犬が示す「ネガティブな心」のサイン
考えてみてほしいのですが、もしあなたにとって嫌なもの・不快と感じるものが目の前にあったり、それを伴う経験をした場合それを避けるための行動をとるのではないでしょうか。
その場合、「逃げる」「その場を立ち去る」「近づかない(距離をとって様子を見る)」というような行動で示されることもあると思います。
そしてそれは犬も同じで、その犬にとってネガティブなできごとだと感じたり、回避したい状況であったりすれば近づこうとはしませんし、その場から立ち去るのです。
すなわちそれは、犬が示すネガティブな状態の心のサインです。
無理強いは禁物
犬がそのようなサインを示しているということは、少なくともその対象に対してネガティブな気持ちを持っていることを示しています。そんな気持ちの状態のときにそれを無視した対応をしてしまえば、今後もっとその対象や状況に対してネガティブなイメージをもち嫌がるようになることは必然です。
例えば、「ハウス」をしてもらいたいときに犬が拒否を示し、その犬に対して飼い主さんが捕まえたり追いかけ回して、強制的にハウスをさせてしまうという流れがあったとしましょう。
このような方法をとっていると、犬は「捕まれば閉じ込められる(嫌なことが起こる)」という学習をするので、ハウスを嫌がるようになるだけではなく飼い主さんに呼ばれたら行くという行動にも悪影響を及ぼします。
つまり、これまで積み重ねてきた信頼を一瞬でなくすまたは減らすこととなり、犬がそうした信頼を崩すような行いをした人間に対して不信感をもつようになるのです。
これはとても悲しいことですし、お互いにとって決して良い結果にはなりません。犬が嫌だという姿勢を示しているのであれば、くれぐれも無理強いしないことをおすすめします。
犬にとって必要なことなのか考える
とはいっても、犬との間でどうしても「やらなければいけないこと」というものも存在します。特に、日常のお手入れや動物病院での治療などはそれにあたるでしょう。
そうしたものの場合は、たとえ犬が嫌だといっても、犬のためにもやらなければいけないのですが、それでも「ほどほどで済ます」ことができるケースもあります。
また、動物福祉に則ったアプローチをするドッグトレーナーに協力を依頼することで、数々の日常のケアや万が一のときに備えての練習をすることも可能です。
一方で、おしゃれなカットや毛先をミリ単位で細かく整えるといった施術は本当に犬にとって必要不可欠でしょうか?
そのようなおしゃれなカットが悪いか良いかという話ではなく、単純に犬にとって必要なのかどうかという問いかけです。
どうしても行動制限が多く、知らない環境で知らない人に囲まれて施術をするため、犬にとっては大きなストレスになることは間違いありません。必死に抵抗をしたり不快を目に見える形で示す犬もいますが、なかにはおとなしくてお利口さんに見える犬でも家に帰るとぐったりしていたり、数日食欲低下や下痢をしてしまう場合も。
人間が美容室に行くときは自分が望んで予約をしてきれいにしてもらいに行きますが、犬にとってはその真逆なのです。お手入れというものは、犬を清潔に保つうえでも必要不可欠ですが、果たしておしゃれをメインに、おしゃれのためだけに施術をすることは本当に必要なのでしょうか?
このような、普段当たり前になっているひとつひとつのことに疑問をいだき、「犬にとって本当に必要なことなのか?」を今一度考えてみてください。
このように自問自答をする癖をつけておくと、犬が嫌だとしてもやらなければいけないことに対して寄り添ったアプローチをすることができたり、犬が我慢をしてくれつつも信頼を大きく損なわないような関係づくりに繋がります。
まとめ
犬は嫌だなと感じれば、「逃げる・その場を去る・近づかない」というような行動をします。それがたとえ人間にとって「それくらい」「ちょっとくらい」といった些細なことであっても、当事者である犬からしてみれば回避したいくらいにネガティブなものなのです。
もし犬がそのような様子を示したときは、犬の気持ちを無視するのではなく、どうすればポジティブな気持ちで受け入れられるか、我慢させてしまったとしても悪い印象にならずに済むかを考えて接するようにしてみてください。それをするかしないかで、今後その犬との関係性やあり方に出る影響は全く違ってきます。
そして人間側の気持ちではなく、犬にとってそれは本当に必要なことなのかどうかを自問自答し、可能な限り不快を軽減・回避できるようにサポートしてあげましょう。
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