報を読み取れるのだと考えられます。とは言え、嫌いな人のニオイをいつまでも嗅ぐことはないでしょう。
そう考えると、犬が人のニオイを嗅ぐ理由はその人の情報を得るためと、大好きな飼い主さんのニオイを嗅いで安心したいからの2種類の理由があると言えそうです。そこで今回は、「情報」に焦点を当て、犬が嗅ぐ人の身体の部位別に、どういう気持で何を知ろうとしているのかについて考えてみたいと思います。
1.股間
嗅がれて最も恥ずかしいのが股間です。お散歩中の犬の頭の高さとすれ違う人の身長との関係などから、実は犬が見知らぬ人に対してもよくニオイを嗅ごうとする部位が股間なのではないでしょうか。
そもそも犬同士の挨拶の中には、お互いのお尻のニオイを嗅ぎ合うという行動が含まれています。お尻は生殖器に近く、ホルモンのニオイなど、個人情報の源となるニオイが強い部位なのだと考えられます。
よく知らない方の股間を嗅ごうとするのは、その人がどういう人なのかを知ろうと興味を持っているサインなのだと考えられます。ただし人間関係を円滑にするためには、相手が恥ずかしがる前に愛犬を引き止める方が良いでしょう。
2.手
初対面の犬への挨拶として、自分の手のニオイを嗅がせると良いと言われています。それは、犬に対して敵意を持っていないことを知ってもらいやすい方法だからです。
逆に、犬に対して不信感を持っていたり、怖がったりしている人の場合は、手のニオイを嗅がせない方が良いかもしれません。
3.足元
足元には、その人がどこから来たのかがわかるニオイがついています。帰宅直後の飼い主さんの足元の臭いを夢中になった嗅いでいる場合も、どこに行ってきたのだろうと確認しているのです。いつもと違う場所に行った場合は、いつも以上に念入りにニオイを嗅いでいるのではないでしょうか。
また、足もよく汗をかく場所です。長時間靴を履いていることが多いため、手以上に汗のニオイがきつくなります。そのため犬は、足元の汗のニオイから食べたものや体調なども察知していると考えられています。
飼い主さんを迎えて足元のニオイを嗅いでいる犬は、「お帰りなさい。どこに行ってきたの?調子はどう?」といった気持ちなのでしょうね。
4.口元
口元のニオイは、ストレートに食べたものの情報がわかります。また子犬は、母犬に甘えたり食事を催促するときに母犬の口の周りを舐める習性があります。
そのため、飼い主さんの口の周りのニオイを嗅ぐ場合は、「同じものをもらえるかも!」と、期待している気持ちがあると考えられています。
5.その他
特定の部位ではありませんが、いつもと異なるニオイがしている場合、その部位をしつこく嗅ぎ続けることがあります。女性の股間をいつも以上にしつこく嗅ぐ場合、月経中、排卵期、出産後、授乳中であることが多いようです。ニオイでホルモンの微妙な変化に気づいた結果だと考えられています。
ケガをした部位なども、薬剤や消毒薬などのニオイが気になり、いつまでも嗅いでいることがあります。また、飼い主さんの身体に病気や変調が生じている場合も、ニオイでそれを察知して、いつまでも嗅ぎ続けることがあることがわかっています。
犬が嗅覚で人の感情を感知できるという研究も
汗のニオイで「敵意の有無」がわかるのかと驚かれる方も多いでしょう。実は、人の汗のニオイを犬に嗅がせ、その後の行動や心拍数を計測した研究の結果が報告されているのです。
「犬を怖がっている人」の汗のニオイを嗅いだ犬は、犬自身もストレスを感じて飼い主に頻繁に安心を求め、また汗の主にも慎重な態度を見せ、心拍数が高くなりました。
逆に、『楽しい感情を抱いている人の汗のニオイを嗅いだ犬は、その人に人懐こい態度を取り、心拍数も多少高くはなったものの、恐怖を感じた人の汗の場合よりも低い値だった』ということです。
まとめ
今回は、犬が嗅ぐのに夢中になる「人間の部位」について解説しました。
もし愛犬からある部位をしつこく嗅がれても、それは特に「臭い」からというわけではありません。どこに行ってきたのか、何を食べたのか、元気なのか、楽しいのかなどの情報を得るためだということが、改めておわかりいただけたのではないでしょうか。
とはいえ、ご家族以外の方のニオイを嗅ごうとしている場合は、「犬だから仕方がない」とも言っていられません。
愛犬の注意を自分に引き寄せ、相手の方に恥ずかしい思いをさせないようにすることも大切です。
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