ファンタジー漫画やアニメの世界に出てくるかのような、幻想的な見た目をしたキノコがXで話題です。画像の加工なし、自然状態でこの青さだそうです。
ニュージーランド在住で、現地のさまざまな生き物を紹介している「ニュージーランドの生き物屋」さんが先日Xに投稿したのは、鮮やかな青色をしたキノコの写真。
木の根元にひっそりと生えていたそのキノコは、軸から傘まで見事に全部綺麗な青色をしています。添えられた手と比較すると、その鮮やかさがより分かります。
一見すると加工されているかのような鮮やかさですが、もちろん発光はしておらず、ニュージーランドの生き物屋さんが色味の調整などをしているわけでもありません。自然の状態で、この青さだといいます。
ちなみに一部のキノコは、暗闇でブラックライトを当てると派手に蛍光するそうですが、このキノコは全く蛍光しないとのことです。めちゃくちゃ蛍光しそうな見た目なのに……。
ニュージーランドの生き物屋さんが数年間探し続けたというこのキノコは「Entoloma hochstetteri(エントロマ・ホクステッテリ)」と呼ばれる種。和名はないものの、日本の本州・四国に分布する「ソライロタケ」という種の近縁種とのこと。なお、毒があるかどうかは不明とされています。
見た目の鮮やかさや、数年間探し続けたとの話から、かなり稀少な種類かと思いきや「この種自体はすごく珍しいキノコというわけではない」のだとか。現在住んでいるオークランドでは比較的見つけづらい種、ということのようです。
「ニュージーランドでも南島の西海岸地域に4月ごろに行くと大量に生えているはずなのですが、アクセスがあまり良くなくまだ行けていません」(ニュージーランドの生き物屋さん)
こんな真っ青なキノコが大量に生えている光景、想像したらかなりファンタジックですね。
撮影日は、このキノコを目当てに野宿で探索に出かけたというニュージーランドの生き物屋さん。その甲斐あって、ついに念願のキノコに出会うことに成功しました。
見つけた瞬間の喜びについては「やっと見ることができて感慨深かったです。ネットや書籍で見た写真そのままの色で本当にこんな派手な青色なんだ!と感激しました」と語っています。
素人目には「青い!すごい!」で終わってしまいそうなこのキノコですが、ニュージーランドの生き物屋さんによると、もう少し興味深い特徴もあるとのこと。
「このキノコの青色は、アズレンという有機化合物によるものです。この物質は人工的な合成が難しいことで知られており、1gあたり4万円ほどするらしいと聞いています(現在の金相場の倍以上)」(ニュージーランドの生き物屋さん)
自然界における青色は貴重だと聞いたことはありますが、まさか金の倍以上の価値があるとは。
高級キノコの代名詞といえばトリュフですが、ひょっとするといつの日にか、Entoloma hochstetteriに取って代わられる可能性も、あるかもしれませんね。
<記事化協力>
「ニュージーランドの生き物屋」さん(@Invertebratist)
(ヨシクラミク)
Publisher By おたくま経済新聞 | Edited By YoshikuraMiku | 記事元URL https://otakuma.net/archives/2025061005.html