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鼻が鋭いと言われる犬種、実は「嗅覚以外の特性によるのかも」という研究結果


イヌ科動物の嗅覚の鋭さは何によって決まるのかを検証

匂いを嗅いでいるビーグル

犬の嗅覚が非常に優れていることは誰もがご存知の通りです。また同じ犬でも、特に嗅覚が優れた犬種がいることも知られています。

中でもセントハウンド(嗅覚ハウンド)と呼ばれるグループのブラッドハウンドやビーグルなどは、優れた嗅覚を使って獲物を追跡する猟犬や警察犬などとして活躍しています。

では動物の嗅覚の良し悪しは、どんな要因によって決まるのでしょうか。アメリカのカリフォルニア大学ロサンゼルス校生態進化生物学の研究チームは、この要因を解き明かすためイヌ科動物の嗅覚を総合的に検証し、その結果が発表されました。

この研究は、まだ他の専門研究者による内容の査定(査読)を受けていないプレプリント論文です。

頭蓋骨の形と匂いを嗅ぎ分ける遺伝子によってイヌ科動物を比較

匂いを嗅いでいるオオカミ

研究チームは、イエイヌ、オオカミ、コヨーテの匂いを嗅ぎ分ける能力を、頭蓋骨の形態と嗅覚受容体遺伝子の変異を調べることで検証しました。

頭蓋骨の形態については、CTスキャンを使って、45犬種の犬、オオカミ、コヨーテ合計104頭分の頭蓋骨の3D模型が作成されました。

頭蓋骨には、篩骨(しこつ)という眼窩(がんか)と鼻腔の一部を作る骨があります。篩骨の中央には篩板(しばん)という骨板があります。この篩板には嗅覚神経が通っており、匂いの情報を脳に伝える役目を持っています。

動物の体格に対して、この篩板が大きいほど嗅覚が優れていることになります。前述の3D模型を使って、104頭の篩板の面積が測定されました。

嗅覚受容体遺伝子については、一般に公開されているイヌ科動物のゲノムの記録を調べ、111頭の犬、27頭のオオカミ、4頭のコヨーテのデータから、それぞれの動物が嗅覚受容体遺伝子を何コピー持っているかを調べたそうです。

次に24犬種の犬から採取した組織サンプルを調べて、これらの遺伝子に対応するRNAを探し、どの遺伝子が実際に匂いを嗅ぎ分ける役割を果たすタンパク質をコードしているかが調べられました。

嗅覚が鋭いと言われる犬種の違いを示す証拠が見つからなかった!

匂いを嗅いでいるブラッドハウンド

嗅覚に関連する頭蓋の形態である篩板(しばん)の大きさについては、飼育されている犬たちの体格に対しての篩板の大きさの割合は、オオカミとコヨーテに比べて有意に小さいことがわかりました。

嗅覚受容体遺伝子の数においても、飼育されている犬の嗅覚受容体サブゲノムは、オオカミとコヨーテに比べて著しく失われていることが明らかになりました。

このように頭蓋骨の形態からも遺伝子のコピー数からも、犬の嗅覚は野生のイヌ科動物に比べて弱くなっていることが示されたといいます。

オオカミやコヨーテに比べて犬の嗅覚が弱くなったことは、家畜化の影響である可能性があると研究者は述べています。

強い嗅覚を持つことは代謝機能へのコストが大きいため、家畜化されて人間から食べ物を与えられるようになったことで、嗅覚の鋭さを維持しようとする進化の圧力が弱まったのではないかということです。

しかし最も大きな発見は、セントハウンド(嗅覚ハウンド)の中でも「最も嗅覚が鋭い犬種」と考えられているブラッドハウンドにおいて、嗅覚受容体サブゲノムの数が特に多くはなかったということでした。

ビーグルやダックスフンドなど他のセントハウンドも含めて、これらの犬種が特に優れた嗅覚を持っている、または嗅覚能力のために選択繁殖されたことを示す、形態学/遺伝学的証拠は見つからなかったとのことです。

しかし匂いを追う猟犬や警察犬の仕事において、高いパフォーマンスを示す犬種がいることも事実です。

この点について研究者は「嗅覚の違いではなく、持久力や訓練性の高さ、人間を喜ばせたいという欲求が強いという行動特性によるものではないか」と述べています。

まとめ

犬の鼻のクローズアップ

イヌ科動物の嗅覚を左右する要因を検証したところ、飼育されている犬はオオカミやコヨーテなど野生のイヌ科動物に比べて、形態学的にも遺伝学的にも嗅覚が弱くなっていることがわかったという研究結果をご紹介しました。

嗅覚が鋭いと言われる犬種について、それを示す証拠は見つからなかったというのもまた驚きの結果です。

犬種間の嗅覚の違いについては今後さらに研究が必要だとのことですが、今まで当たり前だと考えられていたことが「そうではないかもしれない」という可能性は、このような研究の重要性を示すと言えます。

《参考URL》
https://doi.org/10.1101/2024.04.15.589487


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